現政権の意向、現在の世論に沿った憲法改正なんて、真っ平御免だ! | 真の国益を実現するブログ

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あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

本日は憲法記念日ですね。

安倍首相は憲法改正に対する強い意欲をビデオメッセージで提示しました。
http://www.sankei.com/premium/news/170503/prm1705030019-n2.html

いわゆる保守や右派は盛り上がっていることでしょう。2020年に新憲法を施行とのことです。

ちなみに、筆者も憲法改正には賛成です。

しかしながら、安倍首相の「憲法は国の未来、理想の姿を語るもの」という憲法観には違和感を感じます。
憲法には当然ながら国家権力を縛るという意義がありますし、伝統に基づいた国がらを表す規範と考えるべきでしょう。
いったい誰の理想が憲法となるのでしょうか。安倍首相が考える理想なんでしょうかね。米国の価値観と合致したものになりそうで怖いです。

それにも増して問題だなと思うのが、憲法9条に対する国民の意識です。
先日発表された朝日新聞の世論調査では、「変えないほうがよい」がなんと63%もあります。
http://www.asahi.com/articles/ASK4L528LK4LUZPS004.html

調査主体が朝日新聞であるという点を割り引いたとしても、国民の半数以上が憲法9条を肯定しているのです。東アジアの軍事的緊張が高まっているにもかかわらず、驚きの結果です。

説明するまでもないでしょうが、改憲には国民投票において過半数の賛成が必要ですので、この憲法9条を大幅に修正、あるいは削除したとすれば、改憲が非常に困難になることが予測されます。

悲しいかな、とにかく世論を重視する安倍首相はじめ、憲法改正が悲願の右派と言われる政治家等も憲法9条の大幅修正、あるいは削除には消極的になりつつあります。

先にビデオメッセージでは、安倍首相は次のように述べています。
「もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けてしっかりと、堅持していかなければなりません。そこで、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います。」

次のような新聞報道もあります。
『改憲議論、重い足取り 「与野党協調」路線で9条は対象外に』
「自民党は緊急事態条項などを改憲項目の候補に据えるが、衆院憲法審査会で項目の絞り込みに入るのは早くても今秋以降だ。政治的対立を生みやすい9条は候補ですらない。」
「(与党である)公明党も26年衆院選までは自衛隊の存在明記を「慎重に検討する」と公約していた。しかし、山口氏は27年の安全保障関連法成立を理由に改正の必要はなくなったとの立場に転じた。」

世論受けだけが狙いの今や政界を引退したこの人も
安倍首相の集団的自衛権を認める憲法解釈によって、とりあえずのところ憲法9条改正の必要性は薄まりました。
http://president.jp/articles/-/18153
ほぼ与党と化し、キャスティングボードを握っている「日本維新の会」法律政策顧問の橋下徹氏の論です。おそらく日本維新の会への影響は今でも多大でしょうから、この政党も9条改正には反対するでしょう。実際、ホームページにある憲法改正への取り組みの中では、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置という3点だけに絞るとあります。
https://o-ishin.jp/policy/act01/

ところで憲法9条は憲法の第二章にあり「戦争放棄」と表記されています。この語句だけ捉えれば聞こえは良いですが、実質的には「戦力放棄」です。西部邁氏が度々主張されているように、2項においては物理的具体的用語として「陸海空軍その他戦力は、これを保持しない」とあるのです。解釈のしようがありません。自衛隊はどう考えようと違憲です。

繰り返しになりますが、安倍首相の「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」とはいったいどういう了見なんでしょうか。2項をそのまま残した上で、自衛隊を書き込むなんて、憲法内での整合性が取れなくなります。

とにもかくにも、国民がまっとうな自存自衛精神を持たない限り、憲法改正なんて禄でもないものになりますよ。
無論、統治機構改革や過激な自由貿易を望んでいる国民が多数派であることも、憲法改正において、危惧される点ですね。


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