ハロルド・プリンス演出の、『プリンス・オブ・ブロードウェイ』が、東急シアターオーブで上演中です。
ラミン・カリムルーファンの私は、早速初日に行き、キャストの皆さんの素晴らしい歌声と演技に圧倒されました。
もともとミュージカルはあまり観ないのに加え、ソンドハイムのナンバーや、古い作品はわからなくて、やっぱり、予習していけばよかったなー、と思いました。
で、いろいろなサイトや文献を参考にして、劇中のナンバーのあらすじを簡単にまとめてみようと思い立ち、わかる範囲でまとめてみました。
でも、あらすじや歌詞を、勝手に意訳しているので、間違いもあるかもしれません。
あと、上演中の舞台にもふれていますので、ネタバレ一切NG、という方はお気をつけください。
では、まず、一幕から・・・
★~オープニング~「フローラ、赤の脅威」より★
1965年初演
作曲・ジョン・カンダー
作詩・フレッド・エッブ
1935年の世界恐慌さなかのニューヨークで、デザイナーをめざすフローラは、暗い世相に負けず、前向きに仕事を探す。思想や社会変革、理想と現実、恋と別れなどが描かれる物語。
オープニングで全員が歌う、
“ALL I NEED IS ONE GOOD BRAK”オール・アイ・ニード・イズ・ワン・グッド・ブレイク
「チャンスをちょうだい!たったひとつの幸運さえあれば、成功してみせる!自分にはできる。幸運さえあれば。だからチャンスを!」
この歌が、この作品のテーマにつながっている気がします。
★「くたばれ!ヤンキース」より★
1955年初演
作詞・作曲 リチャード・アドラー/ジェリー・ロス
“HEART” ハート
弱小チームの選手達(ジョシュ・グリセッティ、ラミン・カリムルー、トニー・ヤズベック)に、監督(シュラー・ヘンズリー)が、
「負けた時こそ、笑え!大事なのは気持ち!気持ちで負けるな!」と励ます。
「いや、俺たち、ダメダメだから・・・」と言っていた選手達も、監督の励ましで、
「そうだ、俺たちだって、ベストをつくすぞ!」とやる気に。
“WHATEVER LOLA WANTS”
ワット・エバー・ローラ・ウォンツ
中年男ジョー(トニー・ヤズベック)は、低迷する野球チーム・セネクターズの大ファン。宿敵ヤンキースを倒すために、悪魔と契約し、悪魔に魂を捧げるかわりに若返って選手になり、チームに入る。彼の活躍でチームは勝つが、彼が契約を無視しようとしたため、悪魔は魔女ローラ(柚希礼音)を送り込んでジョーを誘惑し、魂を奪おうとする・・
柚希礼音さんが、
「私はローラ。あなたの心と魂がほしいの。狙った獲物は逃がさないわよ。」
とコケティッシュに歌い踊ります。
★ウエストサイド・ストーリーより★
1957年初演
作曲・レナード・バーンスタイン
作詩・スティーヴン・ソンドハイム
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を題材に、舞台をウエストサイド地区に置き換え、異なる人種のトニーとマリアが恋におち、少年非行グループの抗争の犠牲となる悲恋を描く。
“SOMETHING’S COMING” サムシングス・カミング
高校生のトニー(ラミンが演じます・・・・心の眼で見てください!)が歌う。
「何か、いいことがおこる気がする・・・そう、今夜にでも!」
“TONIGHT” トゥナイト
「ロミオとジュリエット」のバルコニーのシーンのオマージュ。
トニーと、マリア(ケイリー・アン・ヴォーヒーズ)が、マリアの家の非常階段で、互いの想いを確認し、燃え上がる恋心を歌う。
★シー・ラヴズ・ミーより★
1963年初演
作曲・ジェリー・ボック
作詩・シェルダン・ハーニック
ブタペストの香水店で働くジョージ(ジョシュ・グリセッティ)とアメリア(ブリヨーナ・マリー・バーハム)は、いつも喧嘩ばかり。
二人は、匿名で文通をしていて、実はお互いが文通相手と知らず、今日ははじめてのデートをすることに!その期待と不安!
