匿名という名の暴力。こんな卑劣な行為はない。人として最低の行動であり生き方である。自分の思想や思いとは違う意見を書いたり主張すると、それが自分のことでもないのに「気にいらない奴だ」と名前も名乗らず匿名で抗議する。民主主義の鉄則は「あなたの意見には百%反対だが、あなたがそれを主張する自由や権利は命に代えても守る」という、ヴォルテールの言葉につきる。抗議したいなら、自ら本名で堂々と反論すればいい。私は、公人に対しては忌憚のない意見をブログで書いている。公人とは「公職にある人。公の立場から見た個人」つまり、政治家や芸能人、大手企業の経営者たちも当然入るでしょうね。自ら好きで公人となった人は、その瞬間から不特定多数の人たちからチェックを受け、異論・反論から誹謗中傷の攻撃まであることを自覚しなければならない。最近は、この基本も理解していない公人が多いけど…。

名前と顔がマスコミを通じて流れ、街中もおちおち歩けなくなるでしょう。そこに自由がないとは思うけど、それも公人となった瞬間から義務化される宿命なのです。〈有名人にはなりたい。でも、個人の自由も確保したい〉そんな自分勝手な主張は通じないことは人間を長く生きている人は常識として知っている。あらゆる違った意見の攻撃を受ける覚悟がなければ公人にならなきゃいいだけのこと。その公人にも、厳しい意見やきついバッシングを受けても反論する権利は当然ある。それが民主主義です。よく、靖国参拝をする自民党議員が「今日は公人ではなく私人で来ました」も、当然、間違っています。

私のブログに対して異論・反論があり、コメントして来る人もいます。ところが、本名ではなく批判して来る人って考えが偏っている場合が多い。私の「勘違いの女性たち」「脱原発をドイツに見習え」を読み気にいらなかった女子中学生が「らら」という名で抗議してきた。それはいい。ところが、私の職場まで匿名メールで〈人の悪口ばかり書いているカウンセラーを交代させて下さい〉ときた。「芸能人のことをそんなに悪く書かなくても…」「ドイツ人はそんなに立派な国民ではないですよ」というのも、この中学生はドイツに住んだことがある帰国子女みたいです。私と面識もないのに人の職場を土足で踏み荒らす所業。私は、日本人よりドイツ人が優れているなどひと言も書いていません。原発政策をドイツ方式に学んだらどうかと提案しているだけです。彼女に読解力がないとはいえ、一方的な思い込みでの匿名メールです。これ、名誉毀損で「辞めさせろ」なら恐喝いう立派な犯罪行為です。校長は理解力のある人で苦笑いし問題にはなりませんでした。三年間のスクールカウンセラー生活で、仕事とブログという私的なものの区別はしています。批判するのは公人のみ。一度も生徒のプライバシーに触れるブログも書きません。卒業し大学生となった生徒たちからは、今でもメール相談を受けています。トラブルもなし。彼女の行為は、満員電車の中で気にいらないオジさんを突然「この人、痴漢です!」と声をあげたようなもの。無実の人を犯罪者にしてしまう恐ろしい行為。匿名なら何でも可だと思っている愚かさ。生徒たちにこの中学生のことを話したら幼稚すぎる〇〇〇と笑っていました。私のカウンセリング室には、休み時間、昼休みには誰かが常にいます。カウンセラーとして提言。「知らずに他人を傷つける人たち」(香山リカ・ベスト新書)でもお読みなさい。「仏の顔も三度」と言いますが、私は一度までは許します。でも、次は半沢直樹ですよ。

人材育成コンサルタントの辛淑玉さんが秘密保護案に対して朝日新聞で答えている。東京の新大久保などで在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)で口汚くののしる人たちは「悲壮感はなく、差別を楽しんでいます。自分たちには権力の後ろ盾があると感じているからです。特定秘密保護法はさらに差別を増長させる危険性がある。外国人は危険という漠然とした印象を大衆に植えつけます」

石破幹事長の「反対するデモはテロ」そして今回は「報道側が特定秘密の入手はいいが、発表は罰せられる」と発言。批判するのはテロリストとなる思考は独裁者の発想です。

戦前、国家総動員法の後、「隣組」制度が庶民の間に作られた。「お隣りのあの人は怪しい」「あの家の住民は思想的に何でも反対ばかりする」とのタレこみが奨励され次々と特高警察に連行された。思想が統一されて国家が許可した情報しか伝えられない暗黒時代でした。独裁国家では相手の異論・反論は認めない。北朝鮮では将軍様を頂点にして、反対意見を言ったり書いたりしたらすぐに処罰されるだけでなく処刑される。そんな国家がまっとうな訳がありません。今回の秘密保護法の本質は簡単に言えば政権批判封じです。

石破幹事長やドイツ帰国子女の中学生に理想的な国家がありますよ。デモも反対意見もない北朝鮮に行ったらどうでしょう。きっと住みよい国だと思いますよ。