「もっとも、うちも、ボランティアみたいなもんだから、そんなに金、

出せないけどな」

善行は、相変わらず、ナマケモノのような、のんびりとしたよっちゃんをたきつけようと、

画策しています。

「親友から、金を搾り取るなんて、思ってなんか、いないよ」

おやおや、中々殊勝な心掛けで・・・

(金目当てじゃないのか?)

思わずつぶやきそうになり、ぐっと押しとどめ・・・

その間も、不安そうに見守っている、少年の視線を背中に感じて、すんでのところで、

言いたい言葉を飲み込みました。

 

「ま、とにかくヒマなんだろ?のぞきに来てくれ」

と、努めて、軽い感じで言うと

「え~?今から?」

やはり、素っ頓狂な声が返ってきたので、善行は思わず、顔をしかめる。

「あたりまえだろ」

よっちゃんが、四の五の言う前に、ガッチャンと、電話を切ってしまう・・・・

振り返るなり、

「大丈夫だよ。すぐに、来るだろう」と声をかけると、安心そうに、少年は肩を落としました。

(車、持ってこいと、言うの忘れたけど、ま、すぐに取りに行けるから、いいか!)

そんな思惑は、よっちゃんは、今のところは知らないはずです・・・

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