最高裁は16日、3月末までに全国で実施された裁判員裁判の実施状況を公表した。強姦(ごうかん)致傷事件では裁判官だけによる裁判よりも厳罰化傾向がうかがえた。また、執行猶予判決のうち55%に保護観察が付き、裁判官だけの裁判の37%より高かった。

 判決が言い渡されたのは444人ですべて有罪。実刑は364人で無期懲役7人▽懲役20年超7人▽同10年超20年以下62人▽同5年超10年以下182人▽同5年以下106人。執行猶予は80人で44人に保護観察が付いた。

 強姦致傷事件では27人に判決が出され、懲役5年超は20人(74%)。最高裁は「判決の蓄積が多くなく特に有意な差はない」としているが、08年4月~今年3月の裁判官裁判では、懲役5年超は193人のうち102人(53%)だった。

 444人のうち起訴内容を否認したのは120人。公判の開廷回数は平均3.5回で、否認事件の場合は平均4.2回。2月末までの結審後の平均評議時間は7時間6分、否認事件は8時間34分だった。32人の裁判で被害者参加制度の利用が許可された。

 2月末までに判決を受けた308人のうち控訴したのは99人で控訴率は32%。

 また、09年12月末までに裁判員781人に行ったアンケート結果も公表。裁判員に選ばれる前は56%が「やりたくなかった」と考えていたが、終了後は97%が「よい経験だった」と答えた。【北村和巳】

 ◇裁判員「参加」微増の62%に…最高裁意識調査

 最高裁は16日、1~2月に全国2037人を対象に実施した「裁判員制度の運用に関する意識調査」の結果を発表した。選ばれれば参加すると答えたのは62.4%で、08年1~2月調査の60.3%から微増。参加意向の内訳は「参加したい」7.2%、「参加してもよい」11.3%、「義務なら参加せざるを得ない」43.9%、「義務でも参加したくない」は36.3%。

 制度開始で裁判や司法への関心が増したと答えたのは43.4%だった。【北村和巳】

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