昨日のヘディングの話題で、「岩政選手が相手選手にのしかかるようにヘディングしたのに、ファウルを取られないのはなぜですか?」という質問をいただいたので、少し解説したいと思います。

確かに経験者でなければ、空中戦でのファウルは分かりづらいところがあると思います。ポイントは、ボールに向かってプレーするということです。

僕は「少し斜め前に飛んでヘディングする」と言いましたが、これはあくまでボールに向かって、という意味であり、敵にのしかかろうと思ってジャンプしているわけではありません。そもそも、相手を見ながらジャンプしていたら、動くボールの位置が把握できないので、ヘディングのタイミングが合いません。

相手選手がファウルになるのは、ボールにチャレンジせずに、僕の進路をふさいでいる形になるときです。ボールにではなく、相手にチャレンジをすることがファウルになります。逆に僕が、手で相手の背中を押すように飛んだらファウルになります。そう見えないためにも手を振り上げて、ボールにプレーすることが大事です。

大学4年生のときに鹿島の練習に参加させていただいたときに、秋田さん(秋田豊)にヘディングのときに一番意識していることを伺ったことがありました。秋田さんは「相手は関係なくて、自分の一番高いポイントでヘディングすること。」と教えてくれました。

実は僕も同じことを思っていて、そのとき再確認できたようで嬉しかったのを覚えています。自分が一番いいタイミングで、いい状態でヘディングできる回数を増やせば、当然勝率は上がります。

ただ、相手選手もプロです。頭を使って競り方に変化を加えてくる選手がいます。これは経験の中で学んでいくしかありません。

以前、日本代表でご一緒させていただいたとき、シュンさん(中村俊輔)に、「ヨーロッパでは、ゴールキックをヘディングで大きく弾き返しただけで拍手起きるよ。」と教えていただいたことがありました。

そこで弾き返せばチームは前向きでプレーできますが、負ければみんな戻りながらプレーしなければいけません。その勝率はチームの安心感や勢いにつながります。

最近、ヘディングの重要性が薄れてきている気がしますが、そうなればそうなるほどヘディングという特徴が出しやすくなります。僕はいつの時代もヘディングはチームを助けるものだと思っています。