【彼が私の上司に】 | 不倫で慰謝料請求されてます

【彼が私の上司に】

去年の年末年始の休み明け、会社で新しい期が始まるにあたってちょっとした組織変更があり、それまでは私が所属する部署とは別のところにいた彼が、私のいる営業部にマネージャーとして配属されてきました。


「なんだ、営業もできるんだ、この人」


正直これと言って、彼が私の直属の上司となった感想はありませんでした。


着任早々さっそく彼は、チームのメンバーを集めて決起大会なる名のもとに飲み会をセッティング。親睦を深める意味でもあるノミュニケーションの席なので、カタい話はほとんどなく、みんなそれぞれバカ話で楽しんでいる中、チームメンバーのつまんないギャグに真剣にウケまくっていて、なおかつマジクダラナイ話をしてひとりゲラゲラ笑っている彼を見て、


「もしかしてこの人ちょっとヘン?ってかバカ?」


なんて思ったりもして、クールでドライで近寄り難いという、それまでの彼に対するイメージは吹き飛んでしまいました。


普段は「微笑みの貴公子」なんて社内で揶揄されるくらいに、上っ面だけのウソ臭い笑顔の裏で、ホントは何を考えているのか分からないような人でしたが、心底バカ話に笑い転げてる彼を見て、


「ふーん、この人ってこんな顔で笑うことができるんだ・・・」


と、ムカツクくらいに羨ましいキレイな歯並びの彼の白い歯を見ながら、彼の意外な一面を見たような気がしていました。


今思うと、典型的ですね。オンナって「意外性」とか「ギャップ」に弱いですから・・・


その後も彼は、仕事が終わった後にはチームメンバーをよく食事や飲みにに誘い、職場の中でも外でもとても部下の面倒見がいいし、仕事もできるという理想的な上司でした。


その頃の私と言えば、彼の前任の上司とウマが合わないことから仕事に対するモチベーションが下がりまくっていて、プライベートでは、離婚してまで追いかけようとした元彼への情熱も薄れてきており、住み慣れた大阪を離れたばかりで、東京には親しい友達もいなかったので、ただ会社と家の往復をするだけの毎日でした。


また家にいる時は、休みの日もずーっと「ファイナルファンタジーXI」というオンラインゲームにハマっていて、恋愛も仕事もやる気がなく、そしてオンナであるコトすらも忘れかけていた、相当ヤバい腑抜け人間でした。


そんな私を、仕事でもよく面倒を見てくれ、仕事のグチも聞いてくれた彼は、会社で私のコトを理解してくれた唯一の上司だったこともあり、彼に対して、次第に心を開いて行くまでにそんなに時間はかかりませんでした。


私は会社の人との社外での付き合いはそれまでほとんどなく、どちらかと言うと頑なに拒否していたくらいだったのですが、彼がチームメンバーを誘って仕事帰りに食事したり飲みにいったりする席に、自分でも驚くほど積極的に、そして自然に参加していました。


自分でも信じられないくらい、彼には何でも話せたのです。仕事と全く関係のない昔の話やプライベートの話を。


彼も色々な話を私にしてくれました。若かった頃の話、自分が経営しているバーの話、そして自分の2歳になる娘をどれほど愛しているかという話を。


彼は、ゲーム浸りでオンナを捨てていると豪語し、楽しみなんて何もないと嘯く私に、「そんなんじゃダメだ、もっと人生楽しまなきゃ」と言い、早く家に帰ってゲームしたいという私を、しょっちゅう仕事帰りに飲みに連れて行こうとしました。


「なんだよ、どこまで面倒見がいいんだ、この人は。仕事はちゃんとやるからプライベートはほっといてよ(ゲームさせてよ~)」


なんてキモチにさせられるくらいに、彼は私を何とか外の世界に目を向けさせようとして、仕事が終わった後は必ず「メシ食ってく?」と声をかけて来るようになりました。


そんな中、仕事帰りにチームメンバーと数人でワイワイ飲みにいく回数が、だんだん彼と2人で食事に行く回数が増えて行くことになっていったのです。


そして彼との仕事帰りに食事に行く事がだんだん日常となり、週に3~4回は2人で明け方まで飲み明かし語り明かすという生活となりました。


こんな生活が2ヶ月ほど続いた去年の2月末、とうとうその後の2人の行方を決定付ける出来事が起こっってしまったのです。


この日のことは今でもハッキリと鮮明に覚えています。なぜなら当時は予想すらできなかった現在の裁判において、何度も何度も確認され、証言することになるのですから・・・