・風評被害と債券バブル | 矢口新の生き残りのディーリング

・風評被害と債券バブル

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・風評被害

根拠のない噂のために受ける被害。特に、事件や事故が発生した際に、不適切な報道がなされたために、本来は無関係であるはずの人々や団体までもが損害を受けること。例えば、ある会社の食品が原因で食中毒が発生した場合に、その食品そのものが危険であるかのような報道のために、他社の売れ行きにも影響が及ぶなど。(デジタル大辞泉の解説)


風評被害により売上が急減し破綻にまで至った、あるいは他社に吸収されることになった企業が少なからず存在する。そして、風評はしばしばメディアの不適切な報道によっている。メディアの有力な司会者やコメンテーターに風評を広められたなら、なかなか対抗することは困難だろう。

放射能の風評被害については、さすがに報道が加担する様子は見られないが、海外からの旅行者は減少し、農水産物を中心に輸出は苦戦している。何とかして、風評被害を少なくできないものだろうか?

悪意のある風評に対抗するのは難しいが、それでも、多くの人の判断に委ねるという意味で、積極的で正確な情報開示が最も効果的ではないのか?

一般人の判断を過小評価し、当局が情報をコントロールすると、一般人は風評以外の情報に触れることができなくなる。原子力、放射能関連では開示される情報量の少なさが、事実上、風評被害を広めているのではないか? 事態が深刻であればあるほど、人の口に戸は立てられず、風評だけが広がる。風評被害を防ぐには、どんなに深刻でも、真実の情報を流すしかないと思う。情報量が多ければ、一般人は簡単には消化できずに、かえってパニックにもならないのではないか。


以下の、日経BPの記事でも、政府、官庁からの情報が混乱し、一般人には何が起きているのか分からない。どうしてこのようなことになるのだろうか?

(参照:「即死ポイント発見」でも動かぬか!


考えられるのは、当局が「危険は認識されなければ危険ではない」と見なしていることだ。つまり、対策を取ることは、危険の存在を認めることになるので、あえて対策を取らないのだ。かっての軍当局が「退却」を「転進」と言い換え、負けていても、敗戦を受け入れなければ負けない、と考えたのと同じだ。もし、今回もそうであれば、官僚組織というものは、恐るべきものだと思う。



先週の木曜日、ヨーロッパの匿名銀行が欧州中銀に5億ドルの緊急融資を要請したことで、欧米の銀行間に疑心暗鬼が広まり、銀行は事業会社や個人相手だけでなく、同業者への融資にも消極的になった。

5億ドルという金額は、銀行にとってはさほど大きな金額ではないのだが、恐いのは風評被害だ。木曜日には仏ソシエテジェネラルは12%、英バークレイズは11.5%、独コメルツは10%などと、欧米の銀行株が全面的に値を下げた。

おばけ屋敷がすべてを曝け出したなら、おそらく誰も恐がらないように、人を恐がらせるには何らかの情報操作が必要だ。もし、当局がそんなことを考えているのなら、風評は当局がつくっていることになる。




・債券バブル

債券バブルの様相が深まってきた。債券価格に最も大きな影響を与えるインフレ率と信用リスクが高まっても、主要国の国債利回りは史上最低水準だ。信用リスクを抱えながらインフレ上昇率を下回るネガティブ・イールドで運用するのは、経済合理性からは合わない。それをかろうじて正当化できるのは、価格上昇期待だけなのだ。

景気の後退懸念が出てきているが、運用先がないわけではない。多くの企業は財務内容が良く、企業業績も好調だ。ところが、それらが売り込まれている。


いつも同じことが繰り返される。2000年以降の米住宅市場の値上がりもおかしなものだった。サブプライムローンとは、資産も収入もない人に、住宅購入資金を貸し付けるものだ。担保は購入する家屋だ。元利金の支払いは、購入住宅が値上がりすることによってのみ可能となる。このローンを正当化できるのは、価格上昇期待だけなのだ。

