43時間 Part22 | cracking-my-ballsのブログ

43時間 Part22

警告!注意!

以下・・・過激な表現及び写真が含めれています。

気分を害す可能性が大いに有ります。

子供は見ないように!


気分が悪くなる人はいるどころか・・・胸糞悪くなる人は大勢だろう。最初に言っておく。

飯食っている時に見るなよ。

こんな写真を掲載して

crackingは狂っているとか言われそうだな(笑)

そうだ狂っている。

でも表現だ。

文章に合わせたらこれが良いとオレは思っただけだ。

表現は自由だ。

削除も自由だろうけどな(笑)

削除対象になるやもしれん。早めに読もう。

オレの編集の仕方も含めてね・・・嫌悪感を感じる人もいるだろう。

いや・・・ほとんどがそうだろう。)

また、いい写真があったが・・・

最強にヤバいのは掲載をやめた。

それでも酷い(笑)スプラッター表現がある。覚悟してくれ(笑)

カワカミの

顛末を読みたければ・・・

嘔吐覚悟で読んでくれ(笑)

これだけ注意喚起を書いとけば文句言われないだろう・・・(笑)

一部写真作者に悪いとは思ったがアメブロの掲載規制にひっかかりそうだったので

私が加工してしまった。

作者の作品を加工するのは失礼に値するが・・・申し訳ない。

でわ

物語を続ける。


イナバ inaba


 ♪♪♪  

イナバ巡査長の自宅は中野にあった。

ごく普通のアパートであり、向かいには30年借り上げを約束する大手の不動産のマンションが立つ。

150m先にコンビニがあり、200m先には丸の内線の地下鉄が走る。

吉野家はなく松屋がある商店街を抜けた家賃8万円の1DKのアパートであった。

家族はいない。

少し風が強くなると、雨戸が軋み、ゴミ出しのプレハブはいつも、燃えないゴミで一杯になっている。

近隣の住民は、日々の暮らしで精一杯で、他人のことも地域のことも関心すら持たない。

画家がキャンバスを広げてもカラフルな絵の具が不必要な場である。

黒く灰色の街だった。

中野ビバリーステートという外見と程遠い看板がかかっている白い古ぼけたアパートの107号室のチャイムを鳴らすとイナバ巡査長はシャツに地味なグレーのカーディガン、スーツのズボンという、いでたちで玄関の前に立った。

玄関のドアの隙間から、居間がちらりと見え、

エロビデオの画像がテレビに流れているのがカワカミに見えた。

「歩きましょうか。家の中だと・・・盗聴器があるやも知れん。」

半ば冗談のように半ば本当のように少し笑いながらイナバ巡査長はそういって歩き出した。

休暇中だからか、顔に無精髭を生やしている。

目尻に皺(しわ)が目立ち、髪も白い。年齢より老けて見える。

頬の肉が少し弛(たる)み、渋みのあるしゃがれた声を持つ。下まぶたには幾重にも重なったクマが見えるが、細い眼光は鋭い。

中野のどうでもいい街並みに人気のラーメン屋があり5人ほどが行列を作っている。

「ここはいつも行列を作っているが・・・うまかねぇんですよ」

聞いてもいないことを巡査長は話した。

そこを通り過ぎると、住宅街があり、小さな公園の入口が見えてきた。入口の前にあった自動販売機で缶コーヒーを3本巡査長が買い、カワカミ検事とヨコヤマ副検事に手渡した。

少しとまどるヨコヤマ副検事に

「別に買収じゃねぇ・・・よ(笑)」とイナバ巡査長は頬の皺をあげて答えた。

公園の入口の自転車が入れないようにしている鉄柵を上手いこと身体を斜めにして通り過ぎると、イナバ巡査長は、胸ポケットからハイライト(煙草)を出し、口の端にくわえると、緑の100円ライターで火を付けた。

