1985/Billboard Dance club chart No.1
80年代を象徴するアーティストは人それぞれ。
個人的にそのひとつと言えるアーティストが
このティアーズ・フォー・ティアーズだ。
彼らの象徴(※)とも言える楽曲が「Shout」。
※心理学者アーサー・ヤノフの著書
「原初からの叫び(The Primal Scream)」に
登場する章題からそのまま取られている。
原初からの叫び―抑圧された心のための原初理論 (1975年) 1,296円 Amazon |
直訳すれば「恐れのための涙」。
ヤノフの提唱した心理療法である原初療法
(ジョン・レノンらも受けたと伝えられる)は
「恐怖や心の痛み(Pain)を心にしまわないで、
子供のように声に出して叫べ(Shout)、泣け」
というもの。(wikiより)
初期のU2もそうだけど、ルックスは地味。
PVも際立ったことはなにもしていない。
あれだけ煌びやかだった時代なのにだ。
でも、当時のトレンドを押さえた重厚なゲート
リヴァーヴ的なドラム・サウンド、煌びやかなメロディー、
艶やかな歌声。そこはとない反核を含んだ歌詞でもって
「Shout」は全英全米1位を獲得した。
この楽曲は完成までに4ヵ月を費やしたらしい。
シングル・リリースについてもポップ・マーケットは
もちろん、ダンス・ミュージック・マーケットを視野にいれ、
Extended Remix Version、UK Remix、US Remix、
Dub Mixといった複数のヴァージョンを用意した。
しかも、2ミックス・マスターのextended versionではなく、
マルチ・トラックを使ったRe-mix(再ミックス)なので、
オリジナルとは違ったヴァージョンが楽しめる仕掛けに
なっている。
UK Remixの長尺ヴァージョン。オリジナルとはイントロから
違っているし細かいギミックが挿入され間奏が拡張されている。
3分30秒以降と5分以降にブレイクあり。
UK Remixは、プロデューサーのChris Hughesが担当。
US Remixは、当時USAで数々のextendedやRe-mix
を手掛けていたSteve Thompson&Michael Barbieroが担当。
イントロのドラム部分を拡張、ウワモノを排除したシンプルな
ヴァージョンに仕上げた。5分以降の急にドラムがハネだす
ブレイクが秀逸。
US RemixのDub Version
日本語訳の入ったヴァージョンも貼っておきます。
歌詞についてメンバーのローランド・オーバザルは、
「2つの解釈がある」と話している。「まず、わかりやすい方
は社会やら何やらで起きていて、それに自分が迷惑していること
を声を出して言おう、というもの。
もうひとつは英国にに米国の核兵器を配備しようという
動きがあって、それに対する反論の叫びだね。実際、この問題
では僕らイギリス人は本当に脅えているんだから」。
Sampled:Shout for England
/Dizzee Rascal&James Corden(2010)
シャウト+7 1,296円 Amazon |
ザ・エクステンデッド 80’sポップス・12インチ・シングル・コレクション 2,052円 Amazon |