再会の果て 2 | 脱!マイナス思考。~私の母はパチンコ依存症~

再会の果て 2




「血液の病気ってどういうこと?」


「それが・・白血病とか・・・。」


「嘘っ!?」


「まだ結果が出たわけじゃないから。ねっ?」


「・・・・・・・・・・・・・。」




母を送り、家へ帰ると

自分しかいない家の状況に涙が出てきた。



「早くこの家を出て妹と離れたい。」

「妹がどこかへ行けばいい。」






ギスギスした生活の中で思い続けていたことが

現実になろうとしている・・?


どうしてもっと早く気づいてやれなかったのだろう。


無理やりにでも病院へ連れて行けば良かった。



自分の今までの行動に後悔し、泣き続けた。

結果が出るまでの間、心配で食事も喉を通らなかった私は痩せてしまった。


妹は相変わらずダルそうで、その状態を見るたびに不安が募った。



ある日仕事帰りに病院へ行くと

見慣れないパジャマを着た妹が母と談笑していた。



「ああ、お姉ちゃんお疲れ。」


「あれ、お母さん来てたんだ。

こんなパジャマ持ってたっけ?」


「お母さんが買ってきたの。」


「ええ!?お金ないのに何やってんの?」


「色違いもあるのよ。ほら!」



母は紙袋からもう1枚、パジャマを取り出した。

どう見ても妹が好きではなさそうな柄。今どきクマの模様はないだろうに・・。



「お金無いんだから、そんなことしなくていいって!」


「何言ってるのよ。病院で1日中横になってるんだから汗だってかくんだし、

可愛いパジャマ着てたら気分もいいでしょう?

大丈夫、これ安かったから!」


「で、でも・・・。」


「お母さんに出来ることはこれくらいなのよ。」


「・・・でもクマはないよ、クマは。」


「えっ?」



私と母のやりとりを見ている妹は、なんだかとても穏やかな表情をしていた。


母の元を離れて2人、暮らしてきた日々。

親からの干渉もなく自分勝手にしていた妹だったが、

心の奥底ではやはり母を求めていたのだろうか。。。


時間があればバスに乗ってやってくる母は

以前の、パチンコに依存する前の母と同じだったと思う。



その後、検査結果が出た。



幸いなことに「白血病」ではなく急性の肝炎だった。


「あの時の涙を返せ」と主治医に言いたいところだ。



妹はどんどん元気になり、見舞いへ行くと



「お姉ちゃん、雑誌買ってきて。ananじゃないよ、MOREね!」


「ねー、なんかケーキ食べたくなった。買ってきてよー。」


「あれ?また来たの?もういいよ。」



と言うようになってきた。元通りである。


あの時見せた涙は、きっと具合が悪かったからに違いない。


雑誌を買いに売店まで急ぐ姉がそこに、いた。



順調に回復し、退院した妹。


またケンカばかりの2人暮らしが始まった。


唯一、変わった点といえば・・

私が具合が悪くなったとき、気にかけくれるようになったことだ。


まあ、それが普通だと思うが・・。




それからしばらくして母から携帯に電話が入った。




「もしもし?」


「あ、お姉ちゃん?・・」




それがどんな電話なのかも知らずに・・



つづく。