「ライターは、緑しかつかわねぇんだ。・・・縁起担ぎでね(笑)・・縁起っていうぐらいだ。緑だよ(笑)」

秋の午前中。日は、まだ少し優しい。

公園には、若いママと男の子がいる。男の子は自転車の乗る練習をしているのだが、上手く乗れていない。

何度も転んでいる。


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「白バッジ(検察のこと)でオレまで来たのは・・・褒めてやるよ(笑)15年ぶりかな。」

カワカミも煙草を取り出し、灯を付けた。

灰皿がなかったので、ヨコヤマ副検事が自分の飲んでいる缶コーヒーを差しだし掛けたが、まだ中身が入っているのに気付き、公園のゴミ箱から見つけた別の空き缶をカワカミに差し出した。そこにカワカミは灰を落とすが、イナバ巡査長は、座っているベンチの横にかまわず落とす。

「何が知りたい?

こんな・・・退官を控えた・・・いち巡査に聞いても分かることなんざ・・・たかが知れてるだろう。

オレの書いた調書のことか?」

山梨県警のこと・・・サトウ調査官から聞いたこと。今まで調査した・・・

知り得た情報を包み隠さずイナバ巡査長にぶつけてみた。

「ずいぶん近づいたんだな。正解に・・・

大したもんだ。」

イナバ巡査長の声はしゃがれている。いや・・・長年の経験・・多くの人生を見てきたような深みのある響きだった。目尻の皺を伸ばすように、眼を何度か瞬きさせる。イナバ巡査長の癖なのだろうか?

