化学産業のロビーイストら化学物質規制の強化を阻止 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

・Chicago Tribune 2012年5月10日
化学産業のロビーイストら化学物質規制の強化を阻止
マイケル・ホーソーン

情報源:Chicago Tribune 10 May 2012
Chemical industry lobbyists keep stronger oversight plan at bay
By Michael Hawthorne, Chicago Tribune reporter

http://www.chicagotribune.com/news/watchdog/flames/ct-met-regulators-sidebar-20120510,0,5230287.story

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2012年5月11日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/articles/
Chicago_Tribune_chemical_industry_lobbyists.html




E.Jason Wambsgans, Chicago Tribune

 議会で滞っているアメリカの化学物質法を改革するという取り組みについて、オバマ政権の環境規制のトップは3年前に有害物質の監視を強化するとリサ・ジャクソンに約束した。

 しかし米EPA長官リサ・ジャクソンが取り組む改革の重要な部分は、それを後退させようとする産業界のロビーイストらからの強い圧力の下に、曖昧なホワイトハウスの事務所のお蔵に入ったままである。

 ホワイトハウスのウェブサイトに掲示された記録によれば、ジャクソンがEPAの改革案を連邦政府法案の窓口である情報規制問題室に提出して以来、産業側代表はこの改革案について政権当局と18回会っている。

 彼女の提案では、EPAは、”健康又は環境を損ねる合理的的でないリスクをもたらすかもしれない懸念のある化学物質の公式なリストを作成することになっていた。

EPAはこのリストを作成することが、新たなタイプの製品中で又は輸入製品中で使用されている懸念ある化学物質から保護する規則を含んで、有害物質の規制を改善するための第一歩であると述べた。

 ジャクソン提案リストの最上位にあるのは、ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)と呼ばれる難燃剤である。

その他に、ビスフェノールA及び8種類のフタル酸エステル類と呼ばれるプラスチック可塑剤が含まれる。

 EPA担当者は、リスト上の化学物質が天然のホルモンを阻害し、生殖障害の原因となり、発達系と脳神経系を損なうという、多くの証拠があると述べた。

これらの理由のために、あるPBDEsは既に製造が廃止されてる。

議会は子ども用製品中のフタル酸エステル類を禁止し、いくつかの大手の小売業者はビスフェノールAを含むほ乳びんを販売することを拒否した。

 公式のリストを作成するということは、”製造者らに強いメッセージを送ることになる”と、この問題を追いかけている非営利団体・環境防衛基金(EDF)の上席科学者リチャード・デニソンは述べた。

製造者らは、彼らの化学物質の安全性を証明するか、又は安全な代替を見つけるかのどちらかだ”。

 しかし、たとえ問題がよく報告された化学物質であっても、ジャクソンは激しい反対にあった。

 エクソン・モービル、ダウケミカル、BASFを含む製造者らは、ホワイトハウスの規則室に、彼等が作る化学物質は安全であり、ホワイトハウスの承認を得ていないEPA提案リストに載せるべきではないと規則室に述べた。

 6月の規則室への手紙で、米商務省はEPAはその法的権限を逸脱しており、”科学的に適切なリスト基準を用いていない”と述べた。ある化学物質に多くの注目を浴びせることは”ブラック・リスト化”することになり、”市場の混乱と訴訟をもたらすことになる”と述べた。

 ホワイトハウスは同提案に関してコメントすることを拒否した。EPA担当者もジャクソン長官とのインタビューの申し入れを拒否した。

 ジャクソンはまた、EPAは危険な製品を市場から締め出すためにもっと大きな権限が必要であると述べつつ、アメリカの産業化学物質を統制する1976年の法律の徹底的な改革を求めている。

 化学産業界の最高業界団体である米国化学工業協議会(ACC)も同様に、有害物質規正法と呼ばれるこの法律を改正したいと望んでいると述べている。

ACCが支持する改正は、もっと徹底的な安全テスト、高い懸念のある化合物にもっと焦点を当てること、そして化学物質がどのように子どもたちに影響を及ぼすかもっと注意を払うことであるとACCは述べている。

 しかし、ACCは、上院議員フランク・ロウテンバーグ(ニュージャージー州選出民主党)らによって議会に提出された、EPAに化学物質を規制するためのもっと大きな権限を与えるであろう唯一の法案(訳注1)に反対している。

 ACCの主席役員カル・ドーリーは、11月に上院環境・公共事業委員会に対してロウテンバーグの法案は産業界の考えを反映しておらず、”革新の先頭に立ち、雇用を作り出している製造者の能力を否定するものである”と述べた。

 これに対して民主党員らは、ドーリーが法案を一行づつ読み、修正があれば提案するよう促したが、現在までのところ産業側は、そのようにすることを拒絶している。

 非営利団体”敏感な政治センター”により分析された連邦政府報告書によれば、ACCは昨年のロビーイング活動費を前年の830万ドルから1,030万ドル(約80億円)に増額した。

第4四半期の間に4つのロビーイング活動だけでもっと多くの金を費やした。

 議論が続く中で、会社が化学物資の安全性証明するのでのではなく、化学物質の危険性を証明する責任はEPAにある。

 非営利団体エンバイロンメンタル・ワーキンググループの共同設立者の1人であり、この化学物質法の改革を長年提言してきたケン・クックは、現在のワシントンの政治的環境の下で、ビジネスが反対する法改正をすることは著しく困難なことであると述べた。

 クックは、”今あるままに何も変えたくないという強い利害関係がそこにはある”と述べた。