ピンポーン…♪
ピンポーン…♪
インターホンの音に反応し、モニターを覗いた私は…
「あっ…」
その顔に驚いた。
予想していた人と違ったから…
かなり動揺した。
オートロックを解除するように言われて、それに応じて…
彼が部屋まで上がってくるまでの…その僅か数分がすごく長く感じた。
急いで涙を拭って…
停止した思考回路を必死に…
ピンポーン…♪
再びインターホンの音が鳴り、私は玄関のドアを開けた。
さっきまで泣いていた顔を見られたくなくて咄嗟に視線を逸らす。
どうしていいかわからなくて…
何でこのタイミング?って思う。
『ごめん…いきなり来たりして。』
「うん…」
『さっき一応連絡入れたんだけどさ…返信無かったし…いきなりなのはさすがに迷惑だってわかってはいるんだけど…ね。ハハ』
「…」
『やっぱ迷惑だった…?』
「ううん。そんなことな…」
『何で泣いてんの…?』
「別に泣いてなんか…」
『何かあった?』
「何にもないよ…ハハ」
『じゃあ何でそんな顔してんの…?』
「…」
やっぱり私は…この人が好きなんだ。
彼を目の前にしたらドキドキして、色んな感情が込み上げてくる。
私のところにね、あなたの元カノが乗り込んで来たんだよ?
すごく綺麗な人だった。
私を品定めするみたいに色々聞かれたの。
あなたと付き合っていた頃のこと、聞きたくもないのに色々と教えてくれた。
凹んでる。すごく。
5人の中から一人選ぶとか…やっぱり私はそんな器じゃない。
『部屋…入れてくんねーかな…』
黙り込む私に潤くんは小さな声で呟くの。
「あの…」
『自分でも何でこんなに焦ってんのかわかんねーんだ。だけど、後悔したくねーし…』
「…」
潤くんが私の肩に手を触れたその時だった…
エレベーターの開く音がして…
カタン…
潤くんの背中越しに見えたその姿は紛れもなくまーくん。
車のキーを落としたみたいで慌てて拾ってた。
こういうのを鉢合わせというのだろうか!?
どちらにも悪い気がした。
〈…〉
『…』
別に怒っているわけじゃない。
誰も怒ってなんかいない。
でも…重苦しいこの空気。
〈電話…してて。麦ちゃん泣いてたからさ…だから心配になって来てみたんだよね…〉
まーくんが気を遣って説明してくれているのがわかる。
何でこんなことに…
なっちゃったんだろうな…