「世の中は悪くなっている」という錯覚 | 悩みが悩みじゃなくなる、心理学の授業

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『幸せな心を作る臨床心理士』 村松奈美です。
自分の心・相手の心がみるみる分かって、生きる勇気がわいてくる心理学の授業です✨


「世の中はだんだん悪くなってる!!」

って一言、よく聞きますよね。

ある著名な僧侶の方は、
「私が生きてきた90年で、こんな悪い時代はない」
と最近、言ってたそうです叫び

ということで、30年前に小学生だった時の世の中を思い出したりしてみるんですが、
あんまり良く分からなかったり汗

「世の中は悪くなっている」って、一体どんな事を言ってるんでしょうかはてなマーク


ニュースで時々耳にする、児童虐待や、凶悪な少年犯罪の事?
それとも、長引く不況や、世界のどこかで起こっている戦争の事?


でも本当に世の中って、悪くなってるんでしょうかはてなマークはてなマーク



例えば、児童虐待の通報件数は、
統計を取り始めた1990年の1,101件から、
2014年には73,365件に増加しています。
なんと73倍叫びと一瞬ビックリしますが・・・。

実際、虐待がひどくなっているのかと言うと、
「虐待で死亡した子供の数」を調べると、
なんと半分ぐらいに減っているのです!!

児童相談所で働いていた私は、ナゼだか知っています得意げ
最近は、皆が児童虐待に敏感になっていて、
「どこかで子供が泣いている」というだけでも、すぐ通報してしまうのですあせる
(もちろん、虐待の防止のためには良いことですが・・・。)
実際、調査に行ってみると、虐待じゃないことが
ほとんどだったりします。

つまり、「通報が増えている」のであって、
「虐待が増えている」のではない。

それどころか、死亡件数を見ると分かるように、
実際の虐待問題は、どんどん改善しているのですクラッカー


それ以外ではどうでしょうか?

少年の凶悪犯罪の件数は、実は1960年頃がピークで、
今はその1/3程度に減少しています!!

それ以外にも、冷静に見ると、
世の中は良くなってしかいないのが分かると思います。

平均寿命は、医療の発達や栄養状態の改善で、
縄文時代の31歳から、84歳まで伸びていますし、

赤ちゃんの死亡率は、1900年頃と比べると、
なんと143分の1!!と劇的に下がりました。

また女性の職業も、「昔は、美容師か教師にしかなれなかった」
と母が言ってましたが、
今はどんな職業でも就くことができます。

どう考えても、世の中は良くなってしかいないのです!

それなのに、なぜ「世の中は悪くなっている」
なんてカンチガイしてしまうのでしょうかはてなマーク



それは、脳のエラーによるものです。

私たちの脳は、本能的に「危険な出来事」に注目するように出来ています。
なぜかと言うと、生き抜くためには「危険な出来事」に注意を向けて、
対処しなければならないからです

そして、「平和な出来事」はスルーするように出来ています。
なぜって、「平和な出来事」は危険じゃないので、注目しても意味ないからですひらめき電球


しかも現代は昔と違って、テレビ・ネット・新聞などあらゆる手段で
事件・事故のニュースが流れてきます。

マスコミは、私たちが「平和な出来事」よりも「危険な出来事」に注目するクセがあるのを知っているので、
「危険な出来事」ばかり報道します。爆弾
しかも、少しでも注目を浴びるために、実際より大げさに報道したりしますドクロ
(さっきの、「児童虐待の通報件数、過去最高ビックリマーク」なんていうのが良い例です。
ちゃんと中身を見れば、実際は良くなっているのに・・・。)
だってその方が、視聴率が上がりますからねシラー

そして、「危険な出来事」ばかりテレビで目にするようになった私たちの脳は、
「世の中は悪くなっている!と勘違いしやすいのです。


もし周りで、そんな事を言っている人がいたら、
「落ち着きなってば。それは脳のエラーだよー」
と教えてあげて下さいねにひひ