43時間 Part20
カワカミ 贖宥状(しょくゆうじょう) indulgentia
白熱した私、バロン、徳之助の三人の三つ巴のM&A合戦は、十数分続いた後、突然、
徳之助の「別の電話に出る用事ができた。申し訳ないが・・・少し休戦じゃ・・・」との言葉で
10分間の休憩に入った。
徳之助がトクノリと電話をしている同時刻:WAVE本社:青山送出センター
WAVE本社・・・
17階エレベーターホールの喫煙室に、カワカミが一人で煙草を吸っている。
そこに、タチバナが居合わせる。
タチバナ 「煙草・・・吸うんですね。」
カワカミ 「クライアントの前では、吸えんからな(笑)」
タチバナ 「次、部屋に戻ったら・・・来年ですよ。」
カワカミ 「早いな一年は。」
1分か2分か・・・時間が流れた。窓から見える青山通りの車両はだいぶ少なくなっていた。大晦日だからな(笑)
「そんなに、急ぐことないでしょう。」 話すのを嫌うようにカワカミが煙草を中途半端な長さで、もみ消して立ち去ろうとするのに、タチバナがカワカミの背中に向かって言った。
「無駄話は、好きじゃない。しかも、交渉の最中に争っている相手方とクライアント抜きで話しをするわけにもいかない。」
「いまここで・・・交渉の話なんかしませんよ(笑)タダの世間話でもと思って。」タチバナはカワカミの訝(いぶか)る表情にお構いなしで続けた。
「4年前・・・?・・・いや5年前でしたっけ?・・・世間が注目した裁判。確か・・・あなたが検事をやめて最初の裁判・・・ですよね?」
「4年と9カ月前だ。」カワカミがすぐに訂正した。
「誰もが絶対不利と思った被告を・・・無罪にした。アレは見事な裁判でしたね。」
「昔のことだ。」
「それからは、無罪請負人。」
「そんな呼ばれ方は好かんがな。お前らも・・・敵対的買収防御の請負人だろう?」
「普段は違いますがね(笑)」
「誰の差し金かも・・・大方の予想は付く・・・・。」カワカミがもう一本の煙草に火を付けながら言う。
「どこぞの愛国者ですよ(笑)」
「・・・・・・」カワカミは無反応だった。
「カワカミさんは、なぜ、検事をやめたんですか?」
「君にいう義務はない。」そういってカワカミは窓の外に視線を移した。
隣のビジネスビルの窓に、明かりが付いている窓はひとつもなかった。大晦日の零時直前だ。誰も仕事などしていない。
青山通りの街灯のオレンジの光が包むように、ビルをぼんやりと黒灰色に浮き上がらせている。
カワカミが検事を辞めたきっかけは、〝不信感〟だった。
誰に?
国家?
検察?
公安?
警察?
政治家?
いやどれも違う。
〝正義〟に対する不信感だった。
ある事件を担当した時のことだ。
カワカミは、その事件を黒灰色のビル群を見ながら思い出していた。
警察と検察の違い The difference between the police and criminal investigation
一般人から見たら、警察と検察の違いってなんだか良く分からないと言う人もいるだろう。
簡単に書くと警察に捕まった容疑者は、犯罪を容疑者が行ったとするいろいろな証拠や調書とかと一緒に書類送検され、起訴されると、後は検察の役目となる。正確には起訴を決めるのは検察のほうだが。
分かりやすく言えば、犯人を捕まえるのが警察で、検察はその容疑者(被告人)を裁判で有罪にするのが役目ということ。無罪っぽければ、もしくは公判が維持できそうもないと読めば不起訴だからな。
ちなみに民事裁判は被告だが刑事裁判は被告人という。
両組織は互いに牽制もするが、一方で警察と検察は密接な関係でもある。
分かりやすい強盗殺人、器物損壊なんていうのなら、簡単だが、例えば警視庁捜査二課が扱う詐欺や知能犯、汚職、選挙違反・・・その他の犯罪だが何だかわからない、法律に抵触するのか、どこに違反するか分からない場合は、犯人を捕まえたはいいが裁判で無罪となったら、冤罪だ!などと騒がれるので、事前に警察は検察と相談して逮捕するかとか決めていくんだな。警察と組んで捜査計画を練るというのももちろんする。この捜査計画を立案すると言うことは極めて重要な検察の役目だ。捜査計画はもちろん牢獄にぶち込むまでの全行程である。
反対に言えば、有罪になりそうもないのは、つかまえない。もしくは起訴しないと言うこと。だから検挙率がいい。
有罪確立が半々なら警察は逮捕しない確立が高くなるし、一般人が告訴しても警察が意外に動かないのはわかりやすい勝てる事件じゃないと税金使って捜査はむやみやたらにできんと言うことでもある。
