baiser de l'ange 19 | Are you there ?

Are you there ?

随時公開中(過去作品のみ。)





目が覚めた時
チャンミンが、とても悲しそうな顔で
私を見つめていた。

「チャンミン…おはよう…」

「2人がお腹を空かせてるから、行かないと。」

「…行かないと…ですね、チャンミン…」

もう一度チャンミンを抱きしめ
大丈夫…大丈夫と
ただ…それしか声をかけてあげられずにいた。

「ジョアンは、このカップでいつも飲むんです。僕はこのカップ…」

紛らわすために、他愛もない事を
話すチャンミン

「チャンミン…持って行きましょう。そのカップ私の家に置いておけばいい…そうしましょう。」

私の気休めの提案に、素直に従うチャンミン。
我慢しても、こぼれ落ちる涙を
拭おうともせずに
紙袋に2つ、カップを入れて支度をする。

「ユノさん、この家…この部屋…忘れないで下さい。今度はこれで…」

チャンミンはキーリングから外した
家の鍵を私にくれた。

「いいんですか?」

「はい。でも、一つお願いがあります…」




チャンミンと手を繋ぎ
早朝の街を家に向って歩く。

玄関を開けて、中の2人に声をかける

「ジョン…ジョアン、ただいま…起きてますか?」

玄関を入るとすぐに
棚にあるスペアキーを、チャンミンに渡す

「コレは、チャンミンのです。」

大事そうに、キーリングに鍵を通し
ポケットにしまう。

「二人ともおかえりなさい。」

ジョンとジョアンも
部屋の奥から、手を繋いで現れた

「二人とも…仲が良いね♪」

「二人には負けるかも…(笑)」

四人で温かいミルクを飲んで
ドーナツを半分ずつにする

「チャンミン…あなたの半分はユノにあげるのよ…私はジョンと半分ずつ食べるから。」

ジョアンは私の手からドーナツをとり
半分にすると、ジョンにわたす。
分け合って寄り添って生きていく…
チャンミンのパートナーは、私だと
ジョアンも認めてくれたのですね。


「ユノさん…はい。半分ずつです…」

チャンミン…手から
ドーナツを受け取り、黙って口にする



「二人とも…決心は変わらない?」

「「はい。」」

「ミルクを飲み終わったら…」

言葉に詰まる、ジョンの代わりにジョアンが続ける

「次にある記憶は…私達とかかわりのない、新しい記憶になるの…四人のカップすべてが空になったら…」

チャンミンは
その言葉と同時にカップの中を飲み干し

ジョンとジョアンのそばにいき
2人を抱きしめ、その頬にキスをした。

「ユノ…早く飲んで…早くっ…」

チャンミンは顔を両手で覆い
その場に座り込んだ。

「ジョン…ジョアン、君達の事も忘れてしまうのですね…」

「「うん…。」」

「私は忘れませんから、街で見かけたら小指を振ります、私達だけの秘密の合図ですよ。ジョン…次はミルクを温めるのが上手な人の所へ(笑)ジョアン…ジョンを頼みます…」

「家に入ったら、電子レンジを確認するよ…(涙)」

「ユノ…あなたの勇気と思いやりが、必ず報われますように、祈ってます、本当にありがとう。私もユノとチャンミンを忘れない…(泣)」

泣いてはいけない
私達が幸せになる1歩なんだから
カップを手に取り口に持って行く。

「チャンミン…さっきのお願い、すぐに叶えてあげます。待っていて下さい…」

カップのミルクを飲み干して
静かに目を閉じる。







「ユノ…お願い、すぐに帰ってきて。この鍵で玄関を開けて…ただいまって…言って下さい。」

もちろんだよ、チャンミン…

すぐに君の元へ…















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