結局。


火曜日以降どころかいつもと同じ更新状態になってしまいましたガクリ

頑張ってはみたんですけどね。

結局週末更新でございますよ…泣き1


しょうがないなぁ、と思って下さっている方々。

しょうがないついでに覗いて行ってやってくださいませ苦笑


では、以下からスタートです。
















妖-あやかし-恋奇譚 22

  ~回帰の章~



 静まり返った部屋の中で、魂が出かけてしまっているキョーコを腕に抱き一人で座している蓮。
 腕の中のキョーコを見つめているその姿は、まるで一人でさまよう幼子のようであった。
 蓮を知るものが見たら、皆口を揃えて言うことだろう。
 『らしくない』 と。

 だが、今の蓮の心中は本当にさまよう幼子そのものの不安定さであった。ともすれば千々に心が乱れて自分が結界を張っていることすら忘れそうになる。
 もちろん、そんなことをすれば腕の中のキョーコは帰る道を見失ってしまう。

それでも。

 それでも、彼女の危機を救うのは自分でありたかったと思う。自分が彼女を探し出して連れ戻したかった。

 だが、それをしてしまえば、互いが会うことすら叶わずさまよいつづけることになる…。
 そんな簡単なことがわからない蓮ではない。
 ないのだが…。


「それでも…やっぱり探し出したい…」


 いつもなら、ここで久遠の横槍が入りそうなものだが、キョーコを想う気持ちは同じだ。

 どちらのほうがキョーコをより強く想っているか、ということはなく。

 とにかく何者にも代えがたい存在。

 その認識は一致している。

 だからこそ自分自身で探し出したいのだ。


 今度こそ、久遠と、蓮の両者の想いをもって。




 だが、無情にも流れ続けていく時間に募る不安と焦り ―― 。


「…いっそ…このまま俺も回廊に入って…いつか魂だけでも逢えることを望もうか」


 時がたつにつれて、このままキョーコが戻ってこなかったら…という恐怖に駆られる。

 まともな思考の状況であればいかにそれが無意味で利点のない行動かは分かるし、他人がそれをしようとしているのを見れば、蓮は間違いなく愚かだと批判しその行動を止めるであろう。

 でも、今の蓮にはその 『 まともな思考回路 』 というものは働いていない。


 理性と衝動の狭間で揺れ動く精神は、時とともにわずかずつではあるが衝動のエネルギーとして溜まっていき、爆発寸前になっていた。


「やはり、このまま待っていても状況は変わらない。動くか!?」


 誰に言うわけでもない。…いや、蓮の中のもう一人、久遠に向かって言った言葉かもしれない。

 だが、久遠の返事はない。

 それは、久遠も無言の肯定をしたことに他ならない。

 蓮はキョーコの体を抱きしめたまま、そっと目を閉じて精神を統一し始めた。


「早まったことをしてはいけませんよ、蓮殿」


 部屋の中に響いたその声に、蓮は集中を解いて声のした方を見る。


 その声は、半分期待し、半分違っていればいい、という複雑な思い向けていた相手のもの。

 何もない空間を凝視していた蓮の目に、その相手が空間のひずみから現れてくるのが映る。そして蓮は安堵と同時にがっくりする自分を感じていた。


 しばらくその姿が霧に包まれたようになっていたが、次第に纏わりついていた霧がとれてはっきりとその姿を現してくる。

 そこには、晴明と、彼に抱きかかえられているキョーコの魂の姿があった。


「!!…ひ…め…キョ…キョーコっ!!」


 叫ぶように自分の名を呼び、こちらを凝視する蓮の姿に驚くキョーコ。晴明はそのキョーコを降ろしてやりながらそっと囁く。


「さぁ、ご自分の体にお戻りください。それでやっと、この夢幻回廊は終わりですよ」

『は…はいっ!ありがとうございました晴明様』


 晴明にここまで連れてきてもらったことに感謝をこめて、綺麗なお辞儀をして礼を述べる。

 その姿に、晴明の顔も自然とほころんだ。


「どういたしまして。あぁ、ほら。ご自分の体が反応してますよ。早くお戻りくださいね」

『はいっ!』


 …元気に返事をしたものの、どうやって戻ればいいのだろう…と逡巡したキョーコだったが、とりあえず自分の体を確認しようと視線を晴明から自分の体を抱えていてくれている蓮の方へと向けた。

すると…。


 ―― あら?あらら?


 振り返る瞬間まで晴明のそばにいたはずなのに。

 今、キョーコの目の前にあるのは心配そうに覗き込む蓮の憂い顔。


「よかった…キョーコが戻ってこれて……」

「…蓮…様…?」

「ん?何、キョーコ」

「蓮様…なんですよね?」


 確認するように自分を見つめるキョーコの言葉に、何を言わんとしているのかわからなかった蓮。 

 そして、蓮もキョーコの瞳を覗き込む。


「――――!!」


 その瞳に映し出された自分の姿を見て、蓮は思わず唖然としてしまった。


「これは…いったい…」


 

 そこにあったのは、どう見ても 『蓮』 ではなく、 『久遠』 の姿。

 蓮自身の戸惑う姿にキョーコもどう反応してよいのか分からず、しばしそこは静寂に包まれるのであった……。





つづく




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


と、こんなところで切るなぁ!と斬られそうですが。

短めですが、今回はここまであが限界のようです。


「あれ?蓮vs晴明は?」


そこはまた次回へ~♪(← )

いつも予定と変わって申し訳ない…なく


それではまた~vv





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