【日本は財布】日本のデフレを喜ぶ国がある?【キャッシュ・ディスペンサ】 | 真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するため、外交・国防・憲法・経済・歴史観など
あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

・日本のデフレを喜ぶ国がある
・日本のお金が海外へ流出している

「何のことやら?」と思うかもしれません。
結論を最初に言ってしまうと、「日本は過剰に貯蓄しており、余ったお金は海外へ流出し、海外の政府や金融機関が喜んでいる」ということです。

先に結論を言ってしまいましたが、つづいて理屈を説明します。

まずは、産経新聞の経済記者、田村秀男氏の記事をご覧ください。

【日曜経済講座】消費増税は誰のため? 日本は欧米の「現金支払機」なのか 編集委員・田村秀男

【一部抜粋】
 中川さんは帰国後、訪ねてきた米共和党の要人に向かって、口頭でホワイトハウスへの伝言を託した(筆者はこの場に居合わせた)。内容は、「いくら世界のためだ、黙ってカネを出せと言われても、日本はキャッシュ・ディスペンサー(CD、現金自動支払機)になるつもりはない」。遺言だな、と今思う。

 消費税増税問題を国際金融の次元でとらえ直すと、日本は増税によって米欧のための「キャッシュ・ディスペンサー」の役割を確約したといえるかもしれない。

 日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、その基本的な担い手は家計である。家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。金融機関は資金の多くを日本国債や外国証券に投資して運用する。財務省は外国為替資金特別会計を通じて金融機関から円資金を調達して米国債を購入、運用する。

これは、どういうことでしょうか?

経済学用語ですが、「貯蓄・投資バランス」という言葉があります。
一国経済の所得から消費を引き算すると、貯蓄が求められます。
そして、貯蓄の中から投資へまわることになります。

消費は、国民が食糧や娯楽品などへ使うお金だと思って下さい。
投資は、企業が工場建設などに使うお金だと思って下さい。

では、貯蓄から投資を引き算しても、まだお金が余る場合は、どうなるのでしょうか?
正解は、「外国への貸出」へまわります。

これは、以下のようなたとえ話で表現することが可能です。

・Aさんは、サラリーマンで、年間の手取りが500万円です
・Aさんは、1年間に400万円の支出をします
・Aさんは、余った100万円を銀行へ預けます

余ったお金を「銀行へ預ける」とありますが、これは銀行へ100万円貸しているのと同じです。

日本の貯蓄投資バランスを確認してみましょう。

$日本を安倍晋三から取り戻す!真の国益を実現するブログ

1993年までは、以下のような構図です。
・家計が大幅な過剰貯蓄
・企業と政府が過剰借入
・全体としては純貯蓄で、純貯蓄が海外へ流出している

一方、1998年以降は以下のような構図になっています。
・家計貯蓄が割合としては下がる
・企業が過剰貯蓄へ転換
・政府は過剰借入
・全体としては純貯蓄で、純貯蓄が海外へ流出している

つまり、日本は一貫して「お金が海外へ流出している国」だということです。

日本国内でお金が使われれば、国内で色々な人が潤ったのに、もったいないとは思いませんか?

また、グラフ内で「経常収支」という言葉があります。
これも経済学用語なのですが、以下のように理解してください。

・経常収支=貿易・サービス収支+所得収支+経常移転収支
・経常収支の黒字=資本収支の赤字
・経常収支の赤字=資本収支の黒字

日本は、何十年も貿易黒字を継続していましたから、海外に莫大な資産を持っています。
だから、利子収入だけでも莫大になるため、「所得収支が巨大」です。

そして重要なことですが、経常収支が黒字ということは、「海外へお金が流出している」ことでもあります。これは、先ほどのAさんのたとえ話で理解できますね。

「日本さん」は海外から莫大なお金を得ており、出ていくお金(輸入の支払)よりも大きいため、余ったお金は「貸出」として出て行くことになります。

・・・いかがでしょうか?

これで、日本がデフレだと喜ぶ国がある理由が、おわかりいただけたと思います。
日本から流出していくお金で「安く」お金を得て喜んでいる欧米の金融機関や、政府があるのだろう、ということです。

小泉内閣の時に「円キャリートレード」という言葉が流行しました。
これは、金利が極めて低い日本円で借りて、金利が高い新興国などへ投資する手法のことをいいます。

日本がデフレだと、「欧米の金融機関が儲かる」ということなのです。

京都大学の藤井聡教授は、この状況を「日本財布論」と呼びました。
日本は欧米の「気軽に使えるお財布」として利用されていた・・・ということなのです。

ひどい話だとは思いませんか?

もう一度、中川昭一先生の言葉を、引用して締めくくりとしたいと思います。

「日本はキャッシュ・ディスペンサーになるつもりはない」

$日本を安倍晋三から取り戻す!真の国益を実現するブログ