何でこんなめんどくさく二つに分けているかというと、警察が裁判までやったら、とんでもない巨大組織になり、物凄い権力の一極集中になるからな。危ないことになる。
また、有罪か無罪か・・・有罪ならどのような罰でどのくらいの量刑がふさわしいかを判断するのは裁判官となる。
容疑者には弁護士が付けられる。弁護士は容疑者が容疑を否認していれば無罪を主張したり、量刑を軽くしてくれるように努力する。
検察官とは検察庁にいる奴らのことの総称で
上から順に
検事総長
次長検事
検事長
検事正
検事
副検事
のことをまとめて検察官という。
なので、検事は、検察官の一人となる。
なので、良く〝落検〟何て言われる弁護士は、この検察官をやめて民間の弁護士になった者を呼ぶ言葉だ。
検事長なんていうのは、高等検察庁の長で、全国に8人しかいない。すごい偉い人だ(笑)
大体裁判は、検事と下っぱの副検事でやる。
検事は 裁判だけしていればいいかというと木村拓哉のドラマでもあったように捜査も公判も裁判もやる。その戦略指揮も行う。
最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁に配置され、原則その配置された管内の地方検察庁や管区検察庁の職員と副検事を指揮して裁判で勝つというのが仕事だ。だから勝てる裁判を吟味できるかが出世できる検察官におのずとなる。
ちなみに司法試験を合格して検察官になるのは、合格者の10%程度とされている。理由は仕事がハードなのと給料が安いせいだろう。他の公務員よりは高いが初任給で23万円ぐらいで残業代がない。研修を受け検察の最終試験をパスすると2級検察官になれ、更に頑張らば1級検察官になれる。
ちょっと話が脱線するが、国の裁判や、この検察の裁判はなぜに勝率が恐ろしく高いのか?我々のやる民事の裁判なんて勝てるも八卦、負けるも八卦・・・裁判官の心証いかんでころころ変わる。民事でこの検察並みに勝てる確率は、債権者破産申立を除き、ほとんどない。
で・・・
じゃぁ・・・国はなぜ勝率が良いのか?
ここは起業家は大いに学ぶべきところだ。
国やその行政執行官である官僚やまぁ・・・警察も含めて、最初から裁判になったら勝てるように行動しているからだ。つまり、常にその行動は、裁判で勝てるかを念頭に全てをジャッジする。
ここが民間、特に起業家と決定的に違う。
よって官僚は前例のないことはやりたがらない。最近は民間の大企業もそうだ。だから官僚化しているなんて言われる。
ベンチャーの特にトップは、常に裁判になったら勝てるか?を癖にしておくとかなり勝つ確立が上がるとだけ起業家にこの場を借りて言っておこう。
ちなみに、最近小沢一郎やホリエモンで有名な東京地方検察庁特別捜査部と言うものがあるが、アレは上述した普通の検察とは別物と考えた方がいい。政治家の汚職や大規模脱税、大規模経済事件に限って警察とは別の独自の捜査権限がある。日本最強の捜査機関のひとつである。なぜ最強の一角を占めているかというと上述したように警察と検察が一緒になったような力を持っているから。
ま・・安心していい。一般の刑事事件は警察と検察は仕事が分離している。その辺のベンチャーやアフィリエイトで月商1000万円ですと嘘ぶいているぐらいでは、もちろんこない(笑)特捜が動くほうが税金がかかる。
当たり前だが、私はここと国税局のあの部が一番怖い(笑)←正確に部署名を書くとキーワード検索でヒットして当ブログに来そうだから書かない(笑)冗談じゃなくそのぐらいやる奴らだからな(笑)
この二つには、日本国籍の民間企業は、どんな大手だろうと金融機関だろうと・・・地震速報よりも早く個人情報を垂れ流す。この二つの機関には個人情報保護法など存在しない。だから私はFacebookは、この辺の問題が整備されるまで一生やらない。
他にも国家公安委員会、外務省、防衛庁・・・等々のごく限られた部署に結構気合いの入った奴らは多いが・・・取りあえず普通にしていればベンチャーの起業家は一生合わないから大丈夫だ(笑)
小さな違和感 Small sense of incongruity
話をカワカミに戻そう。
検事が検察官つまり公務員をやめて民間の弁護士になる事例はいくらでもある。
出世が見込めなくなったり、報酬が数倍になったり、上司に縛られず自由に個人の判断で裁判や事件に対応できるなどいろいろだ。
