ルーマニア語の時制は、直説法で分類すると(接続法と条件法は措く)、
「現在形」「未来形」は異論ないが、
過去時制には「複合過去」「半過去」「大過去」「単純過去」がある。
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前々から感じているのだが、
各言語で「時制」の呼称が異なるのが、ややこしい。
ルーマニア語文法は、フランス語文法で考えると理解しやすく、
時制の概念と定義は、そのままフランス文法と同じである。
このうち、「単純過去」はフランス語では普通に使用される(やや文語的だが)のだが、
ルーマニア語の「単純過去」は、文学作品に見る以外は、
オルテニア(旧ユーゴに隣接)の一方言であるらしい。
外部から侵入してきた支配階級の言語は、時間が経つと単純化される傾向がある。
そう考えると、「単純過去」が一方言にまで落ちぶれたのが面白いのだが、
それでも、「大過去」のような複雑な概念の時制が生き残っているのも謎である。