ブルーベリー放射能検知のセシウム137について | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

に関連して、以下のような質疑がありました。
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 セシウムが崩壊過程で出す放射線を、※1はβ線と言い、※2は
γ線と言っていますよね。
 これはどちらなのでしょうか。
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 小金井市の協議会が使用している測定器は多分γ線しか測れないと
思うのです。東都生協もチェルノブイリ事故の後測定器を買った
のですが、一昨年職員に確かめたことがあり、γ線しか測れないと
言っていました。β線の測定は、それがどんな形状でどんな原理かは
まだ知らないのですが、シンチレーターとかいうものを使う、難しい
検査と聞いています。(小出さんが少し前に澤井さんと六ヶ所にいらして
空気を試料としてこの検査をなさったと聞いております。)
 
 なぜここにこだわるのかというと、食品の残留放射能が問題に
なるのは例の内部被曝ををもたらすものだから。ところが内部被曝は
一般にα線かβ線によると聞いています。この二つは粒子線で
あって、γ線より飛距離が短く、代わりに威力が大きいので
DNAを直接損傷するか、あるいは細胞膜に穴をあけ、そこから
活性酸素が侵入した結果DNAが損傷するということらしい。
γ線にはこういう威力はないように聞いています。

 ここで「半減期」というものを調べてみると:
http://wkp.fresheye.com/wikipedia/%E5%8D%8A%E6%B8%9B%E6%9C%9F
によれば、半減期というのは、確率上の数字に過ぎないそうです。つまり
全てのセシウムの“粒”が発生してから一斉に30.2年後にバリウム137m
に変わるというわけではないようです。
 とするとチェルノブイリ事故から23年の昨年、土壌成分に吸着しやすい
[※2より]セシウム137がぼちぼちバリウム137mに変わり始めた、
それがブルーベリーに吸収された、それで測定器にγ線が頻繁にキャッチ
されるようになったのでは?

ーーーーーーーーーーーーー(以上、Kさんの質問に対して)

ブルーベリーでの放射能汚染での情報、ありがとうございました。

 まず半減期のことですが、それはある放射性核種の原子核の数が半分に減るまでの時間の長さを表します。
 今、問題になっているセシウム137の場合、30年です。
 つまり、30年たって、セシウム137の原子核が半分になっているということですし、放射能の量も半分になっているということです。
 それからまた30年たつとさらに半分になりますので、当初のセシウム137原子核の4分の1になっているということです。

 セシウム137という原子核はベータ崩壊します。
 つまリベータ線を放出するということです。
 アルファ崩壊するということはアルファ線を出すということです。
 しかし、ガンマ崩壊というのはありません。
 ガンマ線は、ベータ崩壊、アルファ崩壊した後にできた原子核が不安定な時に放出されます。
 セシウム137はベータ崩壊しますので、ベータ線を出しますし、その後にできたバリウム137mという原子核が不安定なため、ガンマ線も放出します。

 ふつう、セシウム137を測定する場合には、ガンマ線を測ります。
ヨウ化ナトリウム検出器 はガンマ線しか測れませんし、測定感度も良くありません。
 それでも検出できたということは汚染濃度が高いということです。

六ヶ所ではトリチウムという放射性核種を測定しましたが、トリチウムはベータ線だけしか出しませんので、ヨウ化ナトリウムの検出器出はもともと測ることができず、液体シンチレーションアナライザーという特殊な測定器を使いました。

セシウム137はベータ線とガンマ線の両方を出し、内部被曝でも外部被ばくでも問題となる放射性核種です。

 小出 裕章