祝 はぴばーすでぃ蓮サマ!!


と、いうわけで。

せっかくのお誕生日。何かしたいな~と。


もう寝ようと思ってたのですが、とりあえずUPしておきます。


前回の『陽だまり』蓮サイドです。

寝ようと思ってたところに一気に書き上げたので、誤字等の指摘はお手柔らかに願います泣き1

こんなへろへろなヤツにお祝いされても嬉しかないとは思いますが。

それでもやっぱり叫びたい。

おめでとー!!


ってなわけで、以下からです。






陽だまりの天使~side.R~



 今日はせっかくあの子が家にいて、天気も上々なのに…。

 


当たり前のように仕事が山になった過密スケジュール。

でも、仕事に不満はない。

きちんとこなしていけばいいだけだ。

何が不満か、と言われれば…。


 あの子が一人で家で待ってる。


それだけ。



「すまないな~、蓮。やっぱこれが限界だ」


申し訳なさそうに事情を知る社さんは俺に詫びる。


「別に社さんが悪いわけじゃないですよ。むしろここまで短縮してくれた事に感謝です。ありがとうございます」


本気でそう思う。この有能なマネージャーがいなければ、きっと今日の帰宅も午前様になっていたに違いない。

感謝の気持ちを込めてお礼を言うと、少し照れたように笑うマネージャー。


「そういう顔はキョーコちゃんにだけ向けてろな。下手に他の人が見たら勝手に倒れてるぞ」

「・・・・そんなもんですかね。まぁ、気をつけます」

「そうしてくれ。さて、あと少し。さっさと終わらせような」

「はい、勿論です」



そんな会話を交わして数時間後。

きっちりしっかりスケジュール調整が功を奏し、俺は早々に帰宅の途につくことができた。


「じゃぁ、蓮。明日は昼からだけど…遅れるなよ。あと、キョーコちゃんもお前とほぼ同じ時間だから」

「はい、ありがとうございます」

「…その顔はホントにキョーコちゃんだけに向けろって。緩みすぎだぞ、蓮。じゃ、な」


手を振って車から降りた社は、蓮にしっかり釘を刺していくのを忘れなかった。

そんな社に蓮も苦笑し、そしてキョーコが待つわが家へと車を走らせていった。



 インターフォン、押した方がいいか…?


そんなことでしばし玄関前で考えていた蓮だが、そっと入ってキョーコをびっくりさせようか?と子どものようないたずら心で帰宅を知らせるインターフォンはやめることにする。

音を立てないようにそぅっと玄関を開け、中に入る。


「・・・・・あれ?・・・いる、よな?」


センサー式の廊下の照明が点灯して、キョーコの靴を照らしその存在を教えるが、部屋の中はやたらと静まり返っている。

首をひねりつつ、音を立てないようにリビングへ向かう蓮。

そして、その視界に入ったのは…。


淡いブルーの布団に身を預け、すよすよと気持ちよさげに眠るキョーコ。

キョーコの着ている白のニットワンピースと淡いブルーのコントラストは、まるで青空の中の陽だまりに天使がいるようで…。


しばし、その寝顔のあまりの無邪気さに見とれていた蓮だったが、このままではキョーコが風邪をひく、と思い、ひとまず声をかけてみる。


「最上さん」

「・・・・・・・・」


が、反応なし。

むしろさらに気持ちよさげににっこりしたものだから、崖っぷちの蓮の理性はぐらりと大きく傾いた。


 ダメだ。こんな所で理性を手放したら、それこそ二度とここには来てくれなくなる…。


軽く頭を振り気持ちを落ち着けて、自分の動揺を悟らせないようにキョーコの苦手な似非紳士スマイルを貼り付ける。

そして、そのままキョーコの体を抱き上げた。


ふわり、と言う表現が似合うほど、蓮にはキョーコの体は軽く、本当に背中に羽があるのではないかと馬鹿な考えも浮かぶ。


そのまま寝室へ向かおうと思ったが、抱き上げてから布団がそこにあることに気がついた蓮は仕方なく一度キョーコを起こす事にした。


「最上さん、・・・最上さん、ほら、起きて。風邪、ひいたら大変だから


腕の中のキョーコの体を軽く揺する。が、起きるどころか反対にもぞもぞと蓮の腕の中で動いて頬を摺り寄せるようにしてくるから蓮はたまったものではない。

ただでさえなけなしの理性を働かせて抱き上げているというのに。


「・・・・君は、どこまで俺を試すんだい?」


ボソリと呟いたつもりだが、かえってキョーコには目覚まし効果があったらしい。

微妙に眉間にしわが寄っている。


「これ以上のことを俺にされても構わないのかな?」


どうせ殆ど聞こえていないだろうと、つい本音が口をつく。

まだ目を覚まさない腕の中の天使に、焦れた蓮はそ、っと唇をキョーコのそれに重ねた。

と、同時にキョーコが覚醒した。

まんまるに目を見開いて、蓮の顔を凝視している。

思わずしてしまったキスだが、挨拶程度の軽いもの。

でも、蓮にとっては大切なキス。

思わず破顔していたら、顔を赤くしたキョーコがおずおずと蓮を見上げて口を開く。


「あ、あのぉ。そのような天使の微笑みをされているところに誠に恐縮ですが、『試す』だとか、『これ以上のこと』とか、どういう意味でしょうか?何よりこの体制は…?」


天使、と言われて蓮は思わず驚きの表情を見せる。天使の表現はむしろキョーコのほうだろうと思っていたところだったので。

そして、ふ、と笑みを深める蓮。

「…参ったね。そうだなぁ…『これ以上のコト』は、差し詰め『神の国を追われる行為』とでも言っておこうか?」


言いながら抱き上げる腕に優しく力を込める。


「ちょ・・・それって一体っっ」

「ん?そう、君にとっては未知の世界に踏み出そうか、っていうコト」

「そそそ、それはっ・・・そのっ・・・」

「…やっぱり、ダメ?」

「あ・・・・の、だ・・・」

「だめ?」

「・・・・じゃ、ない・・・・デス


消え入りそうな声ではあるが、蓮の問いかけに顔を真っ赤に染めながら答えたキョーコをぎゅう、とさらに優しく、力強く抱きしめる。

早鐘を打つ自分の鼓動と、そっと自分に身を預けてくれるキョーコの重さが、その現状を嘘ではないと知らしめる。




抱きしめて、捕まえる。



抱きしめるほどに捕らえられる。




陽だまりのようなかわいい微笑の天使に。




おわりv