凛と万次は旅の途中で、水戸へ向かう一行の中に天津影久がいないことを知る。
一方、江戸城大手門は四人ばかりの侵入者に正面突破を許してしまう。
殺戮を繰り返して先へと進む、天津影久の真の目的は――?
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いやー、見どころのたくさんある23巻です。
上のあらすじにある天津影久たちの侵入→脱出行がメインですが、
別の場所にて尸良も登場(こーわーいー。ますます恐くなってるこのひと!)。
しかしここであえて注目したいのは、万次さんと歩蘭人(不死実験を行っていた医師)との会話でしょうか。
――あなたの不死には意味があるのではないか。
歩蘭人は言うのです。
その不死性を他者にうつすことはどうしても出来なかった。「あなた」が不死であることに意味があるのでは?
あなたに不死を許した者がいるとして、それが復讐のためであるとは思えない――
うーん……万次さんの不死性という、この物語では誰もいまさら疑問を持つこともないデフォルト設定にあえて言及してきたというのは、物語の終わりへ向けてのことなのでしょうが、ここにそーゆー道義上の話を持ち込まれてもなあ……。
上位の存在から与えられる善なり正義なりを救いとして語られて改心するのでは、ずいぶんうさんくさい話になってしまうのでは。
だいたい、不死の万次さんでなくたって、誰もが生きるために苦しんでいるわけで、生きる意味などは当人がひねりだすより他にどうしようもないわけで……。
今現在は「凛の敵討ちの用心棒」として自分を肯定している彼ですが、この争いが決着するころには凛に用心棒などは必要なくなるわけですよね。
私としては、その時になって「終わらない生」という一種の地獄に、万次というキャラクター自身がどのような答えを出すのかが、知りたいのですが。