幸次郎の示した画面に、善行は吸い寄せられるようにして見ると・・・

画面に埋め尽くされた人形の数に、辟易として、

「なんだ、これは」と驚き、

「これって・・・あの人形じゃないか!」と、声をあげました。

スクロールした画面の隅っこに、確かにあの人形によく似た人形が、

小さく写しだされていました。

画面が小さいので、ハッキリとはしませんが、同じもの、もしくは

似たもののように、見受けられました。

 

「あったんだ」

幾分興奮気味に、善行が言うと、

「どうだ?当たってそうだろ?」

幸次郎が、嬉しそうに言います。

「そうだな」

なんの迷いもなく、善行がうなづくと、

「1度、会って話がしてみたいな」と言いました。

それを聞いていたのかどうか、わかりませんが、部屋の隅から

人の気配がしました。

自分達以外に、誰かいるのか・・・と、耳をすませていると、

部屋の影から、湧いて出たように、黒装束の男が姿を現しました。

あまりに自然に現れたので、初めは、幻か、単なる影かと

誰もが思いました。

するとよっちゃんが「うわっ!」と言って、飛びのきました。

まるで、足元をゴキブリがウジャウジャ大量発生したような

リアクションです。

「なんだよ、一体」

善行が、声をかけると、よっちゃんは世にも奇妙な声を上げて、

再び、「出た!」と叫んだので、

「なに、ゴキブリか?」

「いちいち叫ぶな!」

と、善行は叱るように言いました。

 

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