中国は世界同時不況の中、世界経済の機関車になるか!!?? | 東京リーシングと土地活用戦記

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★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記



小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」
中国の大規模な景気対策の行く末は…
中国は世界経済の機関車になり得るか?
(1)
2009年4月10日

中国の景気対策によって、日本の景気は深いながらも底を打ったのではないか、というお話をしました。確かに、日本の最大輸出国である中国が動き始めると、日本の輸出産業は伸びる可能性があります。しかし、私には心配している点がいくつかあります。今回は、中国経済の実態をアジアの指標から解説すると共に、今後の経済の流れを読み解いていきたいと思います。

中国の大規模な景気対策とは

 日本経済新聞(以下、日経新聞)の景気指標の面に、3週間に一度、アジアの指標が載っています。今回はその指標を見ながら、アジア、特に中国の経済を読み解いていきます。

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 まず、上にあるアジアの「国内・域内総生産」のデータを見てください。
 中国を除いて、2008年10-12月期のGDPは落ち込み、成長率がマイナスになっています。それもマイナス幅が大きく、特に台湾はマイナス8.4%となっていて、2四半期連続のマイナスになっています。
 それから、香港はマイナス2.5%でマイナス幅が小さいのですが、韓国はマイナス3.4%、シンガポールもマイナス4.2%とういう、大きなマイナス幅になっています。
 日本の2008年10-12月期の成長率(実質)がマイナス12.1%になっていることと比べると、マイナス幅はかなり小さいのですが、普段の景気後退期に比べても結構なマイナスとなっています。
 アメリカも2四半期連続マイナスで、ヨーロッパもほとんどの地域で3四半期連続マイナスという状況になっています。日本も3四半期連続マイナスになっていますね。

 もう、世界同時不況ということは間違いないのです。

 ただ、前回もご説明しましたが、内外商品相場という欄を見ると、一部の商品の価格が上がり始めているのです。
 例えば、「銅 地金」の価格は、2008年12月に底を打って、2009年3月、4月と上がっています。亜鉛、鉛、すず、アルミニウムも上がっています。

 一番分かりやすいのは、原油です。原油は、一時1バレル40ドルぐらいまで下がったのですが、今は52ドルぐらいまで上がっています。

 このように、全部ではありませんが、特に鉱物資源の一部の価格が底を打ち始めています。この理由は、中国が大規模な景気対策を始めたことが挙げられます。これは4兆元とも言われていて、日本円に換算すると、約58兆円にもなるんです!

 中国の景気対策とは、内需拡大策です。新聞にも出ていますが、一つは、テレビや自動車やバイクを買う時に補助金を出すというものです。ヨーロッパでも同じことをやり始めた国がありますが、中国はこれを大々的にやり始めました。
 それから、新幹線網の整備、急ピッチで進んでいる上海万博の整備、道路や橋などのインフラ整備も始めています。
 中国は社会主義国なので、動きが早いのです。これらの対策によって中国経済が回復するかどうかは分かりませんが、少し動き始めているという点では間違いないでしょう。
 それが、先程ご説明した鉱物資源の価格が上がっていることにつながっているのです。

中国の貿易黒字が増えていた理由

 前からお話ししているように、日本経済は、外需依存型の経済です。
 右にある日本の貿易収支のデータを見てください。2009年2月は若干の黒字に転じていますが、2008年の8月頃から貿易赤字の傾向が強く出ています。★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記
 外需依存型の日本経済にとって、これは大きな打撃です。

 貿易が回復しない限り、もっと厳密に言うと輸出が回復しない限り、日本経済は回復しにくいのです。特に、主な輸出相手国である北米や中国が回復しないと景気回復は難しいのです。
 今の日本の最大の輸出相手国はアメリカではなくて中国です。つまり、中国の経済が活性化しない限り、日本の貿易が活性化することはありません。日本の景気も回復が遅れるでしょう。

