国民皆保険というシステムが、

なくなればどういうことになるのか。


その姿は、アメリカの現在の医療事情に見える。

そのルポを読んで、寒気を覚えた。


ちゃんと整理してしまわないと、

この衝撃が薄れそうなので、勉強する。




05年度 アメリカの全破産件数 208万件

      企業倒産           4万件

      個人破産         204万件



これだけでも恐ろしいが、この破産件数の

半分以上を占める、高額の医療費が原因という事実がある。



盲腸手術入院の都市別ランキング(ALL DATA 2000)


              平均費用 平均入院日数


1 ニューヨーク      243万円   一日

2 ロサンゼルス     194万円   一日

3 サンフランシスコ   193万円   一日

4 ボストン         169万円   一日

5 香港           152万円   四日

6 ロンドン         114万円 五日


ちなみに、日本では、4~5日入院しても

30万未満らしい。


他も見てみよう。


一般の初診料    150ドル~300ドル

専門医の受診料   200ドル~500ドル

入院の部屋代    約2000ドル~

             約3000ドル/一日


出産にかかわる費用


ティッシュと脱脂綿     35ドル

入院費用         約4000ドル~

               約8000ドル/一日


だから、多くのアメリカ人女性は、日帰り出産という。

それでも入院出産費用は、15000ドル。


保険のカバーがなかった場合、


妊婦検診             4200ドル

15分程度の検診         200ドル

入院中の薬               4ドル/一錠

新生児のケア            950ドル

(入浴一回と検温)

小児科医の手術立会いと     500ドル

入院中の検診(一日一回)  


計三日間の入院         20000ドル弱


別途料金


血液検査・超音波検診      300ドル/一回



少子化に悩む日本とはえらい違いで、

子どもを生むのにも、すごくお金がかかる。


救急車を呼べば、8500ドル、とか、

この国の医療は、日本やタイから見ると、

もう無茶苦茶になっている。


これでは、人は病気になれない。

人は、必ず、病に罹るというのに・・・。



なぜ、こんなことになったのか。

やはり市場原理に馴染まぬ医療を、

市場原理にさらしてしまったのが一番の理由である。


クリントンの時代、ヒラリーは国民皆保険システムを

導入しようとして、根回しが不足していたために、

強力な保険会社団体によって、潰されてしまった。


その保険会社、公的な保険をカバーするために、

存在するが、実際にそんなことが起こるわけない。


利潤追求第一の組織に、善意の何かを期待する方が、

大きく間違っている。



アメリカには、1200~1500社ほどの保険会社がある。


アメリカでは、まず病気になったときに診察を

受けることができる自分が加入している保険会社の

契約リストを見ないといけない。


その保険会社が、近くの病院をカバーしていなければ、

遠くの病院へ通わなければ、高額な医療費を実費で

負担することになる。



自分もアメリカに行こうとしたとき、領事館に申請するための

H1B型のビザを出してもらう際、大量の書類の中に、

保険関係の書類があり、ちらっと目を通したが、

歯科の保険と、医療保険とべっこになっていて、

ややこしそうだなと思った経験がある。


医療保険にも、いろいろあって、いいものだと

歯のほうも一緒になっていると、

歯医者さんに聞いた覚えがある。



民間の医療保険に加入していても、

それでは、カバーしきれずに、一旦医者にかかると、

借金漬けが待っているという。


そして、保険の掛け金もどんどん上昇し、

06年で、4人家族の掛け金は、平均年額11500ドルになった。


だから、アメリカ国内では、医療保険の加入維持が困難になり、

米国内では、保険を提供している会社は、

全体の63%にまで落ち込んでいる。



米国の医療を崩壊に追い込んでいるのは、

保険会社と株式会社化した病院だが、

次回は、また保険会社から引き続き書いて、

学んでいこう。



ぱくったのは、


『ルポ 貧困大国アメリカ』

(堤未果・岩波新書)