ロンドンの実態 (3) ドリンク編 | 在英邦人、でも心はキューバ

在英邦人、でも心はキューバ

期間限定、シャンハイ在住。
英国&ニッポン共に年2回ペースで里帰り中。

英国の国民ドリンクといえば伝統的にやっぱりビール。


パブで「ビールください」、といっても通じない。

それはケーキ屋さんで漠然と

「ケーキください」、と言っているようなもの。

何を、どれくらいの量、

「ラガー」とか「ビター」とか銘柄とか、

中ジョッキくらいのグラスのパイントとか、そのハーフとか

外国製ビールならボトルとか、いろいろ特定しないと。


彼らは延々と飲む。

だいたい立ったまま飲む。

「ジャスト・ワン・ドリンク」とか

「クイック・ビアー」とか言うくせに

文字通り「最初の一杯」で終わったためしはない。

原則的に割り勘をしない英国人は、例えば4人でいたら

最初の1人が4人分の飲み物代を支払う。

そしてお代わりは次の人。

次のお代わりはまた別の人。

人数分の「ラウンド」が続く。


空腹時に飲むと酔いがまわるし

アルコールは食べ物とセットで楽しみたい私が

お腹がすいた、と遠回しに言うと

気の利いた誰かがピーナッツかクリスプス(ポテトチップス)を

買ってきてくれることもある。

意図が違うんだけど...。


最近はパブでもワインが飲めるようになってきた。

それ自体は歓迎。

でもパブで袋物のスナック類つまみながら

イマイチのグラスワインを飲みたいとは思わない。

パブならビールの方が似合う。


イタリアとフランスでは短期だけどワインスクールに通っていた。

両国には今も定期的に買出しに行っているし

(純粋に自宅消費のためのワイン)

かなり好きな方だと思う。

でも試飲会でもないのに、ウンチクたれるような人は苦手。

ワインは美味しい食事と一緒に仲間と楽しむもの。

音楽と同じ。

理屈じゃない。


平均的イギリス人は、とりあえず味にはこだわらず

ファッションとして「グラスワイン」を手にする人も多い。

場所にも依るけど、グラスだと「へ?」という品質のワインにあたることも。

それでも値段は大抵ビールよりも高い。

逆にブランド志向でボトルに数万円を支払う人もいる。

価値がわかってるかどうかはともかく

一緒に食べてる食事が、、、、、の内容なのに、

ワインだけ良くたってバランスが取れていない。


ステーキには赤ワイン、魚には白、とか

そういう決め事の話ではなくて、

例えば、美味しい日本酒に脂っこいファーストフードをあわせたり

美味しいお茶にコンビニのスナックをあわせたりする感じ。

そういう無神経さが悲しい。


地元で取れた最高のお刺身が手に入ったから

とっておきの大吟醸開けましょう、とか

老舗のお菓子を頂いたから

美味しいお煎茶を淹れましょうね、とか

そういうのがない。

とっても悲しい。


やっぱり「愛」がない。

口にするものへの愛情やリスペクトを感じられない。


たかが食べ物、飲み物と言うなかれ。

私にはとってもベーシックでエッセンシャルな問題。


衣・食・住のうち

「着るもの」にも「食べるもの」にも敬意を払わない国民。

「住」に対する思い入れは相当だけど。

でもそれは自分の家、自分の住む地域に限定の話。

路上のポイ捨て率の高さ、ごみの分別率の低さは

とても「先進国」とは思えない。


食べ物、飲み物だけではない、

青空がないというだけではない(実は最重要項目だったりする)

私がこの国と相性が合わないのは

沢山の複合的な理由の合計...。