しかし、カワカミの場合は、上述した理由のどれにも当てはまらなかった。
きっかけは、ある事件を担当したことだった。
前科のある元組員が起こした覚せい剤取締法違反という、次期検事正の呼び声の高いカワカミが扱うような事件ではなかった。副検事と検察事務官で充分な事件であった。
公判手続きに必要な証拠も充分に揃っていた。
ちなみに「公判がこんな証拠じゃ維持できない!」なんてドラマとかで検事が良く言っているが、その場合の〝公判〟の意味は単なる判決に至るまでの刑事裁判手続き全部という意味だろう。
公判準備手続き、公判期日人定質問から始まる冒頭手続き、証拠調べ、論告、結審、・・・等々の判決まで刑事裁判全体を指していると思うが。
民事は公判とは言わない。単なる裁判だ。公判に相当するのは、
民事では口頭弁論と言う人もいるが、この言い回しにおいては、私はそうは思わない。
民事裁判で「口頭弁論が維持できない」なんて言わんからな。
準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続、陳述書の提出、証人尋問、判決なんていう手続きが一体となっているものが〝裁判〟なので、単に公開主義や口頭主義の法律用語的解釈ではなかろう。
またも話が脱線してしまった申し訳ない。
カワカミが担当した本事件の概略は以下である。
警察のS署の管轄内に置いて、被疑者オオワダ・マサユキが、駐停車禁止区域内で車を駐車中であったところ不審に思ったパトロール中の同地域課の巡査長が職務質問し、車内を捜索したところ、車輛内に覚せい剤を隠し持っており、現行犯逮捕したというものだ。
単なる元〇〇組を破門されたチンピラの前科者が犯したチンケな事件だと思っていた。
変わった点と言えば、被疑者が容疑を否認していることだった。
カワカミの経験から、前科有りで、証拠も確保されており、現認逮捕であれば通常容疑者は否認しない。
何せ、逮捕後の尿検査の反応も出たのだから違うと主張するだけ、今後の裁判官の心証を悪くするだけのことだと、経験者ならチンピラでも知っているはずだ。
ベントウ(執行猶予)はもらえないが、反省の意なしとして刑期が長くなる可能性がある。
最初に違和感に気が付いたのは、副検事のヨコヤマ・コウイチだった。ヨコヤマはカワカミの部下だ。
被疑者のオオワダを取り調べ中にジュンメン(検察が受け取った警察官の作った警察面前調書または巡面調書のこと)とオオワダの供述が微妙に食い違っていた。
丁寧に上述したように、警察も調書(ジュンメン・インメンと言う場合もある)を取るが検察も調書(ケンメン)を書く。
(ちなみに、書いている私の長所はイケメンである(笑)・・・モノガタリとなんらの関係はない。失礼。)
小さな点だった。
被疑者のオオワダは、
「警官が最初から3人いた」と言った。
警察からの調書には、最初、一人でパトロールをしていた巡査長が、不審車輛を現認。
職務質問をし、覚せい剤を車内から発見、応援に同署の巡査二人を呼んだと書いてある。
三人でパトロール?
しかもオオワダは
「三人はPC(パトカー)に乗っていたという。PCに普通一人では乗らない。通常アイキン(相棒)との二人だ。ジュンメンの調書では最初に巡査長が自転車でパトロール中に一人でオオワダの車を発見、職質をしていると書いてある。その後二人の巡査を応援で呼んだのだ。
ヨコヤマ副検事は、いずれにしろ 検証調書、科捜研の尿の鑑定書があるので、起訴は妥当だろうと思っていた。
これは、3号(伝聞例外)証拠だが、作成者の真正作成供述があれば良い。オオワダの否認は関係なく有罪にできる。
ヨコヤマ副検事の書いた調書を読んだカワカミは違和感を覚えた。長年の経験なのか、単なる勘なのか・・・調書にメロディがなかった。
カワカミの中のメロディの不協和音は、翌日、カワカミが一緒に同席したオオワダの録取での取り調べで更に増した。
「覚せい剤は、いつ頃からやっていたんだ?」ヨコヤマ副検事が聞く。
「俺は、S(覚せい剤)はヤらねぇ。」
「じゃぁ・・営利目的か?」
「俺が・・・プッシャー(売人)?・・・んなぁ・・・わけねぇだろ?なんなら・・・もう一度検査してくれョ。今は2週間で消えちまう尿検じゃなく、数か月も残る髪の毛のDNA検査でもでるんだろ。」
「もちろんやらせてもらう。後で検査承諾の書類にサインしなさい。」
