全国農業協同組合中央会(JA全中)廃止の提言を見過ごしてはならない! | 真の国益を実現するブログ

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 農業改革について、自民党が6月9日に示した案では、全国農業協同組合中央会(JA全中)を頂点とする中央会制度について、「自律的な新たな制度に移行する」として制度を抜本的に見直す姿勢を示したものの、「廃止」の明記は見送られたようです。
http://mainichi.jp/select/news/20140610k0000m020101000c.html

 全国農業協同組合中央会(JA全中)は、昭和29年に、わが国のJAグループの独立的な総合指導機関として設立されました。http://www.zenchu-ja.or.jp/about/organization
 役割としては、全国の農業協同組合及び農業協同組合連合会の運営に関する共通の方針を確立してその普及徹底につとめ、もって組合の健全な発展を図る、とあります。
 もちろん、わが国の農業を発展、安全・安心で豊かな食べものの提供、地域社会への貢献を目的とするJAグループの取り組みを支援するために存在しています。

 筆者は農業や農協に関する専門家でもありませんし、JA全中と地域の農協との関係性についても、よく知りません。
 ただ言えることは、安倍政権下(自民党ではなく、特に官邸と規制改革会議等の民間議員とういう名の民間人)で、とりあえずは、廃止の結論まで至らなかったものの、農協という非営利の国家と個人の中間にあるような中間団体を否定する方向での議論が加速してきたということです。
 なお、株式会社化、独占禁止法の適用除外も、今後議論されていくでしょうから、千丈の堤も蟻の一穴であり、弱体化が進むものと思われます。彼らのいつもの手口ですね。

 我が国においては、これまでも、系列企業や談合、そして小泉竹中時代には、アメリカからの年次改革要望書に基づき、郵政民営・解体化が行われてきました。これも中間団体の否定ですね。

 19世紀フランスの社会学者、アレクシ・ド・トクヴィルは、アメリカの民主主義を検証した結果、民主主義を多数者による専制政治に堕することがないようにするためには、民衆と国家権力との間には、何段階かのクッション、フィルター機能を果たす中間層を設ける必要があるとしています。
http://www.hkg.ac.jp/~sawada/kougi/05/05.htm

 また20世紀のアメリカの政治学者、ウィリアム・コーンハウザーは、大衆社会の構造は、機能集団や地域集団の弱化に基づく中間的諸関係の脆弱性にあるとし、そこから選良は大衆にとって近づきやすいもの、大衆は選良に操作されやすいものとなると、結論付けています。
http://note.masm.jp/%A5%B3%A1%BC%A5%F3%A5%CF%A5%A6%A5%B6%A1%BC/
 欧米においては、古くは職業別組合や教会がその中間層なり中間団体の機能を担ってきたのですね。

 郵便局や農協、そして各種共済組合等の中間団体は、構造改革主義者から見れば、非効率であり既得権益者の擁護団体としか見えないのでしょう。しかし、これらが専制政治を阻止し、我が国の安定的、外国資本による富の収奪を阻止してきたと言っても過言ではないと思います。

 このまま安倍政権、特に官邸主導政治の暴走が続けば、おそらく専制政治の完成、そして外資による富の収奪が加速するでしょう。

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