2012年年末の某空手大会にて知り合った、インド空手経験者の某ドクターから「どうか武術(Wushu)」を教えてください」と懇願され、自宅の庭で平日夕方にその某ドクターの彼と妹さんに長拳の基礎を年明けから指導していました。

某ドクター本人(この時点で彼は30歳)曰く「僕は空手の経験が長くありますからできます!」と豪語しているものの、実は競技用長拳は他武道・格闘技経験者よりは「まっさらの未経験者さん」だったり「ダンスや水泳、バレーボール経験者」のほうが適応性が高い、と私個人は思っているので彼の豪語コメントはそれはそれとして。
むしろ気になったのは、ひとつ教えるととにかく「次教えてください!次!」しか言わないこと。
「前回習ったあの動作は家で100回やってきました!だからもうできます!次を教えてください!」と再三言われてしまい、まず感じるのは「100回という回数は、我々の世界では死ぬほど少ない回数の範囲でしかなくて、100回やったら完成じゃないんですけど…orz
のべで1万回、10万回、100万回……と続いていくのが当たり前なんですけど……orz」ということ。
それを「100回で完成、次行ける!」と思っているのは、彼個人の判断特性なのかそれともインド空手自体がそういう指導しかしてないのか、この時点でそこまでの情報を得てないため理解に苦しみます。

次に感じるのは、「空手の経験がある=武術(Wushu)もすぐできるようになるわけじゃない」ということ。
これは日本で指導していた頃にも複数見聞しましたが、「空手の経験があります」「少林寺拳法の経験があります」と自信ありげに入会してきた男性の生徒さんが必ず揃って「うそー!何でこんなにキツイんだー!」と初練習体験開始早々、圧腿(柔軟訓練)の時点で悲鳴をあげまくるのですね。つまり、「何かで経験がある=似て見える他のことがすぐにできるようになるわけではない」ことが、世の中にはときどき存在する、ということだと思うのですね。
もちろんその逆のパターンも然り、なわけですが。
ただまぁ、他武道・格闘技系から競技用長拳、は意外と容易ではないのは確かではないのかしら?とは思います。

それはともかく。

このプライベートレッスン方式、開始して2か月経過を待たずして、兄妹2人ともに来なくなってしまいました。
「次教えてください!次!」しか言わないタイプの学習者が、系統的なメソッドに沿った訓練になじめずすぐに飽きてしまうパターンも過去に多数見聞したことがありますゆえ、驚くことではないのですがね………

とりあえず、1ヶ月強指導してみて「私の指導は練習者が日本人でない人達にもちゃんと有効だ」ということは確認できたので、それで良しとするしかないのかな、とも思います。
熱心な練習者に巡り逢えるかどうかは、ある意味運命的な部分もあったりすると思いますしね。