ヨコヤマ副検事は、教師が小学生を叱るように、上から目線で被疑者(オオワダ)を威嚇した。
オオワダはふてくされたような態度で木でできた古く簡易な椅子に腰を浅く斜めで座っている。
膝を開いて投げ出したような足の恰好に警備官が注意をした。
「S署での取り調べでは完全黙秘をしていたな。ここでは何かしゃべる気になったか?」ヨコヤマ副検事が質問を変えて聴取を続ける。
「オレが取り調べでカンモク(完全黙秘)?・・・そんなわけ有るわけねぇ・・よ。」
ヨコヤマ副検事は、持っていたボールペンを机に置き、肘をつき、鼻のところ交差した指を置いた。そして少し溜息を交えながら言った。
「でわ、容疑を否認したのか?」
「いいや。」
「じゃぁ・・容疑を認めたのか?」
「いいや。」
「お前・・バカにしているのか・・・!」
横のパソコンでオオワダの言動をパソコンで録取している検察事務局員がびっくりして、振り返るほどヨコヤマ副検事の声は大きかった。
「何もしてないのさ・・・ふん。」
大口を開けて眉毛と眉毛の間を短くしてオオワダは、下から安っぺらい視線をヨコヤマ副検事にぶつける。
「話しなんざぁ・・・何もなぁ・・・へっへっへっ・・・」
「何も?」
「奴ら・・・全く取り調べなんざぁ・・・してねぇ~よ。
全くなぁ・・・(笑)・・へぇ・・へぇ・・(笑)」
そう言い終わるとオオワダは、少し伸びた無精ひげに、伸びきったパンチパーマの下品な顔を笑わせ、歯を見せた。
歯は前歯の一本がなかった。喉に詰まった痰(たん)を履きだしそうになったので、警備官が「ここでは出すな」と戒めた。
更にいくつかの質問がなされたが・・・
進展はない。
3時間ほどでオオワダは拘置所に戻された。
ちなみに拘置所は未決拘禁者、つまり裁判で判決が出るまで身柄が収容される施設のこと。一方で、と捕まった時に入れられるのが警察署にある留置場だ。
カワカミは、ヨコヤマ副検事にいくつかの調査をするように指示を出した。
通常検察は、警察と協力して捜査を行うが、今回はヨコヤマ副検事と一人の検察事務官に任せた。
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調書 Protocol
翌日
「カワカミ検事の言われた通り、S署の巡査長がオオワダに職務質問した日の時刻の照会無線問い合わせの記録を調べましたが、A号(前科前歴照会)もC号(盗難車両照会)及びZ号(暴力団関係者照会)、Y号(薬物使用者照会)、L1(免許証種別照会)すらありませんでした。」
「じゃぁ・・・何の照会を行ったんだ?」カワカミが聞く。
「当該事件の巡査長は一度も照会作業を行っていません。」
ヨコヤマ副検事が訝(いぶか)る様子でカワカミに報告した。
「科捜研に再依頼した、オオワダの薬物反応検査結果はどうだった?」カワカミが言うと
ヨコヤマ副検事は顔を横に振った。陽性反応は出なかったということだ。
「もちろん、薬物反応の出たS署から渡された尿検査の鑑定書を出せば、被疑者(オオワダ)の否認も関係なく証拠能力はありますが・・・」
カワカミは検証調書の再調査もヨコヤマ副検事に指示した。検証調書と言うのは捜査機関が現場やその他の事件の検証を行った資料のこと。
カワカミはS署の警務課の監察官室の企画調査官であるサトウに連絡を取った。
警察が上げてきた巡面調書とオオワダの聴取した話しがあまりに食い違っていたので、本事件を担当したS署に問い合わせをしたのだ。
しかし、問い合わせは、事件を担当した地域課ではなく、警察の不祥事事件を担当する警務課監察官にした。
カワカミの不協和音がそうさせた。
同時にカワカミは、ヨコヤマ副検事に当該事件を調査から捜査に切り替えるよう指示した。
東京地検での別件の裁判を終え、入口を出て弁護士会館の前を歩いている時にカワカミの携帯電話が鳴った。
「ヨコヤマです。至急登庁お願いませんか・・・ちょっと問題が・・・」
カワカミはいやな予感があたったような胸騒ぎがした。
庁舎に戻ったカワカミをヨコヤマ副検事は、入口で待ち構えるように立っていた。カワカミの姿を見ると駆けよって来た。
少し言い淀(よど)み・・・唾を飲み込んでからヨコヤマ副検事は言葉を発した。
「S署が科捜研に依頼しておこなったオオワダの尿検査の検体ですが、我々が送付したオオワダのDNAとは相違しました。別人のものです。」
「なんだって?」
「また、S署の巡査長が職務質問した際ですが・・・現場の路上向いのビルの2階で営業をしている美容室の店長がパトカーが止まっていたのを見た。との証言が取れました。」
