カイくんが、タカシくんのお母さんに、何やら耳打ちするのを、
ケンタとタカシくんは、少し離れたところで、見守っています。
「いいの?ホントに?」
目を見張ると、遠慮がちに聞く、タカシくんのお母さん。
「いいの、いいの!」
カイくんが言うと、こちらをうかがっている、ケンタたちを振り向くと、
「何してるんだよ!こっちへ来いよ~!」
と言って、手を振ります。
ケンタとタカシくんは、顔を見合わせて、
「しかたないよね」と言って、近付きました。
「おばさん、あのね、ボクたちねぇ」
戸惑うタカシ君のお母さんのことなど、全く気にすることなく、
話続けます。
いいことを思いついた、という顔をして、どうしても話さずには
いられない…と、うずうずしているカイくん。
呆気に取られて、遠慮がちにしているケンタたちをよそに…
ますます元気に、ますます饒舌に話しています。
タカシくんのお母さんは、その勢いに圧倒されて、
困ったように、タカシくんを見ます。
カイくんが、ムチャを言い出したりしないか…と、
タカシくんは少し、ハラハラしました。
そんなみんなの想いなど、まったく気づかないようで、
カイくんはニヤニヤとして
「おばさん、あのねぇ、お願いがあるんだけど」
無邪気な顔つきで、タカシくんのお母さんの顔を
見上げました。
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