ネット上にこの記事が
なかったので、直接画像を
載せてしまうが、先月に
総務省の有識者会議が
軽自動車税(軽乗用車、二輪車、原付バイク)の増税を提言し、
本日、新藤総務大臣にその
提言を盛り込んだ報告書を
提出した。
これに、スズキを筆頭とする
軽自動車メーカーや、
自動車業界と関係が深い
経済産業省が
「地方や低所得者の負担が増える」と
反発しているという内容の
記事である。
日本の郷土である地方や低所得者を
徹底的に破壊するTPPを推進する
経済産業省や自動車業界が、
「地方ガー、低所得者ガー」
と言うのは実に滑稽なわけだが、
正論ではある。
http://autoinfoc.com/hoyu/kokunaihoyu/hy-kokunaiihoyu-6.html
上記のソースのように、
全体の保有台数に占める
軽自動車の割合は4割近くにもなり、
増税となれば、
主な所有者である低・中所得者に
多大な影響を及ぼすだろう。
また、
中小企業や地方の農家・個人商店
などは、仕事で使う主な車が
軽のバンや軽トラで
あることが多いので、地方税収を
増やす目的で軽自動車税を
増税したところで、地方経済を
一層衰えさせ、日本のデフレ脱却を
難しくさせるだけだ。
一方で、政府は新たな
自動車の規格として「超小型車」を
つくろうとしている。
これは、125ccのエンジンを載せた
2人乗りの自動車を主なものとし、
高齢者や貧困層を対象に
していると見られる。
だが、軽自動車のいいところは、
高速も何とか乗れ、一般道では
回りを気にせずに走ることができ、
4人がのびのびと座れる
というところにある。
少子高齢化とはいえ、
デフレが進んでしまったことで
ファミリー層でも軽自動車に乗る
家は多くある。
それなのに、軽自動車税を
増税する一方で、そういった層を
ないがしろにする新たな規格を
推進するのはいかがなものか。
また、私はこの超小型車に近い
規格のエンジンを積んだ110ccの
バイクに乗っているが、バイクで
ちょうどよく一般道を走れる
程度の性能で、一般道でも
地方のバイパス系の一般道を
走ると、流れに乗るのが
難しかったりする。
だから、125ccのエンジンで
四輪車となると、道路によっては
流れに乗れないし、その遅さで
渋滞を起こす危険性もある。
渋滞が増えれば、
物流に支障が出て経済には
これまた悪影響だ。
さて、話が少しそれたが、
先述の記事だけだと、
この問題が地方税収を
増やしたい総務省と、
軽自動車の売り上げ減を懸念する
経済産業省・自動車業界による
国内での対立問題にしか見えない。
しかし、この関連の問題が
いつ表沙汰になったか、
皆さんは覚えていらっしゃるだろうか。
常にTPPという悪魔について
考えられ、国家を憂えている
国士の方ならば、タイトルを
見た時点でわかるであろう。
というか、
その悪魔のTPP問題で
表沙汰になったことなのだ。
正確には、昨年1月に
米国大手自動車メーカー3社、
いわゆる「ビッグ3」が
日本の軽自動車制度をTPPに
絡めて批判したのが発端である。
http://s.response.jp/article/2012/01/16/168399.html
そして、「ビッグ3」の
声に押された米国政府も
秋ごろには、日本の
軽自動車制度を問題視し始めた。
http://matomelog.ldblog.jp/archives/19744064.html
上記ソースが昨年の出来事な
だけに、確実なニュースサイトで
なく、ニュース記事を引用した
サイトのものではあるが、
確かに昨年、話題になったのは事実だ。
米国政府やビッグ3の
言い分はこうである。
「米国には大排気量車しかなく、軽自動車制度に当てはまる車がない。なのに、日本の車は軽自動車が多い。これは日本の自国産業に対する不公平な優遇だ」
と、最も自由競争を尊重するように
見える米国が、自由競争では
必要不可欠な努力(ここでは軽自動車の開発など)は一切せず、明らかに
自由競争とは真逆の国家的圧力を
他国にかけている。
さて、私が言いたいのは、
この軽自動車税増税の件は
これら、
昨年の米国によるTPPでの
圧力によるものが大きな背景
なのではないかということだ。
何せ、過去に規制改革会議や
