平成24年ふじのくに士民協働事業仕分け参加記[3] | はい、タケコプター

はい、タケコプター

備忘録としての日記です。よろしかったらご覧下さい。

開会式が終わったあと早速会場へ移動。

移動の途中、県民評価者の方にざっくりとでもいいから印象を聞いてみようと一人の女性に声をかけてみたのですが、怯えられてしまい少々凹みました。

気を取り直して、指定の席へ。
イアウトは昨年と全く同様です。

はい、タケコプター-専門委員席

食の安全・安心向上事業費 (衛生課)

食品添加物や残留農薬、BSE、放射性物質等の有害物質が食品に含有されていないかを検査する事業です。

この事業は、いわば、警察や消防、救急と同様に市民の健康、安全のために行政が義務的に行う事業です。ですから、「県の関与不要」という結論は出しにくい事業です。


最近はインターネットでも様々な情報が流れています。あの食品は危ない、このような物質で食品は汚染されている、行政のは発表する放射線量のデータはデタラメだ....等。
情報の洪水で何を信じていいのか分からない、そして食品に対する不安を抱いてしまうという不幸な状態になっています。


これらはリスクコミュニケーションと呼ばれる行政と県民の対話によって相互の理解を深めるべきものなのですが、今回は検査の分野のみが仕分けの対象になっているため、議論の組み立てが難しいのです。


検査態勢、検査の実情などを中心に議論が進みました。
説明者の方が落ち着いた口調で丁寧な説明をされていたので、議論はスムースに進みました。

個人的な関心もあり、「放射性物質の検査の終了時期をどう見極めるか」を質問してみました。

実は先月末に静岡県立大学でリスク評価の社会人講座を受講して、その際に「日本は一度検査項目を設定すると、状況が変化したからと言ってそれをやめるのが非常に難しい」と研究者の方から聞いていたため、実務に携わる方がどう考えているのか聞いてみたかったからです。

やはり、担当者も「難しい質問ですね」と唸っていらっしゃいました。

現状は静岡県も国から汚染地域として指定されているため、その指定が解除されてからになるそうですが、今のところははっきりは答えられないとのことでした。

放射性物質のリスクに対しては多様な見解があって、放射性物質の検査を終了するとなるとおそらく大変な議論になることは想像に難くありません。

今の段階では明確な答えを出せる人は誰もいないと思いますが、いずれ来ると予想されることを一応念頭に置いてもらいたいという思いもあり質問してみました。

私の結論は「現行・拡充」。班の結論も同様でした。


食中毒等防止対策事業費 (衛生課)

食の安全・安心の説明者と同じ説明者がこの事業も担当します。

実は午後の事業も観光関連は同じ説明者が行いますので、担当は3事業という錯覚に陥りそうな感じでした。
事前の準備では、あれ?これはどっちだっけ??なんて思うこともしばしばでした。

両事業の資料で問題だと思っていたのは、数値目標が両事業とも同じ数値を使っていたことです。具体的には人口10万人あたりの食品による健康被害者数が10人以下を目標としており、実績値も両事業で合算した数字が使われていました。

実際のところ、昨年度の実績値で10万人あたり約17人と言うことでしたが、この全てが食中毒による被害者なのだそうです。
また、実績数値が一昨年までしか用意されておらず、長期的な推移が分からなかったため誤解を招いていたところもありました。長期的には健康被害者数は減少傾向で推移していることであり、説明側の業績を補強するものなのですから、積極的に出しても良かったのではないかと思います。

全体的には効率的な運用がなされているか等の議論が中心でした。

健康被害者数の数値目標については今年に入ってから10万人あたり4.7名程度で推移しており、達成も可能かも知れないとのとでしたが、近年被害者数を押し上げているのがノロウイスルで、冬場の流行が多く、かつ感染力が強いため、ここをどう抑えるかが目標をコンスタントに達成するための鍵になるようです。

このあたりを踏まえて、現状維持の「現行・拡充」と判断しました。


しかし、このあとが問題でした。
県民評価者の方が、「『保健所の検査がいつ来るか分かっているのでその期間だけ掃除を念入りにする』と言っている食品業者がいる」とおっしゃるのです。
本当だとすれば、管理がたるんでおり「見直し」も視野に入ってくるのですが....。

その辺の情報の取り方に問題がありました。

情報の非対称性の中短い時間で結論を出さなければならないという、事業仕分けの限界を痛感しました。