最近、アメーバだけでなく広告部門や子会社など、様々な部署の事業責任者と話す機会が増えています。

その中でも最近よく話す話題のひとつが、組織をどう機動的に動かすかというものです。新規事業として立ち上げたばかりで変化が激しい組織だと全員の顔が見えるだけに、リーダーの責任感が問われたり、直接議論がまきおこるということもありますし、一方で急成長に伴って事業規模も人数も増えてくると調整ごとが増えるなどの課題が出て、どのようなことに全体を動かすかという課題に向き合うこともあります。

課題が出ることが悪いわけではありません。組織は人の集団であり、人は常に変化するものである以上、変化し続けるもの。だからこそ新しい課題が出るというのは自然なものであり、大切なことは課題に向き合ってよりよい組織をつくっていくことです。


そういう議論の中で最近よく議論に上がる考え方が、組織を分割してみる習慣を持つことです。最近、ある単語を使って会話することが多くなりました。それが

ユニットアプローチ

という考え方です。この言葉の意味は


いくつかの単位(ユニット)に分けて、組織全体を見る(アプローチする)

という考え方です。


「全体で見よう、全体で見よう」という意識が強くなりすぎると、課題が多すぎて課題の羅列でおわってしまったり、特定のいくつかの課題にしぼったとしてもそれでは組織全体の解決にならないということがおきます。「全体を見ようとして結果的に何も進まないワナ」には注意が必要です。


そこで組織をいくつかに分けてみるが、結果的に全体を見るというのがこのユニットアプローチのポイントです。

具体的には、あるテーマに関して一つの組織を下記のような切り口で分けて俯瞰してみるというのがお勧めです。

1)部署や役割で分ける
2)職種や雇用形態などで分ける
3)業務上連携が強いプロジェクトなどで分ける

たとえば人材育成を強化しようと思ったときに、各部署の人材育成の取り組みを書き出してみると見えてくるものがあります。

下記はサンプルですが、若手育成について各グループがどんな取り組みをしているかをユニットアプローチで紙一枚に可視化してみたものです。


こうやって可視化すると、他の部署の良いものを学ぶことができますし、俯瞰した上で全体の取り組みを議論することもできるようになります。

今回の例ではグループ単位で分割しましたが、上記の説明の通り「職種別」や「横断プロジェクト別」などで可視化してみることで見えるものもあると思います。


ユニットで考えるというのは、権限移譲や主体性を進めることにもなります。



こういう可視化をしてみることで、仮に自分たちが何もしていないことに気づけると自ら取り組みをやろうという機運が生まれたり、上司側にとってもより主体性のある環境をつくるにはどうすればよいかを自問自答する機会になるのです。


なんでもかんでもまとめてやろうとすると、スピードが遅くなりがちです。自分たちで決めるという小集団経営を進めつつ、共通の成功パターンや価値観を持つ組織。これをANDでできると、どこにもマネができない強い組織が創れるようになります。


このユニットアプローチもうまく使いながら、会社全体の組織開発力を向上していきます。