これはまぎれもない「文明の敗戦」だ。 | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

正木 高志
オリンピック行進曲にのって安倍政権の暴走が止まらない。
今日の状況は、おそらく世界中がそうなのであろうが、第二次世界大戦末期の日本のようだ。昭和20年春、敗戦が避けられないことは政府や軍の参謀たちにはよくわかっていた。しかしその現実を認めることができずに大本営は勝ち続けているという嘘の情報を発表しつづけた。もっと早く事実を受け入れていたら、沖縄・広島・長崎の悲劇は避けられたはずなのに。

ゴルバチョフはチェルノブイリ原発事故によってソ連邦が破綻したと語っている。
原発事故は国家の崩壊につながるほどの巨大な事故なのである。福島の場合はチェルノブイリの10倍ほどの規模だ。4号機の状況いかんでは100倍規模の惨事になるおそれがある。メルトダウンした1、2、3号機をどうやって安定させればよいのか、ノウハウも技術も人類はまだ手にしていない。文字通りこれは未曾有の大事故なのだ。

その事実をまっすぐ正しく受けとめたら、日本経済は成り立たない。これは日本の敗戦である。いや、放射能の影響は地球全体におよぶわけで、文明の敗戦と観るべきだろう。だから国は正しく受けとめることを避けた。事故を100分の1に過小評価することにした。そのために放射能の被爆許容値を世界基準の1ミリシーベルトから100ミリシーベルトに引き上げた。つまりこの事故は政府の発表よりも100倍大きいということである。

問題は、国や経済界がこの敗戦を認めないことにある。認める勇気がない。逆に原発の再稼働をすすめようとしている。世界中へのセールスさえ展開している。放射能も汚染水もブロックできないから、国民に知らせるべき情報を完全にブロックする。まるで無条件降伏前夜の大本営発表とおなじではないだろうか。もっとも今日の参謀本部は、日本政府というよりも、アメリカを本拠に世界経済を支配するグローバル企業である。

危惧されるのは、その結果引き起こされるさらなる悲劇だ。いま敗戦を認めなければ、それは現在の100倍規模の大惨事を産むことになるだろう。4号機の地上30mのプールには1500本の燃料棒がある。福一原発には15000本もの燃料棒が貯蔵されている。導火線に火がついて燃えている爆弾のようなものである。オリンピックどころでない。全力を注いで取り組まなければフクシマを救うことはできないし、フクシマから世界は救われない。

これはまぎれもない「文明の敗戦」だ。
一刻も早くそれを認めて、一からやりなおさなければならない。
ヒロシマを二度とくりかえさないために平和憲法をつくったように、
フクシマを二度とくりかえさないために生命の憲法をつくって・・。