 では、中国経済はどうなっているのでしょうか。

 ご説明した通り、中国政府が強力な内需刺激策を取っているということは、すごく評価できることです。しかし、ここでもう一度、中国の国内総生産のデータを見てください。★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記


 2006年は11.6%、2007年は13.0%というように、中国は2ケタ成長をしていました。
 しかし、2008年の10-12月期が6.8%に落ち込んでいます。

 日本や他のアジア諸国の成長率がマイナスであることを考えると、中国は6.8%に落ち込んだとはいえ、まだいい数字なのではないかと思われるかもしれません。しかし、中国は今も労働人口が増え続けている国なので、成長率が7%はないと雇用を維持することができないと第5回でお話ししました。
 それを差し引いたとしても、まだいい数字なんじゃないかと思われるかもしれません。しかし、中国には懸念材料があるのです。

 それは、中国経済も外需依存型だということです。右の「貿易収支・通関」のデータを見てください。★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記

 中国の貿易黒字は、2006年が1774.8億ドル、2007年が2626.9億ドル、2008年が2954.5億ドルとなっています。非常に大きな貿易黒字を抱えているのです。
 ちなみに日本は、よくて年間10兆円前後つまり、1000億ドルぐらいですから、中国がいかに大きな貿易黒字を持っているかが分かります。
 また、中国も、アメリカ相手に約2000億ドルの貿易黒字を持っています。アメリカの景気が悪化しているから、中国の貿易黒字も減少するのでは? と思いますよね。

 実は、そうじゃないんです。

 例えば、2008年の4月の数字を見てください。163億ドルほどでしたが、たどっていくと、どんどん増えていることが分かります。2009年1月には400億ドル前後まで増えていますね。これは年間5000億ドルぐらいの貿易黒字になるペースです。

 この理由は何だと思いますか? 理由は簡単です。

 実情は、輸出・輸入ともに減っています。減っているのですが、まず、輸入を絞ったのです。中国政府は、自国の経済を統制しているので、輸入を絞ることができるのです。

 だから、急激に貿易黒字が増えたのです。しかし、この当時、多くの人は「中国はこの先、輸出が激減するのではないか」と言っていました。

 当たり前ですよね。輸入した原材料を使って、それを加工して、輸出しているわけですから。輸入が減った後は、輸出減が来るのです。

 そして、ついに輸出額が一気に減りました。2009年2月の数字を見てください。48.4億ドルとなっています。これは、ピークの9分の1です。

内需が拡大するか、貿易が激減するかの綱引き

 さて、ここでちょっと復習です。GDPを支えている3つの要素を覚えていますか? 1つ目は民需、2つ目は公共セクター、3つ目は輸出と輸入の差、つまり貿易黒字でした。

 中国は、これだけ貿易黒字が増えたのに、10-12月期のGDPが激減しています。輸入を絞っても、経済成長が6.8%しかないんです。

 それは、つまり、貿易要因以外ところが激減しているということです。

 そして心配しないといけないことは、この上に輸出減が一気に来たということです。先程ご説明した通り、輸入を絞った後、輸出が激減したので貿易が落ち込み始めました。

 中国政府は、景気対策として、大規模な内需拡大策を打ち出していますが、今度は貿易が激減し始めているので、経済が成長を維持できるかそれとも後退するかは、綱引きのようにどっちに引きずられてしまうのかは分からない状況です。

 今、世界中の経済が縮小しています。その中で、中国経済が世界を牽引する機関車の一つになるのではという期待はありますが、個人的には分かりません。

 中国政府は今、景気対策でお金をたくさん使おうとしています。ただ、そのお金の源も、輸出で稼いだものです。その輸出自体が激減し始めました。

 中国は、4兆元使うと言ったからには、もちろん4兆元持っています。中国政府は、外貨準備高だけでも2兆ドル(約200兆円)ありますから、使おうと思えば使えます。ただ、国としての収入が激減していく中で、内需拡大策をどこまでやり続けられるか、というのが問題です。

