あなたも分かる!オールドヴァイオリンの鑑定(ふくらみ編)
こんにちは!
オールドヴァイオリン専門店
㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン
山口保行です。
シリーズでお送りしています「オールドヴァイオリンの魅力」お読みいただけましたか?昨年の講演会でお話しした内容をさらに掘り下げますが、今日から「あなたも分かる!オールドヴァイオリンの鑑定」と題して解説させていただきます。写真が多いので上下スクロール必至です!ではよろしくお願いします。
今回はオールドヴァイオリンの個性的なボディの「ふくらみ」について解説します。アマティ、シュタイナーの指導、影響を受けた当時のオールドヴァイオリン。巨匠が「ヴァイオリンというのはこういうものだよ」と教えてくれるようです。
オールドヴァイオリンの特徴としてはまず「ふくらみ(アーチ)」ですね。現代よりも横から見て高さがあり横からf字孔がちゃんと見えます。
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楽器が膨らんでいる形をしているのがご理解いただけると思います。
次に製作国別にふくらみにも特徴があるので少し解説していきましょう。
イタリアンオールドは楽器の縦の中心が山のように盛り上がっているアマティスタイル、ジャーマンオールドは全体的に膨らんでいるように見えるシュタイナースタイルが多いです。
もちろん、どちらかではなく両者の中間を取っている楽器もありますし、時代の変化によって端正なストラディヴァリ型、ふくらみが低いフラット型(例:ガルネリ・デル・ジェス)なオールドヴァイオリンもあります。
ふくらみ(アーチ)を理解するポイントは「どこからふくらみが始まっているか」「どのくらいの高さがあるか」「体積は」等です。特に大事なのは「どこからふくらみが始まっているか」で、そこを理解するのに端からの画像も入れていますのでご参考ください。
①アマティ型
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②シュタイナー型
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③フラット型
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④ストラディヴァリ型
ここでは①と③の中間的なふくらみと理解してもらえれば良いかと思います。
①②③の違いを分かりやすく画像で比較してみましょう。ふくらみの始まりがどのくらいになっているのかがポイントでしたね。ではどうぞ~。
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理解の助けになるよう対象を比較しているだけですので参考になれば幸いです。「これが正しい」と決めつけることは逆に広く理解する、例外を受け入れることの妨げになりますのでご注意くださいね。
また③④の中間のような楽器もあります。
売れてしまって手元にありませんが、フランスの Lupot(リュポー)の1786年頃に製作されたOrleans(オルレアン)時代のヴァイオリンです。フラットなストラディヴァリ型でした。
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正面から見るとわかりませんが、この角度から見ますと、
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表板はほぼフラット型であまりふくらみが無いのがお分かりいただけると思います。
表板と裏板、それぞれのふくらみの組み合わせでさらに細かく分類できるのですが、それままた別の機会に。
アウトラインも巨匠の形を忠実に再現した楽器もあれば、ぽっちゃり型、角張っていたり幅広なスクウェア型、ウエストが引き締まったやせ型などもあります。
下記は入荷したものの、ホームページにアップしていません(すみません!このために写真を撮りました)が、スクウェア型の楽器です。両肩がすとんと下に降りている感じです。
ジャーマンオールドヴァイオリン Franz Knitl (1780年頃)
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f字孔も少し離れていて、幅広な感じです。①②を融合しています。
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④のストラディヴァリ型と随分違うのがお分かりいただけましたでしょうか?
なぜこのような違いが生まれたかというと、その製作者が二大巨匠から直接指導を受けたのか・間接的(孫弟子)か、独学か、さらに製作者の才能、センス、好みが作風に影響していると考えられるからです。
製作時期、特に移動(違う師匠に弟子入り、引っ越し、開業等)によって同じ製作者でも作風の変化が見受けられます。特に師匠を替えれば影響は大きいですね。
独立開業して自分の工房を立ち上げれば、自営業ですから顧客の要求に応えなければなりません。理由はあるとしても人気が出てきたストラディヴァリなど受けの良い、売りやすい形に除所に変化するのは自然の流れかと思います。
情報も少なく手作りが中心で量産体制が出来ていない時代(場所)はこのような個性的な楽器が生まれる環境にあったと考えられます。
今日もありがとうございます。
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