「米SEC、外国企業に欧州基準決算認める・08年から 」(日本経済新聞)によると、「米証券取引委員会(SEC)は20日、米国内で上場する外国企業に対し、欧州で採用されている国際会計基準に基づいた決算報告などの提出を認める方針を決めた。」とのことです。



 記事によると、欧州では国際会計基準を採用してあるため、米市場に上場する際に国際会計基準を利用できれば、企業の負担が減少するということです。



 ちなみに記事では、国際会計基準よりも米会計基準のほうが厳しいとも説明されています。




 上記の記事の解説として、日本経済新聞の21日付け夕刊では、「会計基準、日本の孤立感深まる」という解説記事が載っています。



 解説によると、「米市場に上場する外国企業に国際会計基準による財務報告を容認する方針を決めたことで、独自の会計基準づくりに固執している日本の孤立感は一段と深まりそうだ。」とのことです。


 

 また、「国際会計基準の採用は世界百カ国を超えており「独自基準にこだわる日本は後進国とみなされかねない状況」(IASBの山田辰巳理事)。」ともあります。



 要するに解説では、「日本もはやく国際会計基準にしてしまえ」ということを言いたいようです。



 しかし、個人的には、いまだに日本の会計基準を国際会計基準に合わせる必要はどれくらいあるのかな?という気がしないでもありません。



 三角合併を解禁し、外国資本を入り易くするためには、外国からも分かり易い会計基準が必要であることは分かります。しかし、各企業がおかれている経済環境は、各国により異なり、それぞれの経済環境にあった会計基準を採用することが、その国の企業の実態を最も正しく表現することにつながるのではないか、という考えをどうしても捨てきれません。



 自国で適切な会計基準を作成できない国は、国際会計基準を採用すべきと思われますが、自国で会計基準を作成できる日本においては、日本企業を最も正しく表現できる会計基準(当然、基本的発想は国際会計基準と矛盾しないようにする必要があるでしょうが)をこれからも作っていけばいいのではないでしょうか。



 日本経済新聞は往々にして世論を誘導しようとしますが、今回の解説もその一つのような気がします。日本においても国際会計基準のみを採用することは、一部の国際的企業においては、コストを下げられメリットが大きいでしょうが、それ以外の多くの日本企業にとっては迷惑な話だと思います。



 とはいっても、ASBJ は国際会計基準を意識してコンバージェンスを強力に進めていますので、いろいろな議論があるとは思いますが、基本的な方向性としては、現実的な路線を行っているのではないでしょうか。