債券バブルも、住宅バブルも、金融機関が自分たちで買い上げることで成立している。とはいえ、ネガティブ・イールドで人件費などのコストを払い、収益を残し続けることはできない。最後は体力勝負となる。そこで負けると、公的資金が入り、国家財政が悪化、緊縮財政+増税となる。

増税になると個人消費が低迷し、+緊縮財政で景気が悪化する。そのことを懸念して株式が売られているのだろうか? 順序が逆だ。先に売るのは債券だろうと言っても、バブルの当事者は聞き入れない。そして、それが何年かは続くものなのだ。


主要国の銀行の多くは、似たようなことをやっている。債券バブルで最後まで保有していると、かってのバブル崩壊時のように破綻してしまう。早く降りればいいのだが、値上がりし続けているものを売ると、他社との競争に負けてしまい、経営陣の首が飛ぶ。それでも降りるものがいると、その売り物を残ったものが買い増すことでバブルを維持する。それはネガティブ・イールドなので、ますます苦しく、体力勝負となる。この繰り返しで、バブルはいつか崩壊する。

サブプライムローンをもってしても住宅が売れなくなってから、2年半かけて住宅バブルは崩壊した。

米国債の格下げ、史上最低利回りの更新などから、バブル崩壊までに、どれくらいの時間がかかるだろうか? バブルは必ず崩壊するが、金融機関は最後の最後まで食らいつくものだ。次の崩壊では、国も個別企業への支援はできないだろう。


先読みすると、国債バブルの当事者である銀行と、国の財政は悪化する。景気も悪化するので、緩和と増税のセットが予想される。貧乏くじは納税者が引く。

日本で生き残れるのは、桁違いの富裕層と、財務内容がよく、競争力のある企業だけだ。とはいえ、多くの企業は極端な円高になると危ないので、何としてもここからの円高は阻止して貰いたい。



米紙の報道によると、財務省の中尾武彦財務官が19日に、「日本には為替市場に頻繁に介入する計画はない」と述べたという。そのことで、ドル円は史上最安値を更新した。

介入に関しては、「1、市場介入そのものがけしからん」、「2、単独介入は効果がない」、「3、評価損が膨らむ」などと、ネガティブな意見が大半で、円高対策は基本的に民間企業に託されている。そして、それらの意見の根拠は、ほとんどが「一般的に、、、と言われている」だ。


どこの国でも通貨・為替政策は国の政策の柱の1つで、国の利害をかけて、国際金融の世界で主張している。通貨安政策による景気浮揚、雇用の拡大は、どこの主権国家でも行っている。例外は、主権を放棄したユーロ参加国と、事実上、主権を主張しない日本だけだ。

1、金融政策とは市場介入そのもので、為替だけを例外視するのは、恩恵を受けている国々の視点だ。また、ユーロは市場介入の究極の形だ。

2、効果は量で決まる。協調介入で一時的に投機筋の賛同を得ても、投機筋はいつまでも円売りしてくれている訳ではない。

3、円高を放置しているから外貨準備の評価損が膨らむ。円安に誘導すれば、評価益に変わるのだ。


また、金融緩和を意味する買いオペは、日銀が国債を買うことにより、資金を市場に供給するものだ。外債を買っても、資金は市場に供給される。景気や株価にプラスなのだ。

日本も米国債やユーロ周辺国の国債を買い、それらの国々の苦難を救ってやれば、それらの国々に「財政再建せよ」と、意見の1つも言えるのだ。


日本にはまだ余力がある。これまで積み上げてきた累積の経常黒字だ。これがあるうちは、円安誘導もできれば、景気浮揚、雇用の拡大もできる。

セミナーでは、下のタイトル・テーマに加えて、上述コメントの理論的背景や、今後の見通しにも触れる。乞う、ご参加!





・セミナー案内

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・日 時 :2011年9月4日(日) 14:00~16:30
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