“TONIGHT AT EIGHT” トゥナイト・アット・エイト
ジョージ
「今夜8時にデートなんだけど・・・うまくいくかな・・・いや、無理かも?でも、もしうまくいったら、プロポーズするんだ!」
“WILL HE LIKE ME?” ウィル・ヒー・ライク・ミー?
アメリア
「彼は私を好きになってくれるかしら?彼の知らない私の一面を知っても・・・好きになってくれるかしら・・・。」
★「イッツ・ア・バード・・イッツ・ア・プレーン・・イッツ・スーパーマン」より★
1955年初演
作曲・チャールズ・ストラウス
作詩・リー・アダムス
アメリカンコミックの「スーパーマン」をミュージカルにした作品。
鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!
スーパーマンに扮したラミン・カリムルーの胸筋に注目してください!(特に前方の座席の方)
“YOU’VE GOT POSSIBILITIES” ユーヴ・ガット・ポッシビリティーズ
クラークケント(ラミン・カリムルー)のオフィス。
クラークケントがスーパーマンだということを知らない秘書のシドニー(マリアンド・トーレス)が歌う。
「あなた、服とか髪とかいろいろダサイけど、ほんとはイケてると思うのよ。自分で気づいていないだけ。可能性は十分なのに。私がそれを気づかせてあ・げ・る」
でも、クラークケントは、全然乗ってこないのでした。
★フォーリーズより★
クラーク・ケントが去ると、舞台はぐっと大人のムードに・・・。
スティーヴン・ソンドハイム作詞・作曲の「フォーリーズ」
予習をしていかなかったので、初日はここの場面は背景がわからず・・。
1971年初演
作詞・作曲 スティーヴン・ソンドハイム
フォーリーズ(FOLLIES)とは、若く美しい女性が出演するレビュー・ショーのこと。かつてのレビューの殿堂だった劇場が閉鎖されることになり、閉館パーティが催される。そこに集まった者達の中で、
フィリス(エミリー・スキナー)とベン(シュラー・ヘンズリー)
サリー(ナンシー・オペル)とバディ(トニー・ヤズベック)の2組の夫婦がおりなす物語。
本当はフィリスとバディ、サリーとベンがつきあっていたのに、なぜか結婚したのはフィリスとベン、サリーとバディ。そして、今はそれぞれあまり幸せな結婚生活は送っていない。
劇場に来て、昔を思い出すうちに、サリーは、ベンとやり直したいと思うようになる・・・。
“BEAUTIFUL GIRLS” ビューティフル・ガールズ
かつてのショーガール達を讃えて歌う歌。
POBの出演者達がバックステージで歌うのですが、この歌声が素晴らしい!
ショーガール(柚希礼音)が、華やかな衣裳を身にまとい、優雅に階段を降りてきます。その後に続く、フィリスとサリー。
ショーガールが去ると、一変して閉鎖間近の劇場に。
“WAITING FOR THE GIRLS UPSTAIRS”
ウェティング・フォー・ザ・ガールズ・アップステアーズ
バディとベンが、昔を懐かしんで歌います。
「ショーが終わった後、2階のショーガール達を誘うために、待っていたよね。今でも、映画のようによみがえってくる。」
フィリスとサリーも、
「下にいる男の子達を待たせていたわね。どっちのドレスを着ていこうかしら、なんて言いながら。」
そこに、若き日のバディ(ジョシュ・グリセッティ)とベン(ラミン・カリムルー)がやってきます。そして、階段を降りてくる若き日のフィリス(ケイリー・アン・ヴォーヒース)とサリー(マリアンド・トーレス)。
4人は、楽しそうに夜の街に繰り出していく。
その幻影を見送る、年を重ねた4人・・・。
“THE RIGHT GIRL” ライト・ガール
バディが、マージというガールフレンドのことを歌い、踊ります。
君はぼくにぴったりの女の子。
こんなぼくでも王様のように思わせてくれる。
自分のことを受け入れ、愛してくれて、自分には過ぎた女性だとわかっているけど・・・その気持ちに応えなきゃいけないけど・・心の底からは愛せなかった。
その葛藤を激しいタップダンスとともに表現します。
オリジナルは歌のみなので、タップダンスとのコラボはこの作品でしか観られません。
必見です!
