山の青銅 ― オリハルコン | 無人のモグハウスで発見された手記

山の青銅 ― オリハルコン

と言う訳で、本日のテーマは“オリハルコン”についてです。


ファンタジーRPGなどでは御馴染みのアイテムで、これが登場するタイトルも相当な数に上ると思われますが、その実体についてはどうでしょう。
おそらくは、「なんだかよく判らないけど、すごい金属」という印象しかないのではないでしょうか。実際のところ、その程度の扱いをされているケースをよく見かけます。


オリハルコンは、その知名度ばかりが先行して、名前が一人歩きしてしまったアイテムの一つと言えます。
例えば、伝説の剣はとりあえずエクスカリバーにしとけ。例えば、魔道書ならとりあえずネクロノミコン にしとけ。例えば、すごい金属はとりあえずオリハルコンにしとけ。といった具合です。

では、実際にはオリハルコンとは何だったのでしょう。


オリハルコンは、古代ギリシャの哲学者プラトンが自著の中で言及した、アトランティスで建築物の装飾などに用いられていたとされる金属です。


その語源は、山を意味する「Oros」と青銅を表す「Chalkon」の合成語で、つまり「天然の青銅」というあり得ざるものを暗示していると言われています。
後に詩人のヘシオドスは、オリハルコンの正体はその名の通り青銅か、あるいは真鍮だったのではないかと考察しています。

また、この他にも赤銅や黄銅だったのではないか、と諸説紛々です。


その特徴として知られているのは、火のように輝くという事、そして手を離すと宙に浮くほどに軽い(力が作用せずに浮くなら、重い軽いの問題ではなく反重力が作用しているとしか思えませんが…)という点で、よくRPGで言われているような、特別硬いとか聖なる力を秘めているとかいったことはありませんでした。

とは言え、武器や防具の素材として採用されるケースが多いでしょうから、何らかの優位性がないと製作者側は困るわけです。オリハルコンの武具向けのスペシャリティは、そうして捏造されたものというわけです。夢のない話ですがね。


FFXIにおけるオリハルコンは、前回のアダマンインゴット と同じく、合成素材として登場します。
入手手段もアダマン鉱とほとんど同じで、採掘やBC報酬です。


合成の際必要となるスキルは彫金で、オリハルコン鉱白金鉱を合わせることで、オリハルコン(何故かオリハルコンのみ“インゴット”になりません)となります。
前述の通りオリハルコンは「硬い」という特性を持っていませんでした。そのためなのか、オリハルコン自体はさして硬くはないが、合金化することで強度が飛躍的に上昇する、という説がいつの間にか語られるようになり、それが定着したが故の製造レシピだと思われます。

おそらくこれはRPG用の設定と思われます。プラトンの書「クリティアス」にそんな記述があるという話は聞きません。