・wikipediaより
パーキンソン病( - びょう、Parkinson's disease)は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す疾患である。
神経変性疾患の一つである。日本では難病(特定疾患)に指定されている。
本疾患と二次性にパーキンソン病と似た症状を来たすものを総称してパーキンソン症候群と言い、本症はパーキンソン症候群を示す病気の一つである。
パーキンソン病の歴史 [編集]
1817年にイギリスのジェームズ・パーキンソンにより初めて報告された。彼は現在ではパーキンソン病と考えられる症状を持つ6症例を、振戦麻痺 (shaking palsy) という名称で紹介した。
彼が記載した症状は、寡動・安静時振戦・姿勢保持障害・前傾姿勢・小字症などで、筋強剛については記載してない。
パーキンソンの報告は長い間評価されなかったが、1888年になってフランスのジャン=マルタン・シャルコーによって再評価された。シャルコーは筋強剛についても記載し、彼の提唱により本疾患はパーキンソン病と呼ばれるようになった[1]。
疫学 [編集]
10歳代~80歳代まで幅広く発症するが、中年以降の発症が多く、高齢になるほど発症率および有病率は増加する[2]。
20歳代の発症はまれである。40歳以下で発症した場合を若年性パーキンソン病と呼ぶが、症状に差はない。
日本における有病率は10万人当たり100~150人といわれる[3]。欧米では10万人当たり300人と見積もられており[4]、日本の有病率はやや低い。
明らかな人種差や地域差があるかは不明である。
厚生労働省の2005年(平成17年)患者調査では、パーキンソン病患者は約14万5千人となっている[5]。
また厚生労働省特定疾患医療受給件数の統計によれば、2006年(平成18年)度の受給件数は86,452件であり、全特定疾患中潰瘍性大腸炎に次いで多くなっている[6]。
しかしこれは、2003年(平成15年)10月よりパーキンソン病関連疾患として本疾患に進行性核上性麻痺と大脳皮質基底核変性症を併せたものになったため、現在では本疾患の正確な人数を反映する数値ではなくなっている。
また特定疾患受給の要件として、後述するHoehn & Yahr分類の3度以上が目安となっているため、実際の患者数はより多いものと予想される。
血清中のビタミンD濃度が高いとパーキンソン病発症のリスクが下がることを示唆する、コホート研究による報告が2010年に発表されたが、両者に明らかな関連があるかどうかはまだはっきりしていない[7]。
病因 [編集]
病理および病態で詳述するように、中脳黒質緻密質のドーパミン分泌細胞の変性が主な原因である。
ほとんどの症例が孤発性(非遺伝性)であり、そのほとんどについては、神経変性の原因は不明(特発性)である。
遺伝による発症もあり2007年現在いくつかの病因遺伝子が同定されている。その他毒素、頭部外傷、低酸素脳症、薬剤誘発性パーキンソン病もわずかながら存在する。