経済財政諮問会議が米国から、
いわゆる「年次改革要望書」で
米国企業や米国にしか
メリットがないような
構造改革特区や郵政民営化に
代表される要求を、まるで
米国からの外圧などなかったか
のように推進してきた「実績」が
あるからだ。
こういった過去から
米国から要求されれば
抵抗などはせず、むしろ
国内問題に過ぎないかのように
振る舞って、実は米国のために
前のめりになってその要求を
成し遂げるのが恒例になっている。
実際、先述の総務省の
有識者会議の座長を務める
神野氏はこう述べている。
自動車税にCO2も加味、購入時は負担大-総務省検討会 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/MUQ1Q36JTSEW01.html
(中略)米国側がTPP交渉で軽自動車の優遇問題を指摘したことについて、神野氏は「念頭にないというわけではないが、だからどうということはない」と検討会への 影響はなかったとした一方で、「格段の優遇を受けるということがTPPでも問題になる」とも話した。軽自動車のセグメントはTPP交渉の過程で米国側が非関税障壁であり是正が必要と指摘してきた。
以上、引用。
TPPによる影響はないと
苦しまぎれに言っている
つもりだろうが、
「念頭にないというわけではない。」
「TPPでも問題になる」
これらの発言は明らかに
米国からの圧力がこの
有識者会議にまで及んでいると
推察できる。
過去の動きも含め、
こうした米国の圧力を、
「日本のためにもなったらいいなぁ」
程度の感覚で、事を進めている
ようにしか思えない。
これこそが対米敗戦を
今でも引きずってしまう
戦後レジームによる
最大の弊害ではないだろうか。
しかし、過去の
「負の実績」(郷土の破壊、格差拡大、デフレ長期化など)を
着実につくりあげた
規制改革会議や経済財政諮問会議を
復活させ、その諮問を
受けながらTPPを推進する
安倍首相はその
戦後レジームを壊すどころか、
その守護者の要素しか見当たらず、
戦後レジーム以前の伝統や国柄を
重視する保守とは一線を
画しているようにしか見えない。
また、日本の余計な妥協といえば、
こんなニュースもあった。
【TPP】減反廃止受けコメの関税引き下げ 778%を500~600%へ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/smp/economy/news/131105/biz13110508030001-s.htm
政府・自民党は環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP)交渉で重要5分野の一つとしている主 食用米の関税率について、現行水準の778%を段階的に500~600%に引き下げる方針を固 めた。生産調整(減反)の廃止によって米価は下 がるとの見通しから、関税引き下げも可能と判断した。平成5年のウルグアイ・ラウンド(多角的 貿易交渉)から維持した高関税政策を大きく転換 することになる。
コメの関税率の引き下げは、米国や豪州が要求している。政府・自民党は米粉や飼料米の関税撤廃を検討しているが、米国は主食用米に対しても 「数年かけてでも関税を完全撤廃してほしい」と 求めていた。
日本は完全撤廃について国内農家への影響から 「混乱が大きい」と拒否してきた。ただ、関税率 を引き下げると国産米の海外輸出の促進や国内農 家の大規模化などをもたらすと判断、数年ごとに段階的に引き下げることで調整に入った。
主食用米の関税に関連、自民党の石破茂幹事長は2日、札幌市の討論会で「(生産)コストを下げると、関税を下げていっても国内の農業が打撃 を受けない水準はある。778%が唯一絶対のも のではない」と述べ、関税引き下げに前向きな姿 勢を示した。
コメの関税率778%は、政府がウルグアイ・ ラウンドで「ミニマムアクセス米」と呼ばれるコメの部分開放受け入れと引き換えの形で設定され、海外米と60キロあたり平均2万円の価格差 を付け、大規模な輸入を食い止めていた。
それでも、消費者の「コメ離れ」が加速し、昭和38年に1340万トンだったコメの消費量 は、今年800万トンを割り込む試算もある。
