神野直彦先生の本から、ぱくってみる。



『(前略)

サッチャー政権下の生産性向上は、技術革新を

基軸とする積極的な設備投資の拡大よりも、

消極的な減量経営の成果として生じていることを意味している。


つまり、それはイノベーションに果敢にチャレンジした企業が

報われたのではなく、容赦なく人員整理した

「無慈悲な企業」の勝利だったのである。  (略)  』

さてと、一旦ここで止めて、現在の日本の一企業を

俯瞰しながら、考えてみよう。

偽装請負で、参考人招致を求められた御手洗氏が、

会長を務めているキヤノングループを見てみる。

なぜなら、彼は現経団連会長職にあり、

経済財政諮問会議の民間委員も務められており、

公然と、法律違反もなさっておられるし、

文芸春秋上で、臆面もなく、「希望の国へ」

ということを語られたためである。

キヤノンは、グループ全体で請負や派遣労働者を、

現在、2万人以上、雇用しているらしい。

キヤノングループにおける売上高・税引前純利益・

純利益・総資産を、10年単位で見てみると、

グループ売り上げは、約152%

税引前純利益は、約335%
純利益は、約408%

総資産は、約153%

国内の従業員数は、約130%

一応、実数値を挙げてみると

           1996年    2005年

売上高      2,472,837    3,754,191

税引前純利益   182,765     612,004

純利益        94,177     384,096

総資産      2,644,452    4,043,553

従業員数

国内        37,431      48,637

アメリカ       9,441       9,938

ヨーロッパ     12,170      10,922

その他       16,586 46,086

合計      75,628 115,583


http://web.canon.jp/about/group/10years.html
http://web.canon.jp/about/outline/10years.html

御手洗氏は、恥ずかしげもなく、

イノベーションという言葉を用いているが、

売上高で見れば、たいした伸びを見せていず、

一方、利益率は、激増している。

減量経営に成功した構造改革によって、

体質改善できたから、利益率の高い会社になったと

言っていいと思う。

デジタル革命の恩恵も受けたが、

やはりなんといっても、人件費のカットが

高い利益率を生み出した。

特に、1999年には厳しい状況だったのが、

この年度から比べれば、

売り上げは、約148%

税引前利益は、約392%

純利益は、なんと、約548%

総資産は、約156%


これは、おそらくものすごい血しぶきを上げながら、

この利益をたたきだしたものと思う。


でも、これが希望の国へつながるのかと言えば、

バカなことをほざくなと、誰しも思うのではないだろうか。


このバカは、コイズミというミコシを担いで、

この政権下に、権力と結びつくことで、

製造業にとって、カナリおいしいリストラをした。


従業員の方々はよく知らないが、

末端の現場の方々には、たいへん悲惨だったようである。


そして、自分たちの懐は、ホカホカにして、

いけしゃあしゃあと、政策提言などということをする。


経済財政政策だけでも、我慢ならないのに、

ありとあらゆるところに鉄面皮に発言し続けるという

神をも恐れぬ暴挙には恐れ入る。


オマエらが、この数年で、経済原理を

導入してはいけないところにまで、

市場原理を導入してきた結果、

今、この国がどうなっているのか、


医療現場、教育現場、ほぼすべての場所で

現場の融解が始まっているではないか。


この責任は、どうやってとるのだろうか、

はっきり申し開きを聞いてみたい。



法律違反をどうどうとやらかしておいて、

行政側というか権力と癒着することで、

逃げ切ることができるならば、

やはりスジが通らないというものだろう。


人の噂も75日で、逃げ回って、

ヤレヤレ┐( ̄ヘ ̄)┌

フーと思っていると想像すれば、

耐え難いものがある。



彼の持論、新自由主義で、

イギリスはどうなったのか、

マーガレット・サッチャー女史から、

ずーっと考えていたものを、

明日からいきませう。


ぱくったのは、

「人間回復の経済学」

(神野直彦・岩波新書)