すれ違う母娘 2 | 脱!マイナス思考。~私の母はパチンコ依存症~

すれ違う母娘 2


私の成人式終了頃から、母の仕事の勤務時間が変わった。

朝の5時から夕方までの勤務だったのが、夜9時から明朝7時まで。

私が一番に思ったことは「夜通しの勤務で体を壊すのでは・・」ではなく
「私達がいない昼間に時間がぽっかり空く」というもの。



空いた時間一杯、パチンコをするのではないか・・。



かと言って家に縛り付けるわけにもいかない。
私には仕事があり、妹には学校がある。

心配の種がまた一つ増えてしまった。

あの成人式以降、私は母と必要以上の会話をしなかった。
仕事から帰宅すれば、母は自分の部屋で仕事に備えて眠っている。
母が仕事へと向かう頃、私は逃げるように彼の家へ・・。



お互いがお互いを避ける、ぎこちない日々が続いていた。



そんな中、妹の就職が決まった。

この頃から世は俗に言う「不景気」で、就職先が決まらないから進学すると
いう輩がたくさんいた。

貧乏な我が家に「進学」の選択は無い。


「もう今度もダメかと思ったよー。」


妹はこれまでに2社、落ちていた。


「でもこれからは働いて、家にお金も入れるからさ!
私前から思っていたんだけど、この家古いし、狭いじゃん。
私もお金入れるんだし、この際引っ越さない?」



家族でのささやかな就職祝いの席で、妹は希望に満ち溢れていた。
実は、母が新たに借金をしていたことなど、彼女は知らない。


「・・そうだね。それもいいかもね。」


そう言って少しだけ笑う母。

この時、母は何を思っていたのだろう。
今より家賃の高い家に引越しなど、出来るはず無いのに。

「引っ越すならねー」と理想の家について話す妹を見て、
胸の奥がチクッと痛んだ。



「知らないほうが幸せな場合だってあるんだ」



そう思い、妹に母の新たな借金が発覚した事を言わなかった私。
この判断を悔やむ日がくるなんて・・


この時の私は分からなかった。


つづく。。