恐怖の正体 | Market Cafe Revival (Since 1998)

Market Cafe Revival (Since 1998)

四つの単語でできた言葉の中で、最も高くつくものは「今度ばかりは違う」である(This time is different.)。

☆ わしが考える恐怖の正体は,かつてFDR(フランクリン・ローズヴェルト:米国大統領)が話したように「恐怖心理」そのものにある。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といったところで,その「枯れ尾花」がレンジャー部隊物の日曜朝7時50分ごろのように突然巨大化して襲いかかるのではないかという心理状況が抜け切るには相当長い時間が必要になるだろうということくらいしか見当がつかないことにある。


☆ 世界中の企業がこの恐怖に支配されたまま合成の誤謬を続けている。ビッグ・バン(大膨張=大爆発)ならぬ「ビッグ・クランチ(大収縮)」に加速度がついている。それは企業単位では四半期決算の度に記者会見され,国家レベルでは世界中が「なりふり構わぬ保護主義=企業救済」に駆け出していることからも見てとれる。


☆ 世界が同時に走り出している以上,国家レベルで超然主義を取れる中国のような例外ですら,世界の流れに巻き込まれ,思わず「米国債売ってもいいんだぞ」と凄む一幕まで出てきてしまう。ガイトナーは能吏ではあるが,今回の一件(人民元の「為替政策批判(と解釈可能な)発言」のこと)を見てしまうと,「まさかこいつ "ノーコン・ピッチャー" じゃないだろうな」と不安を覚える。そして恐怖の大王はその心裏にもそっと入り込んでくる。


☆ ニューディールが成功だったというのは,米国が後から作った「歴史」であり,世界は第二次世界大戦によって積み上げてきた工業力を痛めることでようやく総需要が発生し,本土が焼失を免れた米国がその復興需要を担ったことでようやく「長い大恐慌」から抜け出したことはダウ工業株30種のチャートに書かれている「真実」だ。われわれの恐怖の大王は「この歴史の再現」を狙っている。それがこの恐怖の偽らざる「正体」である。


☆ すべての楽観論と悲観論から等しく距離を持ち,自分の頭で考えて生き抜けというしかない。