育鵬社と普通の教科書を比べてみる(公民)。平和主義編 | だばなか大介オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本共産党河内長野市議会議員 だばなか大介

 好評につき続編を書こうと、育鵬社と東京書籍を読み比べるほど、怒りがわいてきました。

 平和主義です。

 まずは東京書籍

 上段の写真は広島平和記念式典と平和の鐘の写真からはじまります。

 本文は、先の戦争で他国に被害を与えた。自国も傷ついた。だから憲法で戦争を放棄し世界平和を目指す9条を定めたと、
 日本国憲法の前文からはじまる憲法の定めを素直に教えています。

 ちなみに憲法前文は
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

 続いて「自衛隊と日米安保条約」として、自衛隊の個別的自衛権による合憲解釈と反対意見の存在と日米安保条約を説明しています。

 育鵬社を見てみましょう。

 育鵬社の平和主義のオープニング写真は自衛隊。中学生の女の子が挿絵で「国民は自衛隊にどのような印象をもっているのかな」と言っています。
 自衛隊が平和主義に貢献してるかの印象づけを狙ってるのでしょうか?

 そして平和主義の本文は、戦争に負けて占領された。連合軍から非武装を求められ平和主義を基本原則とした。などというひどい内容です。仕方なく平和主義を謳ったみたいな書きぶりです。

 戦後の日本が国際社会の仲間入りをする土台となった侵略戦争への反省が、まったく見られません。
 当然、国際社会で認められる主張ではありません。

 次に育鵬社は自衛隊の誕生を警察予備隊から説明しています。
続けて育鵬社の次のページを見ます。

 

 上段に出てきたのは、各国の国民に国防の義務を取り上げ
「第9条と自衛隊」として、自衛隊の個別的自衛権による合憲解釈と、反対意見の存在を述べています(別のページでは憲法改正を大きくとりあげています)。
 育鵬社の教科書を見ていると、平和主義を自衛隊が支えているかと錯覚してしまいます。

 ここで東京書籍の次のページを見てみます。
 

 本文では、自衛隊が防衛という従来の任務に加えて、PKOや紛争処理に参加しアメリカとの防衛協力が強化されている。一方でこのような自衛隊の任務の拡大は、世界平和と軍縮を率先して訴えるべき日本の立場にふさわしくないとの声もある。としています。

 最後の「軍縮を目指して」では、日本は被爆国として非核三原則を掲げ、軍縮による世界平和をアピールすることが、国際社会において日本の果たすべき使命なのです。とくくっています。

 平和主義を教えるための普通の教科書です。

 さらに上段には囲みで「沖縄と基地」のコラムがあり、基地を縮小しなくそうとする運動が続けられてきた。「基地はいらない」とする沖縄県民の声が紹介されています。
 東京書籍はここで平和主義の項は終わりです。

 しかし、育鵬社はここで終わらず、まだこの項が続きます。これがまたひどい。

  
 今度の挿絵は尖閣諸島での中国船の衝突事件、アルジェリアの日本人拘束、北朝鮮のミサイル。

 いきなり物騒です。
 さっきのページで平和主義を自衛隊が支えているかと錯覚し後にです。

 最もひどいのは育鵬社は本文で、「戦後の日本の平和は、自衛隊の存在とともにアメリカ軍の抑止力に負うところも大きいといえます。」などと言い切っています!
 
 戦後の日本の平和は、憲法9条の存在とともに国民の声と運動に負うところも大きいと教えるべきです。公民の教科書なんですから。

 先の戦争の反省はせずに、軍事力が平和を支えているいるなんて、いつの時代の話か?
 いま世界は、国連の場、話し合いの場で国家間のもめ事は解決しようという時代です。

 まさに戦争をする国づくり、戦争をする人づくりを進める教科書です。

 さらに次のページは 
 
 このページでは北朝鮮が危ないとか、横の挿絵で近くの国の軍事力の図を載せたうえで、「2014年に憲法解釈を実情に即して改めて、集団的自衛権の行使を限定的に容認する事を閣議決定しました。そして2015年には平和安全法制関連二法が成立し日本の安全保障が強化されました。」とのべています。

 何言ってるんですか!集団的自衛権容認は、憲法違反を犯しているんです。まさに「公民」が破壊されてるんです。国民の半数以上が安保法制に反対し、連日国会で数万の人が「主権者として」声を上げ、立憲主義を守らない政府を包囲している事こそ、「公民」で教えることでしょ!

 そして上段には「沖縄と基地」のコラムが東京書籍同様にあります。
 しかし、その内容は、「日米安保体制がアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠」と言い切り「負担軽減を行なっている。普天間の辺野古移設を進めている」というもの。これは政府の言い分だけしか載っていません。沖縄のすさまじい運動のもとで、知事も国会議員も沖縄県民が選んでいる政治家はみんな基地反対派です。
 
 腹が立つし、ホントの「公民」が学べない、子ども達が主権者として育てるのかが心配です。
 私の知り合いが「公民とは主権者を育てる学問だ」っていってましたが、育鵬社の教科書はどこをとっても主権者の立場がなく、あるのはお国のために働けです。断固育鵬社の教科書は許してはなりません。



 最後に憲法違反の戦争法(安保法制)を合憲とする学者は沢山いると菅官房長官が言って、実際3名しか名前を挙げることが出来ませんでした。

 
 
 そのとき菅房長官が挙げた名前が

 百地章氏、西修氏、長尾一紘氏ですが
 そのわずか3名の内2名が育鵬社公民教科書の著作に関わっています。
 

 できたら、さらなる続編も書きたいです。期待せずに待っててください。

 子どもの頃、大人になったら勉強しなくて済む。早く大人になりたいと思っていましたが、
 なんか中学生の時より、いま勉強してるんですけど・・・・