「なぜ・・・真実を知りたがる?知らなくても・・・良かろう。

なぜ、普通に生きていこうとしない?・・・・あんたらなら世の中を上手く泳げるだろうが・・・。」

上手く生きてこなかったのか・・・・

イナバ巡査長は、煙草を足元に捨て、古びた靴でもみ消した。

「真実が先に有り。その先に・・・正義があると思うからです。」カワカミが答えた。

「普通の白バッジの言うことの逆だな。



正解だよ(笑)」

そういって頬の端をあげる巡査長は〝オヤジ〟とS署であだ名されるような温かみを含んでいた。

この男・・・嫌いじゃない。とカワカミは心の隅底で思った。


「・・・・・」

「正義とは・・・いつの時代も・・・真実の後に考えるもんだ。

・・・・また・・・そうでなければいけない。

少なくとも捜査はな。・・・・今の警察は逆になっちまったが・・・・(笑)」

無精髭を歪めながら・・イナバ巡査長は、そう言って2本目の煙草に火を付ける。

「煙草を吸っていると吸わない人より5年ぐらい長生きできるそうですよ。

でも・・・私は

5年短くなっても、その煙の中に消えゆく真実を見てみたいと・・・」

「禁煙できない言い訳だな(笑)」

「そうです(笑)」

突然真顔になったイナバ巡査長は口をなめた。

「世の中には・・・知らないほうが良い〝裏の顔〟もある」


グレーの煙草の煙を巡査長は、

長い時間をかけて吐き出すと、それは斑模様を描き健康的な日常の日だまりと混ざり合う。

公園に植えてある花の藤袴の紫が静かに主張し始めていた。



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カクヒのアヒル Duck of Top secret

 ♪♪♪

----------------

自転車を乗る練習をしている男の子は、何度も転び、そして何度も自転車を起こし、乗る。


「もう・・・・21件目だよ。調書のねつ造はな。」

唐突に答えるイナバ巡査長にヨコヤマ副検事が、飲んでいたいた缶コーヒーを噴出した。

「警察に勤めて・・もう40年近くになる。オレは、キャリアじゃない。入官した時から別に出世なんざ・・・願ってなかった。

言っとくが・・・いままでの調書のねつ造だが・・・上も全部知っている。ほんの一部のお偉いさんだけだがな(笑)」

太陽が高くなり、公園内の木の作る影は少し黒くなった。

「火消し役は、どこの組織にも必要だ。泥をかぶって問題を誰にも知られずに・・・いや・・・外部にか・・・

不必要な事実は、市民に疑心を抱かせ、本当の正義とは何かを考えさせるきっかけになる。

警察は絶対正義じゃなきゃいけない。そうだろう。」

「それは、警察組織にとってだけでしょう?」ヨコヤマ副検事が缶コーヒーを強く握りしめて反論する。

「警察組織にとって?・・・違うな。

〝市民〟にとってだよ。」

カワカミは黙って頷く。

「そんな火消し役をオレは、40年近く・・・・やってきた。」

つまり・・・イナバ巡査長は・・・警察内で起こった不祥事を・・・外部に漏れる前にもみ消す・・・・アミウチ(非常警戒網)の外に位置する最後の警官・・・



カクヒ(最上級極秘事項)のアヒル(制服巡査)・・・・と言うことか。

噂には・・・聞いたことがあったが・・・実在するとは。


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「あんたの言う通り、盗まれたのは警察の調査資料だ。

しかし、タダの捜査資料じゃない。」

カワカミは、鋭い視線をイナバ巡査長に向ける。

「警務課の警察内部に対する内偵資料だ。それも過去30年間に渡るしろモノだ。」

カワカミは愕然とした。心臓が高鳴り、顔が歪んだ。しばらく動悸が続き・・・そして急に力が全身から抜けていった。

盗まれたのは、警察の不祥事に関する警務課の内偵調査資料30年分だった。

それを、手にしたのは・・・〇〇組幹部。

まさに---------

悪魔に渡った免罪符だ。


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「そんなモノを持ちだせるわけがない------」

ヨコヤマ副検事が少し大きな声を出した。


「もちろん。


警察本部の最深部に厳格に格納されているモノが・・・簡単に外部に出ては問題だよ。

しかし、簡単に持ちだせる職位の者もいる。」

「警察を監督する立場の公安か?

・・・いや・・・検察の・・・上層部・・・その筋のほうが強い。」

カワカミが問う-----

「まぁ・・・・そのうちの誰か・・・・

とにかく・・・そのお偉いさんが調査と称して・・・ある日・・持ちだした。

その一人は・・・仕事熱心だったのだろうよ。・・・資料のコピーを自宅にも持ち帰っちまった。」

「違法行為だ。----------」

「それを誰が指摘できる?・・・発覚もしていないんだぞ(笑)・・・お前にできるか?」

社会の組織をあざ笑うような・・・巡査長の告解は続く。

「自宅で見ている分以外にも・・・車のトランクに、一部の資料を、そのお偉いさんは乗せていたんだな。」

ミス?

不注意?

・・・そんな甘いモノじゃない。



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「この分析で警察の首根っこをつかめるだろう。そんなつもりだったんじゃないか?・・・・あるいは、庁、庁間の駆け引きにでも利用するつもりだったのかな。

・・・いずれにしろ、人間、誰かを攻めている時は自分の・・・脇が開くってことだ。」

自転車から転んで足をすりむいた男の子に母親が近づき、傷口を見て大したことないことを知ると、男の子の頭を撫で、もう一度頑張るように元気づけていた。

ジャングルジムの赤い色と黄色が太陽に反射し、色鮮やかに光る。

一瞬の隙、心のスキ・・・・狭間に開いた心の僅かな距離。

「翌日の朝・・・そのお偉いさんの大学生の息子・・・がオヤジの車を無断で拝借したんだよ。」

ヨコヤマ副検事が口に含んでいたコーヒーをゴクリと飲み込む音が聞こえた。

「息子はオヤジに似ず・・・バカ息子だった(笑)・・・厳しくしつけられて育った環境か・・・反抗期が遅く来たんだろう(笑)

そのまま・・仲間の所に向かった。オヤジの車に乗ってな。

その仲間は・・・まぁ・・・ご多分にもれず札付きの悪どもで・・・裏ビデオを撮ることで、食っているような奴らだった。

顔は写らないから・・・と言われて・・・ホイホイとその息子は撮影の現場に参加した。

運がホトホト・・・付いてなかったんだろう(笑)

