妊娠中はレタスとブドウに要注意 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・妊娠中はレタスとブドウに要注意
―日本での環境ホルモン農薬によるリスクとは
事務局・ジャーナリスト 植田武智


妊娠中の有機食品摂取で「尿道下裂」のリスク58%減少
 妊婦が有機食品を食べると、子どもの生殖器の疾患リスクが減るというノルウェーでの研究が、2016年3月に発表された*1。

男の子が生まれた3万5107組の母子を対象にした調査で、母親の妊娠初期4か月間の食事に関して有機食品を食べた頻度を聞き取り調査した。

その結果、有機食品を食べていた母親の子どもでは、食べていなかった母親の子どもに比べ「尿道下裂」の割合が58%少なかった。
 尿道下裂とは、先天的なペニスの形態異常で、尿道がきちんとふさがらず途中に尿の出口がある状態のこと。

原因の一つとして疑われているのが、環境ホルモン作用を持つ化学物質で、農薬にも多く使われている。

有機食品でリスクが減るということは、裏を返せば、通常の食品に残留している農薬が原因であることを示唆している。

環境ホルモン農薬「ピリフルキナゾン」
 現在の農薬取締法では環境ホルモン作用についての動物実験は必須とされていない。

しかし生殖毒性試験で環境ホルモン作用が疑われる場合、妊婦限定の摂取許容量(急性参照用量)を定める制度が2014年2月から始まっている*2。

現在こうした妊婦の摂取許容量を考慮して残留基準値が見直された農薬は、日本農薬株式会社が開発した殺虫剤「ピリフルキナゾン」だけだ。
 ラットで母親にピリフルキナゾンを投与した実験で、オスの仔に尿道下裂が発生したためだ。

厚生労働省は2015年3月に残留基準の見直しを行なった。

レタス類に要注意
 残留基準値ギリギリにピリフルキナゾンが残留している作物を食べた場合、妊婦の摂取許容量を超えるかどうかを作物別に示したのが図表1だ。

大根の葉では従来の残留基準で急性参照用量の300%以上となるため禁止された。
「レタス」「レタス類」でも100%を超えているが禁止はされなかった。
残留基準値でオーバーする場合には、実際の残留試験で最大値を超えなければOKという特別措置が適用されたためだ。

「レタス」の場合、残留基準値は10ppmなのだ

「レタス類」のサラダ菜も同じく残留基準値は10ppm だが、残留試験最大値は4.23ppmと半分以下だ。

残留試験最大値では、妊婦が食べても急性参照用量は超えないので、残留基準値は10ppmでよいという決定になった。

なんか変なトリックだな、と思うのだが、国際機関のコーデックス委員会も認めているやり方だ。
 しかし、2015年9月に開催された欧州食品安全機関(EFSA)と国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)共催のワークショップで問題とされ「やはり残留試験の最大値ではなくて、残留基準値で評価しないと一般の人たちの理解は得られない」という結論になった。

多分数年の内には、日本も変更せざるを得なくなると予想される。
 実際に農産物に残留している量で胎児に影響を与えることを示唆する研究があるのだから、特に妊娠中は環境ホルモン作用のある農薬が少ない農産物を選んだ方がよい。

特に「レタス類」と「ブドウ」がダントツで高いので要注意だと言える。
事務局・ジャーナリスト 植田武智


*1 Environ Health Perspect 124:357-
364;2016
*2 食品安全委員会が定める短期ばく露の摂取
許容量である急性参照用量(ARfD)の一つ。

が、残留試験最大値は1.18ppmと10分1程度だ。