日本の米 | 真の国益を実現するブログ

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真の国益を実現するため、外交・国防・憲法・経済・歴史観など
あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

安倍総理は、「瑞穂の国の資本主義」を目指しておられます。そして、増補された『新しい国へ 美しい国へ 完全版』の中では、「棚田は労働生産性も低く、経済合理性からすればナンセンスかもしれません。しかしこの美しい棚田があってこそ、私の故郷なのです。そして、その田園風景があってこそ、麗しい日本ではないかと思います。」とも述べられています。
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一方、政府内では米の減反制度の廃止や減反に伴う補助金半減(http://news.livedoor.com/article/detail/8217730/)についても検討されているようですので、稲作、米について、筆者の思いを述べてみたいと思います。


大伴家持が詠んだ歌に「我が欲(ほ)りし雨は降り来(き)ぬかくしあらば言挙(ことあ)げせずとも稔(とし)は栄えむ」(現代語訳:わたしが待ち望んだ雨は降ってきた。この分なら、言あげしなくても、秋の実りは豊かだろう)という歌があるように(http://www.manreki.com/manyou/manyou.php?id=4124)、元々、1年の「年」、「歳」については、穀物、特に稲、稲が実ることを意味していました。まさしく、日本人の生活の周期が米作りそのものであったのです。

米がどれだけ秀でた穀物であるか、また水田の驚くべき機能を富山和子氏の著作『日本の米』等を参考にまとめてみました。

①水田は、最も太陽エネルギーの変換率の高い農地
まいた種の量と収穫した量を比較すると、15世紀の頃、小麦は約5倍、これに対して稲は20倍以上。現在、稲は130倍前後となりましたが、麦は24倍程度。http://www.maff.go.jp/kinki/seibi/midori/kagaku/03/19.html
②保水機能の大きさ
水田の総面積約260万haは、琵琶湖(約670km2)の約40倍。日本の国土には、琵琶湖40個分に相当する湿地帯があることになります。
http://www.inakajin.or.jp/midorihozen/midori/tamenteki-kino.html
③大気浄化機能の大きさ
全国の水田のSO2吸収量は年間約2万5,000t。NO2吸収量は年間約3万5,000t。
http://www.inakajin.or.jp/midorihozen/midori/tamenteki-kino.html
④棚田の地すべり防止機能
水田が耕作維持されている場合、地すべり災害の発生件数は全国で151件(うち中山間地93件)と推定されますが、もし水田が耕作放棄された場合の発生件数は、10倍以上の1,851件(うち中山間地1,092件)になると予測されます(農林水産技術会議『農林水産業の持つ国土資源と環境の保全機能及びその維持増進に関する総合研究(S63)』より)。
⑤長期の保存がきく
古代より糒(ほしひ)という蒸した飯を乾燥させて旅などに持ち歩いた保存方法ですが、20年間の貯蔵に耐え得たそうです。

水資源の確保、国土保全という観点からも、米作り、そして非効率ではあるかもしれませんが棚田が欠かせないものであるということが分かります。また、農村においては、米作りと言う共同作業を通じた家族・地域共同体の絆の要であるということもできるかと思います。



減反政策に関しては、米食離れが進む中にあって、米の需給調整、価格維持という見地から、それなりのメリットがあったことは否定しません。しかしながら、減反の奨励は米食離れと相まって稲の作付面積を減少させてきました。また、畑作への転換も想定どおりには進まず、休耕田、荒地が増加しています(別グラフ参照)。そして、休耕田の増加は洪水、地滑り等自然災害の増加、害獣問題の原因にもなっています。

したがって、筆者は減反政策の廃止には賛成ですが、廃止後予測される米の供給増加による米価低下は必至であり(輸出量が増加する可能性はあるかもしれませんが、国際価格との比較から高価格での販売は一部品種を除き難しいでしょう)、米作農家の収入低下は避けられず、農家保護のための何らかの対策は必要となってきます。そして、それは、TPP推進論者が言うような農地集約化による大規模農家の育成、法人の参入推進を主とした国際競争力強化のみに活路を見出すようなものであってはならないと考えています。
(筆者は、海外への稲作技術の移転による食糧飢餓国の食糧生産増加、環境保全への寄与には大賛成です)

安倍総理が述べておられるように、棚田は労働生産性も低く、経済合理性からすればナンセンスですが、美しい棚田があってこそ、その田園風景があってこそ、麗しい日本なのです。

筆者は農業政策に関して素人であり、具体的な対案を出すことはできませんが、多額の国費を突っ込んでも、とにかく、棚田を守ることができるような総合的な施策を願いたい。現実とあまりにかけ離れた理想かもしれませんが、国会議員や官僚の方々には、棚田のある風景を後世に残すという意識を持って、農業従事者の意見を十分に聞いた上で、今後の稲作のあり方について議論していただきたいと思います。

日本浪漫派の中心人物であった保田與重郎はこう述べています。
「我が国は古来より「米作りによる祭りの暮らし」を営んでいるが、その暮らしこそが建国の理想そのものであり、日本及び日本人の永遠を約束する。その暮らしは日本人の道徳の基盤であり、さらに、戦争という観念さえ生じない絶対平和の根拠である」
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