 だから、2009年1-3月期の成長率がどれぐらい保てるのか。ここに注目する必要があるのです。

中国が恐れているインフレ

 中国経済を読み解く上で重要な数字の一つに、「消費者物価」があります。★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記


 例えば、2008年4月は8.5%、5月は7.7%となっています。これは、インフレです。中国にとって、インフレというのは怖いものなのです。
 なぜかというと、中国は、ご存じのように、貧富の差がものすごく激しいんです。上海に行くと、BMWやベンツなどの高級車がガンガン走っている一方で、ホームレスのような人もたくさんいます。

 元々中国というのは、社会主義国です。「働いている人は皆平等」という理念の下の社会主義国なんですが、社会主義を維持するために資本主義という劇薬を飲んだんです。

 というのは、70年代後半、トウ小平が共産党総書記だった時代に、中国は市場経済を導入しました。トウ小平は市場経済を導入しないと、共産主義体制が維持できないと考えたのでしょう。トウ小平は天才と言われていますが、彼の考えは大当たりだったのです。

 市場経済を導入しなかった社会主義国は、みんな崩壊してしまいました。中国は市場経済を導入したおかげで、社会主義体制は守ることができたわけです。でも、市場主義経済というのは、資本主義でしょう。矛盾しているわけです。そして、その矛盾の中にある資本主義体制が、効きすぎてしまったのです。
 だから中国は、政権として共産主義体制を維持しながらも、経済自体は行き過ぎた資本主義とほぼ同じです。すると、何が起こるかというと、“二極分化”です。


 例えばアメリカや日本だったら、収入に格差ができても、「資本主義だから仕方ない。ただ、行き過ぎたものは税金などを高くして調整しましょう」という所得の再分配を行います。
 しかし、中国における“二極分化”は、そもそも、共産主義の理念に反するわけです。働いている人は平等だという共産主義の中に、資本主義という劇薬を飲み込んだがために、二極分化が一気に進んでしまったのです。

貧しい人々を直撃するインフレ

 2008年にチベット動乱が起こりました。新疆ウイグル自治区でも動乱が起こりました。私は、その原因にはインフレがすごく影響していると思っています。
 なぜなら、インフレというのは、貧しい人たちを直撃します。基本的な物資である、食料の値段などが上がるからです。

 チベット自治区は元々貧しい地域です。皆が貧しければ均衡が保てていたのですが、沿岸部がすごく発達してしまいました。そして、漢民族がチベット自治区にやってきて、商売を始めたのです。
 漢民族というのは、商売がとても上手です。すると、金持ちの漢民族と貧しいチベット民族という構図が出来上がります。

 そこに、インフレが起こって一気に格差が広がりました。貧しい人たちは、食料を買えないので食べられません。そして、暴動が勃発したんだと思います。

 このように、中国政府にとってインフレというのは、実は非常に厄介なものなんです。

 それが、2008年の4月頃から消費者物価(前年比)が8%を超える状況だったのです。しかし、このところ、インフレが終息しています。

格差是正という意味では、ある意味望ましい傾向です。ただ、消費者物価を見ると、2009年2月の数字はマイナスになっています。 これは、デフレです。中国経済がデフレに陥ると、デフレスパイラルになる可能性があるのです。
 なおかつ、先程もご説明したとおり、輸出が振るいません。貿易黒字も稼げない中で、デフレスパイラルに入ると、さらに経済が停滞します。
 デフレスパイラルに入ると、物価が下がります。物価が下がると、売上げが減ってしまうので、もうけが減り、その結果、給料が減ります。給料が下がると、物が売れなくなり、余計に物価が下がります。悪循環が続くのです。

 日本が2000年前後に経験したデフレスパイラルに、中国も陥る可能性があるのです。

 中国が行う4兆元規模の景気刺激策が、デフレスパイラルを抑えられるのか。そして消費者物価を、適正水準である1~2%のインフレに戻せるのかどうか。ここが、今最も注目したい数字です。
 しかし中国は、もう一つ、重大な問題を抱えています。