戸惑う表情のヨコヤマ副検事は続ける。
「オオワダの話のほうが事実かもしれません。まだ捜査途中ですからなんとも言えませんが・・・調書になんらかの恣意的変更を行った可能性を検討せざるをえません。」
「恣意的変更?・・・・ねつ造か?」カワカミの返答にヨコヤマ副検事は顎を下に動かした。
しばらく考え込むようにカワカミは下を向き、顔をあげると
「現在、S署の警務課調査官に再調査を依頼している。」と言った。
「カワカミ検事は予測されていたのですか?」
カワカミはヨコヤマ副検事の、その問いかけに答えず、眉間に皺を寄せ、口を直線に結んだ。
「オレはこの件を上に報告しておく、お前はオオワダの裏を取って欲しい。」
「了解しました。」
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オオワダ oowada
オオワダ・マサユキ 34歳
昭和52年3月3日生まれ
本籍 青森県 現住所 不定
前科三犯。
罪状は、二つが売春防止法違反。もうひとつが傷害罪。
結婚歴はなし。両親は二人とも死去。兄弟はなし。
組の若頭を木刀で殴り付け破門を言い渡される。
元〇〇組構成員、現在は破門となり、一緒に破門された者1名及び他の組みの破門者2名を加え、グループを結成。
名称は、〝乱気竜"。
どこの組の傘下にも属さない愚連隊のような組織である。
現在のアジトは、東京中野区○○町○○のアパート201号室
オオワダ以外のメンバーは
シンジョウ・マサル
モモセ・リュウジ
タジマ・ウキョウ
「現在のシノギは、このグループでの、売春の斡旋、裏ビデオの販売、空き巣、恐喝・・・で食ってます。」
簡単な調査結果をヨコヤマ副検事が報告した。
「オオワダ以外のメンバーの所在はつかめているのか?」
「シンジョウとタジマは見つかりました。」
「どこで?」
「死体安置所です。」
カワカミの眉間の皺(しわ)がより深くなり、目尻の筋肉が硬直するのがヨコヤマ副検事にも分かった。
「シンジョウの遺体は、2週間前に荒川河川敷に浮いているところを通行人が発見。死因は、溺死ですが、両手両足がバーナーのような火力のあるもので、焼き切られており、泳げる状態ではなかったと思われますが・・
タジマの遺体は、1週間前に山梨県の山中で見つかっています。複数の鈍器のようなモノ・・・たぶん金属バットではないかと鑑識は言ってましたが、数十時間に及んで殴られた跡があったとのことで、死亡推定時刻を確定するのに苦労するほどの有様だったそうです。両手の指と歯、両眼球及び局部が切り取られており、身元確定に時間を要したようです。
いずれも死亡推定時刻は10月14日の深夜頃だそうです。また、残るモモセは現在調査中です。」
「10月14日?」
「オオワダが逮捕された二日後です。」
「乱気竜の生き残りは・・・拘置中のオオワダと行方不明のモモセだけ・・・か・・・」
「そうですね。」
「二人が、殺されたのがオオワダが逮捕された直後で同日・・・なにか関係がありそうだな。」
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3人のパトロール Three persons' patrol
「たまには飯でも食いに行くか?」
カワカミが仕事終わりのネクタイが寄れ、少しワイシャツの襟が汚れ出したヨコヤマ副検事を食事に誘った。
官庁街から少し離れた駅にあるカワカミの馴染みの小料理家に二人で寄る。
仕事の話をしたかったのかカワカミは、女将に個室を頼んだ。こじんまりとしているが風情があり、ヒノキを中心に落ち着いた内装は、凛と気高く、それでいて日々の激務を癒すような雰囲気がある。
警察も刑事も、検察官も・・・当たり前だが、守秘義務がある。テレビドラマのように馴染みの店の美人女将に事件の内容を話すようなバカなことはしない。これらの者達は、そもそも通常・・・外で仕事の話をしない。
「落ち着いた良い店ですね。」ヨコヤマ副検事が言う。
新しく畳を入れ替えたばかりなのか、青臭い井草の匂いがほのかに漂う。
茶色に金の刺繍が施されている座布団にあぐらをかくと、二人は注文を聞きに来た木村多江似の着物の似合う女将に日本酒と適当に料理を見つくろってくれと頼んだ。
「仕事の話し・・・大丈夫ですか?」
