皆様こんにちは。ご訪問ありがとうございま~すv

少々浮かれ気味な私。

浮かれてる…ちょっと違うな。緊張してる、が正しいかな。

今回から新しい挑戦です!!


今回のテーマ 「 コラボ作品 」 は、「 有限実践組 」を運営していらっしゃる一葉梨紗様と当ひがなきままにを運営しておりますだぼはぜとの連載作になります。
何分、一葉さんにおんぶにだっこ…な状態でスタートした不安要素満載の私のターンでございますが、楽しんでいただけるようにがんばりま~す!



さて、内容ですが、

基本原作沿いですが続き妄想ではありません。

ネタバレなし、両片想い連キョ。そしてシリアスです。


よろしくお付き合いくださいませ~v




 前話(一葉さん作)こちら⇒【sWitch/

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■ sWitch ◇6 ■





『 …俺が、付き添います』


 望んではいけないと思ったけれど、その言葉は何よりも心強くて。
 折れそうになる心を、くじけそうになる自分を

 強く、強く支えてくれる言葉だった。



「……すみません、敦賀さん」

「…何が?」

「怒って…ます、よね?」

「どうして…そう思う?」

「私の我儘で…仕事のスケジュールが…。ただでさえお忙しいのに」


 俯くキョーコの肩は小さく震えていた。


――― まいったな。彼女のせいじゃないのに…


 自分の負の感情を、何故か驚くほど的確にキャッチするキョーコの勘の良さが、今日ばかりはさすがに恨めしい。

 今の蓮の負の感情。それはキョーコが思っているようなことから発生しているのではない。

 忙しさは仕事がうまくいっている証拠でもあるし、目標に向かっていることを実証できるものであるのだから、正直誇らしく思う。また、そのことによって、まとまった睡眠や食事が摂れないことは別に大した問題ではないと思っている。


 では、何がそんなに蓮を苛立たせているのか。

 それは…。


――― 羨望、だな。


 ローリィに選択を迫られたあの時。自分は親元へ行くという選択肢を切り捨てた。

 役者として、誓いを立ててこの地を踏んだ者として。

 その誓いを果たす前に帰ることはできない、と。



 けれど。


 キョーコは違った。

 請け負っている仕事の量が違うとはいえ、その仕事をこなしたうえで、『彼 』 の所へ行く、と。

 本気で、血のつながりも、法的結びつきもない、互いのこころの絆のみで繋がる『 親 』 の所へ行こうとしていた。

 誓いも決意も、キョーコと自分は全く違うとわかってはいても、素直に感情を吐き出して、叫べる彼女が眩しかった。


 自分が選択肢から切り離したものを拾い上げることを決めたキョーコが間違っているとは思わない。同時に、自分の選択も間違っているとは思わない。『人』を選ぶか、『仕事』を選ぶのか。それだけのこと。後悔は…しないとは言い切れないだろう。ただきっと。父も自分と同じ選択をするだろうから、そんな自分を仕方ないな、と言ってくれるだろうとも思う。


――― そこが…男と女の違い、なのかもな


 父の危機状態に、息子を呼んでくれと言った母のように。それをすることが、後で夫から責められることになるかもしれないと知りながら、息子を呼ぶことに踏み切ったその決断と、キョーコの必死の訴えとはどこか似ている気がした。


――― 彼女だって、この業界の厳しさを知らない訳じゃない。


 いや、謙虚な性格をしているキョーコだからこそ、高慢になってこの “ 理 ” を忘れて墜ちて行った者たちのことを見て戒めているはずだ。移り変わりの激しいこの芸能界において、どれだけ有名、高名になろうとも、一瞬の油断で一気に最下層へと引きずりおろされる現実は常にある。低い位置だからと言って、安心していると、そこからですらも引きずりおろされる。

 そうならないためにも、現場での信用は絶対で、穴を空けることは許されないのだ。

 蓮の場合はそれに、自分自身の矜持も含まれるわけだから、なおさら仕事に穴を空けることは選択できない。後悔するとわかっていてもそうせずにはいられない自分の頑なさと、動かないことで後悔することをしたくないと柔らかいこころで動くキョーコ。

 それを羨ましくないと言ったら嘘になるかもしれない。

 そう思う自分が許せなくて苛立つのか、それとも…。

 迷い、帰路に立たされた自分の選択を、キョーコを理由にして都合のいいものへと変えてしまった自分自身が許せなくて苛立つのか…。


「そうだね、怒っている、と言われればそうかもしれない」

「すみま「ストップ!」」


 すかさず謝罪しようとするキョーコを留めて蓮はキョーコの頭を上げさせた。不安に揺れる瞳に苦笑しつつも、蓮は安心させるように優しい口調でキョーコが心配している 『 怒り 』 を否定する。


「君に対しての怒りじゃないから謝らないで。それに、君に謝られると余計に落ち込むから」
「…?落ち込む?敦賀さんが?」
「まぁ、色々とね。それから、仕事のことは社さんが調整してくれるから、心配いらないよ。社長も言ってたけど、この後アメリカには行く予定だったから元々仕事は絞ってあるしね」
「でも…」
「さ、この話はここまでにしよう。これからお互いに忙しくなるからね。睡眠不足にならないように、今日はもう帰って寝なくちゃ」


 無理やりにこの会話を終わらせると、それを測っていたようにローリィの秘書がキョーコを下宿まで送り届ける旨を申し出る。キョーコは何か言いたそうにしながらも、蓮に一礼してその場を後にした。


 その姿を見送り、蓮も駐車場へと向かう。


――― 俺の選択は、間違っているんだろうか…。

     貴方なら、何を選択しますか…父さん


 蓮は駐車場に向いながら、この人生の岐路をどう切り抜けて行くべきかと深く溜息をつくのだった。





⇒sWitch◇7につづく

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いやはや…ローリィ―私邸から出るまでで1話って…。

一葉さん、こんな調子ですよ、私。あっはっは~(←壊れた)


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