中国がG20の真ん中に座る理由
中国は世界経済の機関車になり得るか?(2)
2009年4月17日


中国の4兆元という大規模な景気対策が抱える問題についてご説明しました。実は、中国はもう一つ、難しい問題を抱えています。今回は、複雑に絡み合う世界経済の構図とともに、中国経済の実情についてお話ししていきたいと思います。

中国政府の抱える問題…それは

 前回、中国の貿易黒字が激減したというお話をしました。しかし、中国政府はもう一つ、難しい問題を抱えています。それは、「人民元の管理」です。
 人民元は、完全に自由化されているわけではありません。例えば日本円は、為替レートを市場の需要と供給によって決定されています。これを「フロート」と呼びます。
 人民元は日本円のように自由化が行われていません。国が「1ドルに対していくらか」というふうに管理しています。

 右の表は、中国の貿易収支・通関をまとめたものです。★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記
これを見ると分かりますが、2009年2月の中国の貿易黒字はぐっと減りました。しかし、それまではかなり大きな貿易黒字を持っていましたから、アメリカは、「人民元を切り上げろ」という圧力をかけていたのです。
 「人民元を切り上げる」とは、他の通貨との交換レートを変動させ、人民元の価値を上げることを言います。
 しかし、もしここで人民元を切り上げてしまうと、中国にとって問題が出てきてしまいます。
 人民元の価値が上がると、外国から物を輸入する場合は有利になりますが、外国へ輸出する場合は、不利になってしまいますよね。すると、この世界的不況によってただでさえ輸出が減っているのに、余計に輸出が減少するという事態になってしまうのです。
 2009年2月頃から中国の貿易黒字が減り始めたので、アメリカの人民元に対する切り上げの圧力は、少しは和らぐと思いますが、貿易黒字額いかんでは、人民元の切り上げ圧力が再度かかってくる可能性があります。
 いずれにしても、経済成長にとっての貿易依存度が高い中国にとって通貨の問題は非常に重要な問題なのです。

国が管理する「人民元」

 人民元は、どのようにコントロールされているのでしょうか。
 人民元は、一日の上限幅が決められています。変動幅を前日比±0.5%までとする「管理フロート制」をとっています。このように規制して、人民元の価値が上下しないようにしているのです。
 しかし、場合によっては、その決められたレートを維持することもできます。どうやっているか、ご説明しましょう。
 相場とは、放っておくと変動します。人民元も例外ではありません。中国は、およそ3000億ドルという膨大な貿易黒字を抱えています。貿易黒字というのは、つまり何が起こっているかというと、「誰かがどこかで人民元を買っている」ということなんです。
 例えば、中国の製品をアメリカに輸出するとしましょう。すると、輸入したアメリカの業者は、中国の業者に代金を送りますよね。ドルで送金するか、人民元で送金するか、送る代金の通貨は2通りありますが、どちらにせよ、お金を送らなければなりません。
 アメリカの業者が人民元で代金を送る場合、米国内で人民元を購入しなければなりません。そこで、ドル売り人民元買いが起こります。
 一方、ドルのまま代金を送る場合、今度は、中国国内でドル売り人民元買いが起こります。働いている人たちにドルでお給料を払うわけにはいきませんからね。

 つまり、中国の貿易黒字分は、どこかで必ず相手通貨を売って、人民元買いが起こるわけです。

 中国の膨大な貿易黒字の大半は対米黒字です。だから、かなりのドル売り人民元買いが起こっていると思っていいでしょう。中国は2000億ドルの対米貿易黒字があると言われていますが、その分、地球上のどこかでドル売り人民元買いが起こっているのです。