その、お偉いさんは無事に息子が帰ってくれば・・オレの出番もナシだったはずだ。

だが、運命は時に転がるハズではないと思っていた〝坂の上〟にも転がるもんだ。

バカ息子の仲間っていうのが、更に大バカでな。

そのビデオに〇〇組の組長の娘を使っちまったんだよ。

全く素人の集まりだ。

お笑い草だよ。

当然、本人達は知らなかったんだろう。

撮影を終えたスタッフは、のんきに機材を積み込んで帰り支度(したく)している時に、全員・・・〇〇組に車ごと拉致られたっていう帰結だよ。」


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あまりに・・・信じられない・・・驚愕の事実だった。

カワカミは、ただ、自転車に乗る男の子の姿を見つめるだけだった。


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警察の不祥事を調査する上位組織の不祥事・・・そしてそれを発覚することを防ぐために動く

〝カクヒのアヒル(灯消し部隊)〟・・・・・

「〇〇組にとっては、とんだお宝が手に入っちまった。

ちょっと読めば・・・組みもんでも資料の重要性がすぐにわかったんだろうよ。

当然、喜び勇んで幹部は、お偉いさんを脅してきた。

ナガムシ(長期の懲役刑)をくらっている組長以下幹部の釈放だの、金だのあることないこと・・・到底飲めるわけない要求ばかりな。

当たり前だが、奴らの要求をひとつでも飲めば・・・一生しゃぶられる。」


「最初、そのお偉いさんも、頑(かたく)なに拒んだらしい。

そんな息子は、息子ではないとね。

だが・・・4本目の指が自宅に送り届けられて・・・・・〝ギブアップ″だ。

そうして

回り回って・・・考えあぐねた結果

極秘に相談されたあるお偉いさんが・・・〝カクヒのアヒル〟であるオレに電話をよこした。

なんとかしろとな。

「あなたに指示を出せるのは官邸ですか?」

ヨコヤマ副検事が、思わず余計な事を口にした。余計な事とは、イナバ巡査長が、言うわけないと思ったからだ。

「そう思うか?」

見当違いのヨコヤマ副検事の質問に笑いながら言葉を返した。

「ころころ変わる閣僚や政治家なんて・・・オレの存在自体・・・教えられるわけないだろう。

口も軽すぎる(笑)

日本国の首相なんざ・・・本当の情報など何も知らされておらんさ・・

数十年という単位で長年・・・国家権力の上層部に君臨している種類の人間は、考えれば分かるだろう。

検事さんなら。」


「退官間際のオレを使うってことは上はよほど・・・失敗したくなかったんだな(笑)。」

公園の足元の砂粒は乾き、別荘にまき散らされた、くすんだ粉のような色になった。



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「普通の警官なんて・・・警察学校でしか銃を撃ったことなどない。

一生・・・抜かない・・・なんて奴は、ザラだよ。

オレは・・・才能があったんだよ。不思議とな。」

「射撃の?」

「いいや・・・人を撃っても気にしないという才能だ。」

三本目にイナバ巡査長は灯を付ける。

カワカミの缶コーヒーはすでに冷えていた。


「今回の件は一人じゃ無理だった。

だから

出世しそうもないが・・・腕のいい巡査を選んだ。オレの仕事を引き継がせる意味も兼ねてな(笑)

二人に目星を付けた。


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乱気竜の売春宿にしょっちゅう世話になっている悪徳巡査のコイズミ。

ガンマニアが高じて入管した偏執狂の巡査のミキ。

入り浸っていたロリコン巡査のコイズミのお陰で乱気竜のモモセって奴から、簡単に情報は聞けてよ。

誘拐された居場所は、すぐに割ったよ。

組みもんの秘密なんざ、国家権力にかかれば簡単さ。

P弾も、特殊閃光弾も自分らで用意した。

P弾は、機動捜査隊の装備課の仲間が偽の書類まで用意してくれた。

特殊閃光弾は、ある大使館員の仲間から受け取った。

ついでに新米どもに、仲間を紹介してやった。

オレが引退した後もよろしくなと。

銃は、ガンマニアの新米のミキが用意してくれた。

S弾でなくPを使ったのはスモークだと投げ返す奴がいるからな。

「P弾と特殊閃光弾の二つを使ったのは?」

「それも・・・簡単な理由だよ。

昔・・・やった事件で、閃光炸裂弾の爆音と光の中でも、ショットガンをぶっ放して人質を殺せたやつがいた。

そんな芸当ができるのは-----1万人に一人だけどな(笑)