「ああ・・・ここは、この部屋意外に声は漏れない。女将も一度酒とつまみを持ってきてくれると、気を利かして、こちらが呼ばない限りこなくなる(笑)」
それでも、いつもの癖か、ヨコヤマ副検事は小声で話し出した。
「オオワダの証言通りだとすると、職質をした際には、三人の警官がすでにいたことになります。」
「オレもそこがひっかかる。通常PCのパトロールは二人が原則だ。三人と言うのは引っ掛る。三人で行うのはパトロールじゃない。・・・三人一組で行うのは、なにかの事件を追っている時・・・いや・・・・何かの作戦行動を行う際の単位だ。」
「作戦?」 ヨコヤマ副検事が瞼を上げ目を大きく見開いた。
「例えば偽装摘発。」カワカミが低くそう言い、煙草の煙を大きく吐きだした。
「検事は・・・S署が何か隠していると?」
カワカミは無垢の木でできた和風の薄茶色いテーブルに肘をつき、人さし指と中指で挟んだ煙草を口元にもう一度含んだ。
そして煙を再度大きく吐きながら
「この事件・・・俺達が見ている風景は先っちょだけの気がすんだよ。」
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教皇の部屋 Pope's room
翌日、カワカミは検察庁に登庁すると検事長に呼び出された。
荘厳なる歴史と威厳に鎮座する検事長室は、その中にいるだけで人を立派に見せる。
まるで、権威だけが、人をタダの動物であることを忘却させる唯一の道具で有るかのように分厚い絨毯と歴代の検事長の写真は語る。
先代の検事長は法王と呼ばれ、当代の検事長は教皇と呼ばれている。
「本件は、黙って通せ。」
とだけ教皇は言い放ち、カワカミは検事長室を後にした。
カワカミの中の不協和音は疑念から確証に変わった。
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再聴取 Re-listening
カワカミは、自らオオワダの聴取をおこなった。横にはヨコヤマ副検事がいる。
「お前の言っていることの裏が取れた。」
「そうだろ。俺は嘘は言わねぇよ。」
正直にオオワダの言っていることが正しいと言ったカワカミにヨコヤマ副検事は少し躊躇した仕草を取り、カワカミを制する様子を見せた。カワカミはお構いなく続けた。
オオワダは無精ひげが更に伸び、薄黒い荒れた肌に皺になった紫のシャツを着ている。いつものように取調室の木製の椅子に斜めに足を組んで座る態度は警務官に注意された。
「お前がS署で逮捕され留置されているヨンパチ(48時間 警察に逮捕した被疑者を留置しておける制限時間)の間に、S署の取調官と何を話した?」
「事の真相が・・・おめぇさん・・・分かってきたのかい?」
「・・・・・取り調べを行ったのは、〇〇刑事か?」
「違うな・・・そう書いてあんのかい?その手元の紙には?」
「そうだ。」
「いったろう・・・取り調べなんざぁ・・何にもねぇ。奴らの書いた作文に無理やりサインと指印を全部のページにさせられただけだよ。中身なんてこれっぽッちも読んでもねぇよ(笑)」
「・・・・」
「モモセはどこにいる?」カワカミは質問を変えた。
「モモセ?」
「仲間だろう。」
「お前らアジトはとっくの通り・・・割ってるんだろ。なぜ俺に聞く?」
「シンジョウとタジマは遺体で発見されたぞ。」
「何言ってんだ。俺を釣ろうってんのかい?・・・・そんな、カマに乗るほどバカじゃねぇや。あのよう・・・」
しゃべり続けるオオワダの机の上にヨコヤマ副検事が、シンジョウとタジマの遺体の写真を置いた。
その写真を見るとオオワダは、歯の抜け無精髭が伸びきった口を大きく開けたまま、首の頸性神経筋を伸ばし、
眼球が飛び出しそうなぐらい瞼を広げた。
「あああ・・・!」
それからしばらくオオワダは黙りだし、1分後にオイオイ泣きだした。
「刑事さ~ん・・・・・・・・(泣)・・・・こいつら・・・何も悪いことしてねぇ・・のに・・・こんな姿になっちまって・・・(泣)」
「言っとくが我々は刑事じゃない検察だ。それにお前らは悪いこと〝しか〟してねぇだろうが・・・・」
ヨコヤマ副検事がオオワダの後ろから言う。
「お前が、逮捕された2日後に殺された。留置と拘置中で・・・知らなかっただろうがな。」
「あああ・・・シンジョウ・・・タジマ・・・(泣)・・・ううう(泣) 仇を取ってください!・・・刑事さ~ん(泣)」
「だから刑事じゃないって・・・反社会的な事ばかりをして生きてきて・・・いまさら仇を我々に取ってくれって?
