ファストファッションから大量の汚染水とごみの山




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【上間常正@モード】
 ファストファッションと呼ばれるような服が、どのように作られているのか? 経済的に貧しい国での、低賃金の長時間労働、劣悪な労働環境、そして環境汚染……。2013年4月にはバングラデシュで縫製工場の入った8階建てのビルが倒壊して、1100人以上の死者、約3000人がけがをした事故もあった。そうしたことはかなり知っていたつもりだけれど、現実感を伴ったものではなかった。





 東京・渋谷のアップリンクで公開中のドキュメンタリー映画「ザ・トゥルー・コスト」(真の代償)は、ファストファッションの服作りの現場が思っていたよりはるかに過酷で代償も大きいことを示している。また、十分に知らないでいたことへの反省という“代償”をも迫る内容だった。


 映画では、縫製工場とそこで働く女性たちの生活や思い、工場からの汚染水や農薬による深刻な健康被害、川や海などの汚染による漁業被害の実情を、それとは対照的なファッションショーの華やかな舞台や先進国の服の売り場のにぎわいなどの光景を織り交ぜながら淡々とリポートしていく。



 バングラデシュの首都ダッカの縫製工場で働く一児の母シーマは、朝から1日12時間以上働き、つかの間の夜はバラックのような寮で寝るだけ。休みは月1、2回。それでも驚くほどの低賃金だが、そのほとんどを田舎の家族に送金している。子どもに会えるのは年に1、2回しかないという。


 衝撃的だったのは、カンボジア・プノンペンの縫製工場で2014年、賃上げを要求する工員のデモに政府の治安部隊が発砲する場面だった。それにより4人の死者と多くの怪我人が出た。一人の女性はこう訴える。「私たちの血で作ったものを、誰にも着てほしくありません」。そんな服を、品質のわりには安いとの理由で、喜んで買って着ることができるのだろうか?


 アメリカのサンクスギビングデー翌日のバーゲンセールでは、価格をさらに下げた服やバッグが並ぶ会場に大勢の買い物客が殺到。大きなかごにお買い得品をこれでもかと詰め込む姿も。その姿は楽しげで、楽しみのために必要以上に鳥や動物たちを追い回して殺すハンターたちを思い起こさせる。


 代償は、服作りに直接かかわらない人たちにも及ぶ。インドの皮革工場から出た汚染水は、周辺地域の人たちの健康に大きな影響を与えているようだ。皮膚にダメージを負った女性の顔は、まるで破れた大きな顔面マスクを被ったように見えて心が痛む。服作りにはさまざまな有害化合物が必要で、大量に作ればそれだけ大量の有害物質が排出される。服が大量に作られ消費されれば、大量のごみにもなる。燃やせば温室効果ガスも出る。製作過程も含めてファッション・アパレル産業が排出する炭酸ガスの量は、石油産業に次いで第2位なのだという。


 この映画では、こうした問題に危機感を持って活動している人たちの発言も紹介している。環境問題にこだわるファッションデザイナー、ステラ・マッカートニーは「巨大で強欲な(ブランド)企業が大きな利益を上げているのに、何百万という(この分野)の労働者たちになぜ適切な支援ができないのでしょうか」と語っている。


 大量生産・消費がもたらす弊害が限界に差し掛かっているのは、ファストファッションに限らず、多くの高級ブランドでも状況はさほど変わりはない。そして、ファッション産業だけだというわけでもない。しかし本来は長期耐久品だった服を消耗品にしてしまった現代のファッションは、これから率先して大量生産のあり方を変えていく義務があるのではないかと思う。



 そのためには服を着る側が、作る側で起きていることについて、知らなかったりそのふりをしたりではいけない。誰かが、または何かが大きな犠牲になっているような服を着る「自由」などはないはずだし、そんな服を着てファッション本来の楽しみなどは味わえないのだから。




【写真】縫製工場、工場から排出される汚染水、服のゴミの山…写真はこちらから

(文 上間常正/ 朝日新聞デジタル「&w」)

朝日新聞社


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ファストファッションに潜む影|過酷な労働環境が引き起こした、悲しい事故←--クリック



バングラデシュビル崩落事故の悲劇!原因は?事故のその後について  2015/10/28 ←---クリック(こちらのリンクから転載させていただきました(__))


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2013年4月24日、バングラデシュの首都
ダッカの商業ビル「ラナ・プラザ」が
崩壊するという大事故が起こりました。

この事故による死者は1127人、負傷者は
2500人という未曾有の大惨事となりました。

事故の原因は?

8階建てだったというラナ・プラザですが、
じつは5階建てだったものを8階建てに
違法に増築しており、それが崩壊の原因と
なりました。


建物の強度なんか無視して
作ったんでしょうね。

バングラデシュには建築法などの法律自体は
整備されていますが、それを遵守するという
意識が希薄だったのだとか。

さらには事故が起こった時刻は朝の
通勤ラッシュだったこともあって
被害が大きくなったと言われています。

タイミングも最悪だったんですね。

事故前日、すでに建物に亀裂が入っていた
そうで、崩壊する兆候はあったのだとか。

ビルを使用しないように警告も受けて
いましたが、ビルの所有者はこれを無視。

事故を回避するチャンスはあったはずなのに
安全管理を最優先にする意識などまったく
持っていなかったんでしょうね。



利益優先が招いた事故

バングラデシュは「世界の縫製工場」
の異名をとるほど繊維輸出が主要産業と
なっています。

同ビルにも縫製工場が入っており、
崩壊事故も発電機の振動と数千台に上る
ミシンの振動が誘発したと言われています。

当然、こうした工場でできた製品は
欧米や日本へも輸出されており、
安い労働力として先進国が
利用している現実があります。

日本からはユニクロでお馴染みの
ファーストリテイリングも同国に
進出しています。


安全管理よりも利益を優先してしまったのは
先進国にも少なからず責任があるという
ことにもなりますね。

ちなみに事故後にビル所有者や
工場経営者などが逮捕されています。

その後について

事故を受けて、先進国がバングラデシュから
搾取していた構造が問題視されるように
なりました。

じつは2012年にもダッカにある衣料品工場で
火災が発生し、工場に勤務する117人が
亡くなるという惨事がありました。

火災の原因はむき出しの電気配線に
ホコリが入ったことで引火したため
だったのだそうです。

ビル崩壊事故の以前にもさまざまな
問題があったということですね。

そこで欧州では安全性確保のための
国際合意がなされ、参加企業が出資して
ファンドを作り、資金援助や技術支援を
行うようになったのだそうです。

ちなみにこの国際合意には
ファーストリテイリング
参加しています。

途上国の安い労働力をいいように使い倒す
態度を改めたんですね。

さらには各工場の建物の強度や防火対策、
避難路の確保などもチェックし、基準に
満たない工場は仕事を受けられない
仕組みとなりました。

厳しい基準とはいえ、人の命には
代えられませんからね。

政府も本腰を入れて対策に乗り出し、
規模の小さい個人経営の工場でも
問題があれば操業できないように
取り締まっているのだとか。

国の重要な産業を揺るがしかねない
問題なだけに、先進国任せではなく
国を挙げて対策するという姿勢を
見せたんでしょうね。

ただ、工場で働く労働者の労働条件の
改善は進んでおらず、経営者の労働者に
対する扱いも問題になっているのだとか。

いわゆる日本の「蟹工船」
みたいな状態でしょうか。

日本もそうであったように、労働者の権利
といったことも根付くのはこれからなのかも
しれませんね。

事故で犠牲になった人々のためにも、
バングラデシュの労働環境がこれから
よりよくなることを祈りたいですね。



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