万が一にもマルビーの奴らがプロを雇っていたら厄介だからな。

しかも、今回は地下室があった。イコールそこにいるやつは閃光弾の一次衝撃を避けられる可能性を想定したんだよ。

オレは怖がりなんだ(笑)

だから----今でも生きてるんだがな。」

まるで、パチンコの連チャンを自慢するように巡査長は事件を滑らかに話す。


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「で・・・準備した3人で、〇〇組の隠れ家を襲撃した。

奇襲前に、バカ息子のお父上から電話もかけてもらった。

〝すべて・・・いうとおりにすると〟ね。

電源を遮断して、ゴーグルつけて・・・

簡単な仕事だったな。

5分もかからなかった。」

唖然と聞きいるヨコヤマ副検事は、白眼の分量が公園に入ってきたときより5倍ほど増えた。

「有無を言わさず射殺したよ。社会のゴミどもだ。躊躇などない。」

いつものこと。

助けたのは・・・・お偉いさんのバカ息子一人だ。

後の6人?

いなかったよ。

どうなったか?

「知らんよ。」

オレの仕事じゃない。

「バカ息子を助けて、無事に返す。それが命令だからな。」

ちなみにバカ息子の指は、繋がっていたらしい。他の奴の指をバカ息子の指と偽って送ってきたのだろうとのことだった。


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告解 Confession

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 ♪♪♪   


「オレがなぜ・・・話したか分かるか?」

イナバ巡査長は、太陽の光に半分だけ当たる皺のある目尻と白髪が目立つ無精髭を上げながら手でなぞり、カワカミに問うた。



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「全て聞いて分かりました。」




イナバ巡査長---------あなたは・・・〝絶対に捕まらない。」



「正解だ。」




男の子は何度も転び、何度も自転車を起こし、

最後にに乗れた。

男の子はニコニコしていた。そのママも笑っていた。太陽の光を浴びた笑顔は輝いている。



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本当の贖宥状を持っているのは誰か?
正義・・・・を貫いているのは誰か?


「なんでオレは、S署で〝オヤジ〟って呼ばれているか知ってるか?」

イナバ巡査長の質問にヨコヤマ副検事が先に答えた。

「皆さんに慕われているってことですか?」

「嫌われているからさ(笑)・・・

オレは新米アヒルの教育係だからな。

大勢・・・・・・育ててきたよ。・・厳しくな(笑)」



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巡査長は、そういって、立ち上がると

スラックスのポケットに手を入れ、自転車に初めて乗れた男の子の笑顔を背筋の凍るような冷たい眼から暖かな視線に変え・・・追いながら

「オレを告発するのもしないのも・・・・あんたの自由だ。」

「〝神父の罪の告解〟を聞ける者は・・・おそらく・・この国にはいないでしょう。」


「オレは自分の正しいと思って来たことをずっと続けてきた。

正義とは自分の信じる正義のことだ。そうだろう?」


「誰かに与えられるものじゃない。そういいたいのですか?」


「何度も転んで掴むものだと言っているんだ。」


イナバ巡査長は最後にそう言い残し、眼の上に手をかざし敬礼をして公園を後にした。帽子はかぶっていない。

すなわち・・・

その行為は、自分は本物の警官ではない。

とも言いたげな・・・合図だったのかもしれない。



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違う正義 Different justice


執務机に向かうカワカミの前には、オオワダの起訴状がある。


署名する前に・・・

頭の中で事件を顧(かえり)みる。

別荘事件。

脇の甘い検察幹部。

バカ息子。

拉致された7人は、札付きの悪。

撮影スタッフ。

アダルトビデオ。

組長の娘。

組長の娘と公安の子息が一緒に映る映像?

