どもです。
イ・セドルとAlphaGoの対局日程が決まったみたいですね。
3月9日第1局、10日第2局、12日第3局、13日第4局、15日第5局とのこと。
11日は休息日だと思いますが、それでも集中スケジュールなので、けっこう
負荷がかかりそう。
体力の消耗は人間側のデメリットなので、できるだけ軽減したほうが良いと
考えた場合、持ち時間は3時間-60秒/1手ってことないかもしれないですね。
やはり、樊麾 (Fan Hui) さんとの対局と同じく、1時間-30秒/1手でしょうか。
興業的には、その時間だとちょっと物足りない気もするし、バランスが難しいな。
Googleの囲碁AI『AlphaGo』と樊麾 (Fan Hui) さんの個々の対局について
振り返ってみたいと思います。
主に、人間側の対局心理を推測します。
(注! 棋譜を見てるだけなので、まともな検討はしてません!間違ってたらごめんね)
5局目の棋譜は以下をご参照ください。
http://gokifu.net/t.php?s=8851453923669423
黒:樊麾 (Fan Hui) さん
白:AlphaGo
黒9から白20まで、第3局と同じ展開。樊麾 (Fan Hui) さんの伝家の宝刀みたいなもんなのかな?
黒21からの変化は、第3局で見せた強硬策よりも筋はよさそうで、黒33まで軽いタッチで外の黒の整形をし、黒35~37と大場へ。ここまで、黒の流れは悪くなさそう。
白38からの左上の折衝、一応先手で外勢を築いたので、黒としてはこんなものかな?味は悪い(AIにおそらくこの感覚はないだろう)けれど。
白56の動き出しにたいして、黒57は何の変哲もない受けですが、17-Gにハネるか、18-Hにコスむというのもあったか。
というのは、白58~64という一連の流れ、善悪は判断し難いのですが、筋に入りました。
この白さんがもし人間だったら「よくわからないなりに、気持ち良く打ってるんだろうな、この人」と思うんですが、AlphaGoは別にそんなこともないんでしょうねぇ。
黒75では、僕なら喜んで9-Aに打って白7子を取っちゃうんですが、落ち着いてますね。樊麾 (Fan Hui) さん、形勢がいいと思っているように見えます。
白78から、左辺の黒2子を制さずに中央に手を付けていったのは、勇気が必要な選択。直接的な地は損なので。
これも評すれば「気合が入った人」といえるのですが、そもそも人でもなければ気合もないというね。
白92までおおよそくつろいだところで、黒93がどうだったか。さすがに下図のように左下打つのが大きいのでは。
上図の93は、白地を約10目減らし、黒地を約15目増やしているので、地だけでも25目相当の手。
かつ、逆にここに白に打たれる(実戦と同様)と、左下の黒の一団が、確実に生きているとは言えないので、石の強弱にも影響します。
石の強弱は相対的なもので、実戦の黒93は中央の白の一団の攻めを狙ったものですが、左下の黒の一団が少し弱くなると、その分、攻めっ気ばかりを出すことができなくなります。
これが、例えば盤上にどういう形で表れているかというと、例えば黒101。
自分の身の安全を考えずに白石を取りに行くだけなら、こんな進行の方が有無を言わさず厳しいのですが・・・
逆に、黒石のほうがピンチ。
あくまでも盤上に表れない変化図の一例ですが、これが自分の石が弱いと相手を攻めるばかりとはいかない、という意味で石の強弱は相対的なものと言える理由です。
実戦の黒101以降の進行ですが、黒も頑張って追うものの、するすると白は脱出。白は特別な手は打っていません。
黒123と手を戻すのも、左下の黒の一団がまだ弱いため、きっちり打たざるを得ないと判断したのでしょう。(形勢としてはそんな悠長な陽気か?とも思わなくもないけど)
白は124と右下もくつろぎ、すべて頑張り切った展開になりましたね。
遡って、黒75と打ったタイミングではおおらかな手を選択しており、あたかも優勢を意識しているようでしたが、黒93が無理気味に見え、この前後で樊麾 (Fan Hui) さんが形勢をどう判断していたか、気になるところです。
最後、右下黒135から、黒143と切ってからコウを仕掛けたのは、黒の勝負手。
しかし、白のコウ材の立て方も、損な手を打っていることもなく、問題なさそうです。
簡明に白166まで左上とふりかわり、右辺をしっかり白地にして、形勢が変わることはなかったですね。
勝負には影響しませんが、1手気になる手がヨセで出ました。
白202、1子抜きですが、これはこの局面では小さい。これまでの着手レベルからは、考えられない手です。
ですが、投了図の時点で白が盤面で10目弱くらいは勝っているので、形勢としては大差。
おそらく、モンテカルロの特徴の1つである「最も勝率が高くなる手」がこの白202に匂いとして出てきたものかな、と思います。
この碁は、序盤から中盤の入り口にかけては、5局の中では最も黒が勝負できていたように思えるのですが、黒93は結果的には「焦り」があったのかな、と思います。
この「焦り」が1~4局目までの敗戦の衝撃が蓄積されたものだとすれば、悲しくもあり、人間らしさともいえるのかもしれませんが。
AlphaGoは、私の解釈の問題なんでしょうけど、時折見せる表情がありました。
この表情というのも、3000万局面(!?)という棋譜のビックデータから精練されたものなのかな、とも思うんですけど、どうしてもそこに人間的な意味を感じてしまうのは、たぶん錯覚なんでしょうねぇ。
SFチックな話が、現実の未来になるかもしれないというのは、楽しみでもあり、怖くもあり。