調子が良すぎやしないか。お前。」
ヨコヤマ副検事が立ちながら腕組みをし、あきれ顔で話す。
「ハメられたんだよ・・・・ううう・・・こいつらも・・・オレも・・・(泣)」
「ハメられた?」
ヨコヤマ副検事が組んでいた腕を解き、オオワダの前に回り込む。
「誰にだ?」
オオワダの正面に座るカワカミが顔を覗き込むように続けて聞く。
「そんなこと分かってたら・・ハメられないだろう・・・・ううう(泣)」
「そりゃぁ・・・そうだ。」
ヨコヤマ副検事が左足に体重を載せ換え、溜息とともに相槌のように返した。
カワカミがオオワダを諭(さと)すようにしゃべりかける。
「オオワダ・・・・我々にお前の仲間の仇を取ってやることはできん・・・しかし・・・ 誰にハメられたか・・・
ぐらいは、見つけてやれるかも知れんぞ。」
「ええええ・・・ううううう・・・お願いします刑事さ~ん。。。。。(泣)」
「とにかく・・・知っていることを話してくれないか・・・」
オオワダは、仲間の写真を持ちながらまだ泣いている。
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興味深いモノ An interesting thing
オオワダは、多くを知らなかった。
事実だろう。
オオワダだけでなく・・・乱気竜なるチンピラどもは、単なるスケープゴ―トにされたのだ。
オオワダが言うに、S署の取り調べでは、逮捕されてから、まともな取り調べはなく、ただ、言う通りにすれば〝お前は長生きができる〟と、だけ言われたそうだ。
また、中野のアジトを家宅捜索して、いろいろ興味深いモノが見つかったぞとも言われたらしい。
〝興味深いモノ〟・・・・
オオワダは、初めから覚せい剤など持ってなかった。これも事実に違いない。
つまり、持たされた覚せい剤を----誰かに---そしてS署の警官に逮捕された。
そして、それをもとにガサ入れが行われ〝何か〟が見つかった。
初めから筋書きが描かれていたかのように-----スピィーディーにことは進み、オオワダは、48時間後には、我々のところ(検察)に来た。
これ以上オオワダに聞いても真相は分からないだろう。
道をこじ開けるにはオオワダのしゃべった最後のヒント・・・・〝興味深いモノ〟だ。
それとも・・・この事件、検事長の言うとおり黙って通すか・・・・どこの社会だろうと、上に睨まれれば出世はない。
検察官も同じだ。いや、民間のように10人ごぼう抜きの大出世なんてのが全くない世界だ。
正直、好き勝手に社会を食いものにして生きてきたチンピラの人生など、オレには、なんら関係ない。
それよりも、今まで家族や自分を犠牲に歯を食いしばって積み上げてきたキャリアを、下手をすれば失いかねない。
そうだ。
この件は、もう忘れよう。それが良い。
・・・・〝興味深いモノ〟・・・・・
いや・・・忘れよう。
・・・・・〝興味深いモノ〟・・・・・それがヒントだ。
正義とは何か。そんなものはない。
長年検事をやってきて・・・辿りついた。
必ずしも正義を貫いた先に真実が待っているわけではない。
仮に殺人事件の犯人を有罪にし、事件が解決しても・・・それで真実の解明がなされたわけではない。
あるのは、意味だけだ。
被害者にとって・・・加害者にとって・・・そしてそれを結ぶ線の中にいる自分にとっての意味があるだけだ。
ひとつの事件をきっかけに絡まる人生の運命を、各自がどう意味付けるかだけだ。
カメラの位置が変われば、おのずと映画は別のエンディングを迎えるように。
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警務課 調査官 House police division Examiner
調査を頼んでおいた、S署の警務課の調査官からはいまだに返答がなかった。
待ってても全く埒(らち)が明かないと判断し、カワカミから電話をかけた。
「警務課監察室 サトウです。」
「地検のカワカミです。」
「どうも、カワカミ検事・・・お世話になります。」
・・サトウ調査官は、以前別件で一度だけ仕事をしたことがある。
警察と検察のどちらが上と言うことは原則ないのであるが、サトウ調査官が若いということもあってか、カワカミをしたっている感じのする男だ。
「お願いしていた平成〇〇年(イ)第〇〇〇〇号の覚せい剤取締法違反事件の件なんだが・・・」
「現在、鋭意調査中です。」
つれない返答が返ってくる。
庁が変われば、親が変わったのも同然だ。
警察の本部からの指示ならいざ知らず、よそもんの検察の依頼では、幾ばくかの疑念を抱きながらの調査なのだろうか。もちろん、何かの事件が発覚した後は、全く対応が違うだろう。今回は、カワカミの個人的な以来のようなものだったからか。
警察の内部の者が同じ警察の者を調べる。まるで、魔女狩りのような作業は、それ自体が士気を下げる。
しかし、警務課はそれが仕事だ。
「サトウ調査官、こちらでもいくつか調査をしてみたんだけど、気になる点が出てきてね。」
「どんな点ですか?」
「そちらから送ってもらった被疑者らのアジトの家宅捜索時の押収物リスト・・・なんだけど、これで全部なのかい?」
辺に隠さずズバリ確信を聞いてみた。
「・・・・・」
しばらく沈黙の後。
「現在、調査中であります。」
ひとつの〝署〟は、いわば、ひとつの家のようなものだ。
家族意識というか・・・仲間の結合は、他の行政組織など比べ物にならないほど、特に警察は強い。
S署という〝家族〟の血は末端・・・いや血の浄化装置である警務課までいきわたっているのであろうか・・・
「被疑者オオワダがつるんでいた、仲間のシンジョウとタジマ及びモモセについても別に令状とって家宅捜索をしたそうだね。」