・・・あってはならない組み合わせ・・・だ。


事件を知られてはならない。

誰にも・・・

よって犯人を別に作るシナリオが練られた。

スケープゴートはオオワダと・・・その仲間・・・乱気竜のメンバーだった。

巡査長以下3人は最後までキッチリと仕事をした。

最も疑われやすい破門組のオオワダの車両に覚せい剤を置き、偽装摘発。

そのあと

襲撃に使用した拳銃・・・件の段ボールを・・・アジトから押収。

全て筋書き通りだった。

その情報を、〇〇組と内通する警察官が意図的に〇〇組みに流す。

そして、〇〇組は幹部を殺され、大切なお宝を奪った乱気竜を・・・仁義なき仇と見做(みな)し

許さなかった。

シナリオ通りシンジョウとタジマは、〇〇組に粛清された。

最後まで・・・分からない点がカワカミには有った。

四角い段ボールの横の楕円の形をした跡だ。

その答えは山梨県警のイナムラ刑事が導き出した。

「鞄でしょう。」

つまり

机に並べられていた巨額の札束が入れてあったカバンだろう。と言うことであった。

巡査長は3人で襲撃した。と話した。

いまさら、嘘を付く必要などない。

ならば、もう一人の革靴の男とは誰なのか?

予想しうることは・・・

その男が鞄に大金を入れ・・・別荘を訪れたことだ。

何のために?

鞄には指紋はおろか・・・手掛かりをつかめるモノは何ひとつなかった。

革靴の跡も・・・年間20万足も販売される量販店のモノだと言うことだけが発覚した。

追跡など不可能だった

イナムラ刑事が面白い推理をした。

<リビングに裸足の足跡が有ったんですよ。>

「誰のですか?」

<分かりません。しかし、辿ると・・・その後靴下を履き、靴を履き・・・出口に向かっていました。その横に・・・地下室と同じ血液がほんの少しですが検出されました。>

「と・・・言うことは?」

<いや・・・私の推理でしかないですがね・・・地下室から助かったのは・・・二人ということではないかと・・・・>

「二人?」

<そう・・・二人です。>


お偉いさんの幹部のバカ息子ともう一人・・・・地獄の中から抜け出た者がいたと言うのだ。

その者を助けた何者かが・・・

鞄を持ってきた。

間違いない。

そして・・・・

その鞄も現場から無くなっていた。

巡査長らが持ち去ったのか・・・

残る地下室の者の5人が持ち去ったのか・・・

持ってきた者が持ちかえったのか・・・・?


分かったことはひとつだ。

なんらかの・・・

違う・・

警察庁や・・・

検察庁や・・・

国家公安委員会・・・・


国家の言う正義とは


違う正義が・・・

誰も傷つけずに・・・一人を助けただろうと・・・

いうことだ。


♪♪♪

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善と悪の扉そして秘蹟の扉 The door of the good and evil spirit secret door


件の巡査長及び巡査2人は、

特別公務員職権乱用罪

及び覚せい剤取締法違反

以前に

殺人罪だ。

許されるべき罪ではない。対象が社会のゴミで・・・

有ってもだ。


しかし、

立件は不可能だった。

証拠がどうのこうのと言う問題ではない。

公判を維持できるとかできないとか・・・そういう意味でもない。


彼らの有罪は、この国の行政の有り方を根底から覆す。

正義と言う有り方を根こそぎ刈り取る。

市民の正義に対する、確信は揺らぐ。

何が〝カクヒ(最重要極秘事項)〟なのか

イナバ巡査長の存在ではない。

〝正義がひとつではない〟と、多くの人間に思わせることだ。


正義とは何かを〝いち検事〟・・・いや・・

一人の人間に----決めることはできるのか?