 そのままドル売り人民元買いが続くとどうなるでしょうか? 物の価値は、需要と供給の関係で決まるわけですから、どんどん人民元が高くなります。

 円のように、フロート制(変動相場制)をとっている通貨であれば、問題にならないんです。例えば貿易黒字が増えた分円高が進むと、同じ値段で今まで輸出していたものが、相手国通貨にとっては高くなってしまうわけだから、そこで貿易黒字が自然に縮小するようになっています
 これを、ビルト・イン・スタビライザーと呼んでいます。為替レートがフロートであると、このような“組み込まれた安定化装置”が働くのです。
 しかし、人民元はフロートではありません。中国は、自国の経済を「まだ発展途上だ」と思っているので、為替レートを自由化せず管理しているのです。

 では、どのように人民元をコントロールしているのでしょうか。先程、中国の対米2000億ドル分の貿易黒字は、市場で人民元買いドル売りが行われているということをご説明しました。
 放っておくと、人民元高になってしまいます。そのため、市場に放出される米ドルを中国の中央銀行が買っているのです。つまり、中国政府が、市場介入をしているのです。
 そして、中国政府がドルを市場から買って、決められた人民元のレートに収まるように調整しているのです。このように、中国政府は毎日市場に介入しています。

 実は、中国が2兆ドルの外貨準備高を持っているというのは、それなんです。このようにして、貿易黒字分のドルをどんどん買いこんでいます。貿易黒字分、外貨準備が膨らんでいるという構図になっているのです。

微妙なバランスの上に成り立つ世界経済

 中国の中央銀行はこのようにして、対米の貿易黒字の分、ドルを買い込みます。すると、ドルを運用しなければならなくなります。ドルを現金通貨で持っていても運用益は得られないですからね。

 そこで中国は、ドルの大半を米国債で運用しているのです。だから、中国は膨大な米国債を持っているんです。もちろん、ユーロや日本円などの国債も持っているので、すべてではありません。とは言っても、中国のおよそ2兆ドルという外貨準備高のかなりの部分は米国債だと考えていいでしょう。
 アメリカ政府としては、人民元に高くなって ほしいと考えています。人民元が高くなれば、アメリカの貿易赤字が減りますからね。

 ただし、あんまり中国に圧力をかけると、中国政府が「分かりました。もう米国債を持ちません」と言ってしまう可能性があります。また、あまりに対米貿易黒字が減ると、米国債の購入額も減るわけです。もし、そんなことになったら、途端に米国債が暴落してしまいます。
 逆に、もし米国債が暴落したら、米国債を大量に持つ中国政府も深い痛手を負ってしまいます。このように、痛しかゆしな部分があって、中国も米国債を売るに売れなくなってしまっているんです。
 世界経済は、微妙なバランスの上に成り立っているのです。

世界経済に組み込まれつつある中国経済

 アメリカも今、2兆ドルという規模の経済政策を行うと言っていますが、それをすべて財政赤字で賄おうとしています。つまり、米国債を発行するということです。

 その引き受け手がいないと、ファイナンス(資金の調達)ができません。そこで、大量の米国債を持っている中国は、ある意味、アメリカを救っている部分があるのです。

 しかし、ここに来て、先に見ていただいたように中国の貿易黒字が大幅に減り始めました。と言うことは、中国の外貨準備高も増えないということだから、米国債をこの先買ってくれる人が減る可能性があるのです。
 それでは、誰が米国債を引き受けるのか、ということになります。

 先程もお話ししましたが、中国が米国債を買っている原資は、中国の貿易黒字です。だから、中国の対米貿易黒字が減ると、米国債を買ってくれる人も減るということです。そうなると米国のファイナンスが難しくなる可能性があるのです。長期金利高の引き金にもなりかねません。
 その複雑な絡まり合いが、理屈では理解できるものの、どこまでインパクトがあるか、実は、誰にも分からないのです。

 だから今、中国の貿易黒字やGDPの値に注目する必要があるのです。



 すでに中国経済は、世界経済の中に複雑に組み込まれてしまっています。このことを見逃してはいけません。

 今までご説明してきたように、世界経済の中で、中国経済の存在が大きくなっています。中国がG20で真ん中に座っているのは、そういう意味があるからなんです。
 中国は世界同時不況の中世界経済の機関車になりつつあります。今までは、アメリカ一国が世界経済を牽引してきましたが、今はそうではありません。