「はい。」
「その押収物で変わったモノは、出たのかい?」
「それも・・現在・・調査中です。」
少しサトウ調査官は歯切れが悪るかった。
方向を変えて質問をしてみた。
「シンジョウとタジマだけど、そっちの一係(捜査一係)は、どう睨んでいるんだ?」
「現在、捜査中の件は原則お答えしかねますが・・・ホシはシンジョウやタジマ、オオワダもいた〇〇組の報復の線が強いと誰もが思うでしょう。特に遺体の損傷から見て、〇〇組の同様の過去の報復事件と酷似していますから。それは担当ではない私でも分かります。」
「なぜ、報復されたんだろう?」
「そこまでは、私には、担当ではない者で・・・」
妙に歯切れが悪い。
カワカミの勘は、サトウ調査官は何かをつかみ掛けていると思った。
「直接、私が本件の調書を書いた巡査長と巡査二人に会うことはできるかい?いや調査というよりインタビューみたいなもんだけど・・・」
「どうしても・・と言うのならこちらはお断りはできませんが・・・何かのハッキリとした問題がある場合なら良いですが・・・・そちらでの被疑者の聴取とこちらの調書と・・・いく分違っているからといって・・・」
「まるで、手柄を立てた巡査長達をよそ者の白バッジ(警察が検察のことを呼ぶ隠語)が捜査に問題あったかのように調査するのは、いかがなものかと・・・と言うわけか。」
「私のほうで・・・必ず、本件はご報告します。」
そういって、終始歯切れの悪いサトウ調査官との電話は切れた。
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モモセ momose
カワカミの検事室の机の前に、ヨコヤマ副検事が小走りで駆けよってくる。
「カワカミ検事! モモセと最近会ったという者を見つけました。」
カワカミの机の横に立つと手に持ったメモを何度か見返しながら話しだした。
報告の概略は、こうだ。
モモセに会ったという人物は、別れてから2年も経つ、モモセの元彼女であった。
今は、上野の1時間5000円のキャバクラで働いている。その店に、ひょっこりモモセが現れたらしい。
モモセはひとしきり話し、金を2万円ほど借りて返っていったそうだ。
その女性の事情聴取によると
モモセは、何かに酷く怯えたようであった。そして、何度も誰かにハメられたと唸されるように一人ごとを言っていた。
その報告から極めて大事な事が2点つかめた。
ひとつは、警察のモモセの住んでいるアパートの家宅捜索で、拳銃が押収されたこと。
そして、
「全く見覚えがねぇんだ。・・・そんなチャカ(拳銃)なんてよ・・・・誰かに・・・ハメられたんだよ!俺たちは!」
「ハメられた?誰にさ?」
その女性が聞いたらしい。その質問には答えずにモモセは続けたらしい。
「いや・・正直言えば・・・チャカは扱ったことはあるよ。でもよ・・・あのチャカはオレのもんじゃねぇ・・・」
モモセはこうも言っていたらしい。
「冗談じゃぁねぇ・・・オレらのアジトから、〝あんなモノ〟が押収されただと・・・でっちあげだぁ!・・・オレらはハメられたんだよ!」
報告を終えるとヨコヤマ副検事はメモ帳の表紙を元に戻し、言う。
「モモセのヤサから拳銃が一丁、同じくアジトから数丁・・・そして、まだ何かは分かりませんが、乱気竜のアジトから〝何か〟が押収されたようですね。」
〝あんなモノ〟・・・・〝興味深いモノ〟・・・・一致した。
続けてヨコヤマ副検事が重要な事を話した。
いや・・・ヨコヤマ副検事本人は重要だとは、その時点では分かっていなかった。
「おかしなことがありました。」
「おかしなこと?」
「ええ・・・その事情を聞いた女性のところに・・・山梨県警の刑事も話を聞きに来たそうです。」
「山梨県警が?なんで?」
「さぁ・・・」
「なんて・・・何て名前の刑事だ?」
「いえ・・・聞きそびれたので、もう一度その女性に連絡を取って見ます。
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夜景の街
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ガラスの前の女
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ビル
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雲に隠れるビル
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曇ったダウンタウン
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ビル
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黒いビル
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鑑識の写真
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警官二人
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歩く警官達年末警戒及び捕まる若者・・・・警視庁のサイトから
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sikumi/pnews/pnews_2401/pnews_1.htm
捕まった写真(申し訳ない写真を加工している。)本物のは下記
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