イナバ巡査長の言葉は正しい。

正義とは、結局・・・・自分の中にしかない。

自分の中にあるからこそ、

誰も裁けないのだ。

人が人を裁くという・・・裁判の起源は・・・教会にある。

本来----- 善と悪の扉を開けられるのは、神しかいない。

宗教は、それを神ともう一人いると説いた。もう一人とは自分である。

教会は、神と自分と更にもう一人いると説いた。

社会である。

善と悪の扉の後に秘蹟の扉もできた。

秘蹟の扉は、社会誕生と共に創られ、社会の必要性によって作られた。

その扉は教皇以外開くことはできない。


贖宥状は乱発される・・・・


何が罪であり、何が罪を免れるかを裁く権利は誰が持ちえるのか?

少なくとも、現在、裁判は教会でおこなわれてはいない。

祈りによって、己の罪は許されるかもしれないが、

己の目の前の景色を変えることを許されたわけではない。

事実は、必ずしも真実ではない。

よって・・・正義も   -----   いつも真実とは限らない。

真実を求め続けることはできても、真実を掴む事は人間にはできない。

---------------  それが真実である。



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理由 Reason


カワカミは

検事長に辞表を出した。

分厚い絨毯に鎮座する正義の血を吸って生きながらえた歴代の机は、それを恭(うやうや)しく受理した。

教皇の横に立っていた総務課長は、カワカミが部屋を出る際に、紳士のように丁寧に頭を長く下げた。
証拠不充分としてオオワダは、不起訴になった。

カワカミが自分の辞表と引き換えに不起訴を決めた。

拘置状を釈放される際に、オオワダは、前歯の抜けた口を大きく広げ、警務官に大声で毒突き、伸びた髭をひきつらせて間抜けに笑った。

そしてカワカミに近づくと態度を変え、頭を下げ続け・・・礼を伝えた。

大きくはだけたシャツの襟は汚れており、何度も頭を下げるオオワダの姿をより一層安っぽい芝居のように映らせた。

「自分も付いてきます。」

そういうヨコヤマ副検事を「お前はここに残り・・・自分の正義を貫け。」

それが検事として最後のカワカミの言葉だった。

3日後


乱気竜のモモセの遺体が沖縄で見つかった。



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その2週間後に、オオワダの遺体が大田区の鋳物工場跡地から発見された。

オオワダの遺体の右手の指はなく、髪の毛は焼け爛(ただ)れ

歯は全て抜かれていた。

しかし

イットウ(第一当事者)の証言だが、オオワダの遺体は笑っていたらしい。





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オオワダを取り調べた警察官の言葉通りになった。

「言うとおりにしていれば・・・長生きできる。」

捜査は打ち切りになり、S署の前にはいつものように長い警杖(けいじょう)を持って立っている警察官がいる。

そこが、〝特別〟な所とみなされるように・・・通り過ぎる何も知らない一般人を威嚇しながら・・・

管区のS区には、今日もポイント稼ぎの為か・・・

盗難自転車を摘発しようとする所轄の新米アヒルが見えにくい脇道に身を潜め

公園で初めて自転車に乗ることができるようになった多くの-----犯罪者を待っている。


カワカミは検事を辞め

民間に降りた--------------。




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記事中に使われている死体の写真だが・・・

特殊メイクだと思う。

なぜわかったかと言うと

同じ役者が別の写真で違う死体で出ていた。

もうひとつは、構図が上手すぎる。

本物はこうはいかない。巻頭でばらしたら面白くないから

ここで書いている。ごめん(笑)

しかし

上手いもんだ。


街の風景

http://www.flickr.com/photos/gaetanlee/159229836/

ビルの写真

http://www.flickr.com/photos/alexa44s/4700806421/

庭の写真

http://www.flickr.com/photos/97629199@N00/



リアルな死体写真
http://www.flickr.com/photos/troy_holbrook/

散髪とキリストと→

http://www.flickr.com/photos/97629199@N00/3244930135/sizes/o/in/photostream/



自転車の男の子たち

http://www.flickr.com/photos/gert74/235210708/sizes/m/in/photostream/


射殺されたバカ男

http://www.flickr.com/photos/houstonryan/6081521599/


少女の写真

http://www.flickr.com/photos/4stories/6828110294/sizes/z/in/photostream

http://www.flickr.com/photos/4stories/