今回ベースとなるのは既製品でOpteka GLD-200という60cm長のもの。

選定の理由は「とにかく安くて軽い」ということ。 ネットで探した限りでは単位長あたりでこれ以上軽いものは見つかりませんでした。
これより評判のよいドリーは多数あるのだが、いずれもこれより格段に重いという理由で却下しました。
ネットでの評判はガタつきや滑りが悪いなど「値段なり」とのことで、実際使ってみてもそのとおりの欠点が見受けられます。
海外では潤滑のために食用オイルを塗っている猛者もいるらしい。
要はローラーの類を使用しておらず「転がり摩擦」より制御しにくい「すべり摩擦」が発生するので、手動でスライドしてもなかなか定速度な移動ができないのです。
ただ、この欠点はモーター駆動をする場合はあまり悪影響はなく、適度な摩擦のおかげでかえって安定した移動ができている感じ。更に複雑な部品がないことで、この安価と軽量化を実現できているわけなので、目的に適った製品と思われます。
このベースに加えて、駆動部分とコントローラ部分は新規に自作しました。
全貌はこんな感じ。レール長が60cmなので少々移動幅が少ない。

駆動部分はこんな感じ。レールにフレキラックを貼り付けてピニオンギヤで移動させます。アプト式鉄道を参考にしたアイデア。

今回の大きな特徴は、軽量なステッピングモーターを採用したことと、ウォームギアの採用です。
以前はずっとCNC用の重いモーターを使っていたのですが、今回試しにより小さくて軽いメカトロ用のものを採用してみました。

小さいとは言っても十分なトルクは出せるので、懸念点は連続稼動への耐久性があるかどうかにあります。不必要なときは電流をシャットするようにしているので、現状の試運転ではとりわけ焼けることもなく数時間程度連続動作しています。
また、ウォームギアを使うことによってカメラ重量による逆駆動がなくなり、ほぼ垂直移動も可能に。

次にコントローラ部分。

ベースとなるのは、とりあえず秋月電子で売っている「PICステッピングモータドライバキット」というものを流用。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-00154/
ただ、これそのままではボタンを押したときしか動作せず、また速度が速すぎるので、外付けのSWとVOLで制御するように改造、更に自作ソフトウェア搭載のPIC CPUに載せ換えています。 更にそれをケースに入れて屋外使用に耐えるものにしています。
このキットの問題点は動作音がうるさいことと、単純な電圧制御なので電力効率に無駄が多いこと。 これは後日もっとよいコントローラを作る方向で考えています。
全体の重量はコントローラ込み(バッテリー抜き)で1150g。 1kgをちょっと超える程度で過去最軽量です。

このGLD-200というドリー、もっと長い80cmや120cmのものもあるようなので、実地撮影でうまく動作するようであれば長いものも購入するかもしれません。