自民党幹部は「500%台なら大規模な輸入は 食い止められる」とみており、政府・自民党はTPPを契機に減反の廃止と関税引き下げをセット で断行することで、コメ政策を抜本的に改革する考えだ。
以上、引用。
日本車への関税撤廃は20年先か…米、強硬姿勢 : ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131104-OYT1T00859.htm?from=ylist
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉 で、米国が日本車にかけている輸入関税の 撤廃が、協定発効から20年程度先となる公算が大きくなった。
日本は5~10年での撤廃を求めていたが、「TPP交渉の(中の)最も長い期間 で撤廃」するという日米合意を基に、米国が歩み寄りの姿勢を見せていないためだ。
米国の日本車に対する関税は、乗用車が2・ 5%、トラックが25%。関税撤廃まで20年 かかれば、米市場で日本車が長期間、不利な競 争を強いられるだけでなく、欧州連合(EU) など他の国・地域との通商交渉でも同様の厳し い条件を要求される懸念がある。
日本のTPP参加を認めるための日米間の事 前協議で、両国は4月に合意文書を締結。米国 の自動車関税については、「TPP交渉で認められる最も長い段階的な引き下げ期間で撤廃し、最大限、後ずれさせる」とし、米韓の自由 貿易協定(FTA)に盛り込んだ撤廃時期(乗 用車は5年)よりも長くすると定めた。
TPPの関税交渉は、2国間の相対交渉として行われている。関係者によると、米国は今夏 以降、すでにFTAを結んでいる国との交渉 で、関税撤廃までの期間をFTAと同じにする という方針を示している。米国は豪州とのFT Aで、牛肉やチョコレートの関税撤廃を18年 後としており、TPP参加国との交渉でも同程度の猶予期間を求めている模様だ。
ベトナムなど新興国の中には、関税撤廃までの期間を20年以上にするという方針を示す国も出ている。
こうした動きを受け、米国は合意文書通り、 日本に対して自動車関税撤廃までの期間をできるだけ長くすると主張している。
日本は当面、知的財産や投資ルールなど交渉 が難航している分野で、交渉全体の年内妥結を 目指す米国に協力姿勢を示すことで、譲歩を引 き出したい考えだ。具体的には、撤廃までの期 間短縮や、関税を段階的に引き下げて早期に 0%に近づける案を働きかける。
しかし、米国の自動車業界や議会は早期撤廃 や段階的な引き下げに強く反対しており、米政府もこうした意向を受け、合意文書を厳格に適用する姿勢を崩していない。
米国の譲歩を引き出せなければ、農業分野の 交渉で、関税を撤廃しない農産品を当初の想定 より増やすべきだとの声が国内で強まりそうだ。
以上、引用。
昨年の選挙で
「聖域なき関税撤廃に反対する」
とし、コメは特に「聖域」として
関税が維持されなければ、
TPP交渉の参加自体もあり得ないと
していた安倍首相だったが、
コメそのものの関税を
下げてまでTPPに邁進する有り様。
しかし、
TPP唯一のメリットだった
自動車の関税も即撤廃から
10年先になり、今度は
20年先になる可能性が高くなっている。
一方で、日本の輸入車に
対する関税はゼロで
公平な競争環境があるはずなのに、
上記のように米国の日本車に
対する関税は先延ばしにされ、
日本はなぜか米国から、
米国にとって邪魔な軽自動車制度を
変えるように要求される。
TPPはあらゆる分野の
自由化=弱肉強食化をするものだが、
自動車分野とコメの件についてだけ
見ても、戦後レジームの下で
妥協し、国家・国民の
利益を損ない続けたいつものオチが
迫ってくるのがよくわかるだろう。
戦後レジームからの
脱却をするため、逆に言えば
戦後レジームからの脱却を
不可能にする安倍首相の
TPP推進や、それをマンセーし続ける
新自由主義者や安倍首相の
カルト的信者の動きを止めるしかない。
そのためにも、日本国民たるもの、
安倍首相やマスコミが
醸し出す、虚構になってしまった
「アベノミクス」に浮かれず、
現実を、歴史を直視し、
認識することを始めなければならない。