 中国はアメリカとの関係で、貿易という面では非常に緊密です。だから、アメリカ経済が安定しない限り、中国経済も安定しません。その延長線上で、日本経済も安定しないということです。

 日本こそ、貿易立国ですから、その影響はなおさらです。

 現在(2009年4月14日)、日経平均株価が9000円近くまで戻っていますが、私は一時的なものだと思っています。
 なぜならば、日本の企業の業績は外需依存だからです。外需が稼げなければ、内需産業も稼げません。


★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記
 上の図を見てください。これは、現金給与総額をまとめたものですが、下げ幅が大きくなってきているのが分かります。
 そして、所定外労働時間も2009年2月はマイナス21.7%となっています。有効求人倍率も0.59まで下がっています。同時に、失業率も上がり始めています。

 まだこれから悪化すると考えられます。まだ入り口です。

 今、定額給付金が少しずつ出始めました。少し懐が緩んでいるかもしれませんが、企業業績はそんなに楽観視できません。
 世界中で経済が縮小しています。例えば日本の貿易収支を見ると、輸入が前年比マイナス43.0%、輸出が前年比マイナス49.4%となっています。つまり、物が動かなくなってきているんです。

 買わないし、出さない。世界中で同じ現象が起きています。


小宮一慶(こみや・かずよし)★東京・リーシングと土地活用のビジネス戦記
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(東洋経済新報社)、『お金を知る技術 殖やす技術』(朝日新聞出版)他多数。


Nikkei BP


 とっても、勉強に、なりました・・・



サーチナ
温首相「内需主導、外需積極利用の成長モデル確立へ」
2009年 4月20日(月)


 中国の温家宝首相は18日、海南省で開かれた博鰲(ボアオ)アジアフォーラム年次総会での講演で、「内需主導で、かつ外需を積極的に利用するという経済成長のモデルを早期に確立し、国内経済をよりバランスのとれた形へと転換していく」と表明した。同日付新華社が伝えた。

 温首相は「100年に一度」と言われる金融危機への対策として、2008年末から一連の景気刺激策を打ち出してきたことを説明。「政策の重点は内需を全面的に拡大し、内需と外需のバランスを調整することだ」として、外需への依存が高い現在の中国経済のスタイルを改め、長期的な発展に向けて基礎を固めていく方針を示した。

中国国務院「国内経済は予想より良好」2009/04/17(金)

  中国国務院(政府)は15日に開いた常務会議で2009年第1四半期(1-3月)の国内の経済情勢を「予想より良好だ」と分析し、今後の対策を検討した。国務院はその内容を公式ウェブサイトを通じて公表したが、「民生と消費に重点を置く見込み」とメディアが報じている追加景気対策については、まだ具体策は示していない。

  現状については「内需拡大と経済発展の促進を目指す一連の景気対策の効果が見え始めており、予想より良好だ」と評価した。だが一方では、「経済回復のための基盤は安定しておらず、内外の環境は非常に厳しいことを強く認識しなければならない」として、今後も一連の経済対策を推し進め、積極財政政策と適度に緩和した通貨政策を堅持することを確認した。

  今後、特に力を入れる点としては、建設投資の拡大、民間の建設投資支援、サービス業や住宅、自動車販売の拡大、貿易業の支援、農業の支援、基幹産業振興策の推進、民生改善、中小企業の資金調達支援、財政収入増と支出の管理強化など、大まかに8項目を挙げた。



三菱自、4年後中国で15万台目指す=益子社長
4月20日 時事通信

*【上海20日時事】三菱自動車 <7211> の益子修社長は20日、上海モーターショー会場で記者団の質問に答え、中国での販売目標について「できるだけ早く年間15万台売りたい。2013年ぐらいには」と述べ、4年後をめどに昨年度実績(約8万7000台)から7割以上の上乗せを目指す考えを明らかにした。