「屋根の雪が落ちて隣家の車両を破損させた場合」の賠償責任の考え方 | 保険って何だろう?|保険アドバイザーのブログ

「屋根の雪が落ちて隣家の車両を破損させた場合」の賠償責任の考え方

大雪の際に発生する事故の中に「屋根の雪が落下して、隣家の車両に損害を与えてしまった」というものがあります。

この場合、「雪が落ちた建物の所有者が加害者」「車両を壊された人が被害者」という構図が成り立つため、加害者へ車両の修理代金などについて損害賠償請求をしようという発想となります。
特に、被害者が車両保険に加入していれば被害について保険で対応することができますが、車両保険に加入していない場合には賠償請求の意向は高くなると言えます(損害物がカーポートや建物などの場合には、火災保険の範疇となります)。


こうした事故で、たまにお客様から「雪が落ちた建物の所有者は、被害者に対して賠償しなければならないのか?」というお相談を頂くことがあります。

その質問に対する答えは、「その地域の降雪頻度や状況によって責任の重さが変わる」となります。

雪が長い期間降り続くような豪雪地域では、建物所有者は落雪事故を防止するための責任を負います。具体的には、雪止め対策の状況や雪下ろしを実施していたかどうかといった事です。

一方、雪が降る機会の少ない首都圏では、「所有者の責任よりも、自然現象の一部」という考え方の比重が大きくなり、責任の度合いは軽くなる傾向にあります。

責任の度合いについて、雪ではなく、台風被害を例に挙げると分かりやすいかもしれません。
例えば、しっかりと取り付けていた看板が超大型台風の上陸の際、風速30m以上の強風に煽られて飛ばされてしまい、他人の住宅にぶつかったという事故が発生した場合。看板所有者がその全ての責任を負わなければならないとしたら、「むしろ、不条理ではないか」と考えるのが一般的ではないでしょうか。

落雪事故についてもそれと同じような考え方が適用されるという事です。
*個別ケースにおける最終的な判断は法律の専門家である弁護士に相談して頂くようにお願いします。


ちなみに、こうした事故に対して損害賠償請求を受けた場合に対応できる保険として『個人賠償責任保険』もしくは『施設賠償責任保険』といったものがあります。上記のような事例で、「加害者に責任あり」と判断できれば、保険支払いが可能となります。