空飛ぶ殺人ウサギ ― ボーパルバニー | 無人のモグハウスで発見された手記

空飛ぶ殺人ウサギ ― ボーパルバニー

今回のコレの出典元は、いわゆる神話や伝承の類ではありません。もちろん実在のものでもありません。
少しばかり毛色の違う本日のお題は、コンピュータRPGの始祖 Wizardlyより、恐怖の首斬りウサギ“ボーパルバニー”です。


このボーパルバニーは、前述の通りWizardlyの旧作、狂王の試練場(Proving Grounds of the Mad Overlord )や、ダイヤモンドの騎士(Knight of Diamonds)などに登場していたモンスターです。
以前 ご紹介したかばん語の「Vorpal」の名を冠されたこのウサギは、パっと見はただのウサギなのですが、その愛らしい外見(我々日本のユーザが馴染みのある末弥純氏によるイラストだと特に)とは裏腹に、クリティカルヒットを繰り出してくるという極めて危険なモンスターでした。
Wizにおけるクリティカルヒットは、ただの痛打ではなく、一撃の下に首を刎ねるという即死攻撃を意味しています。
つまりこのボーパルバニーに対する時は、どんなにHPが多かろうが、どんなにACが低かろう(=防御力が高い)が、常に死の危険と隣り合わせになるということなのです。

ボーパルバニーが危険な相手というのは割りとよく知られていることなので、初遭遇時に既に予備知識があるという人も少なくないのですが、実際に首を刎ねられてみるとその外見との余りのギャップに思わず唖然とされられます。


さて、実はこのボーパルバニーには元ネタが存在します。
英国のコメディグループ“モンティ・パイソン”による1975年作のコメディ映画、「Monty Python and the Holy Grail」に登場した、空飛ぶ殺人ウサギがそれです。


「Holy Grail(聖杯)」のタイトルからもわかる通り、この作品はアーサー王と円卓の騎士たちの聖杯探索をテーマとしているのですが、劇中に愛くるしいウサギが宙を舞い、騎士たちを次々に惨殺していくという、シュールでブラックなシーンが存在します。
その絵面のあまりのインパクトにインスパイアされて誕生したのが、クリティカルヒットによって冒険者たちの首を刎ねるボーパルバニーというわけです。

つまり、FFXIのそれはパロディを更にパクったという形になりますね。孫引きとでも言うんでしょうか。


ヴァナ・ディールにおけるボーパルバニーは、オルデール鍾乳洞に配置されたRabbit族モンスター、Vorpal Bunnyとして登場します。
WizのVorpal Bunnyとも、モンティ・パイソンの殺人ウサギとも異なり、とりたてて危険のないただの汎用のRabbit族mobに過ぎません。


……ところで、パロディとは言え「Vorpal Bunny」の名称は、あくまでWizardlyで考案されたものだと思うのですが、勝手に使ってしまって問題ないんでしょうかね?