,善行は、黙って少年の話を聞いていましたが、
「それがどうして、物を捨てることになるんだい?」
と、口をはさむと、少年はうなづくと、
「新しい母は、気性の激しい人で・・・母のおもかげのあるもの・・・
母の持ち物すべてを、根こそぎばっさばっさと捨てて行くので、
「これは、たまらん」と、一時避難ということで、納戸にしまい込んだのです。
ところが、新しい母親は、とにかくやきもちやきで、ボク達に、母のことは、
一切話さないようにと、強要しました。アルバムの写真、母の服、こまごまとした荷物・・・
一切合切捨てられて、
このヌイグルミも・・・捨てようとしたけれど、そのたびに、部屋の鍵は、ゴミ箱から、」
救出しました。
「新しい母親の気持ちも、わからんでもないが、・・・それにしても、ひどいな。。。」
「なんで捨てたか、きいたの?」と善行。
すると少年、頭を振って、ため息をつく。
「悪気はないんだろう。
だけど、新しいおかあさんの気持ち、考えたことはあるのか?」
と、聞くと、またしても、頭を振りました。
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