★リトル・ナイト・ミュージックより★
1973年初演
作詞作曲・スティーヴン・ソンドハイム
スウェーデンが舞台。旅回りの女優デジレ(エミリー・スキナー)が、昔の恋人の弁護士に再会する。弁護士にはなぜかまだベッドインを許してくれない幼い新妻がいる。デジレにも、今、妻帯者の愛人がいて、デジレ、弁護士とその息子と新妻、デジレの愛人とその妻などが入り乱れる大人のラブコメ。
すったもんだのあげく、デジレの愛人は妻とよりを戻し、弁護士の新妻は弁護士の息子と駆け落ち、そしてデジレは弁護士とよりを戻してハッピーエンド。
“SEND IN THE CLOWNS” センド・イン・ザ・クラウンズ
新妻との生活に不満がある弁護士に、デジレは自分と一緒になりましょう、とプロポーズする。
でも、弁護士ははっきりとした返事をしない。
「私は地上にいるのに、あなたはまだ空に浮かんでいる。・・道化を呼んでちょうだい。ああ、やっぱりいいわ。ここにいるから。」
自分は心を決めたのに、男はその気持ちに応えようとしない。
男のふがいない態度への腹立ちと哀しみ、そして自分が道化である、という自嘲もこめて、デジレがしっとりと歌うナンバー。
★屋根の上のヴァイオリン弾きより★
1964年初演。
作曲・ジェリー・ボック
作詞・シェルダン・ハーニック
帝政ロシアの寒村が舞台。貧しいけれど気の良いユダヤ人の牛乳屋テヴィエ(シュラー・ヘンズリー)には5人の娘がいる。
娘達は、父親の望みや伝統に縛られずに自らの結婚を決めていく。それに一喜一憂する姿を笑いと涙を交えて描き、最後はロシア人の迫害を逃れて一家が村を去るまでの物語。
“IF I WERE A RICH MAN” イフ・アイ・ワー・ア・リッチ・マン
「もし、自分が金持ちだったらなあ。あんなことやこんなことをやって・・・。」
と、夢想する歌をシュラー・ヘンズリーがコミカルに歌います。
★キャバレーより★
1966年初演
作曲・ジョン・キャンダー
作詞・フレッド・エッブ
ナチズムが台頭する1929年のベルリン。場末のキャバレー「キット・カット・クラブ」を舞台に、イギリスから移住してきた歌手サリー(ブリヨーナ・マリー・バーハム)と、アメリカ人作家クリフとの出会いと別れ、下宿屋の女主人シュナイダー(ナンシー・オペル)とユダヤ人のシュルツの悲劇的な恋を中心に、ファシズムへの批判もこめて描く物語。
サリーはクラブをクビになって、クリフの下宿に転がり込み、やがて妊娠。クリフはベルリンでの執筆がうまくいかず、アメリカに戻ろうとサリーを誘うが、クリフとの未来に希望をもてないサリーは、ベルリンに残る。そして、子どもを堕ろし、再びクラブへ。
シュナイダーとシュルツは婚約するが、ナチズムの台頭はユダヤ人との結婚を許さず、シュナイダーはシュルツとの婚約を解消し、シュルツは移住する。
中性的で妖しげなMC(ジョシュ・グリセッティ)が劇中でショーを仕切り、皮肉を交えて狂言回しを演じる、退廃的なムードのあふれる作品。
“WILKOMMEN” ヴィルコメン
顔を白塗りにしたMCが「ようこそ!」と、キャバレー「キット・カット・クラブ」を賑やかに紹介する。
“IF YOU COULD SEE HER” イフ・ユー・クッド・シー・ハー
MCがスカートをはいたゴリラと一緒に踊りながら歌う。
「あなた達がどう思っているかはわかる。よりによって、なぜ、この女性を選んだのかってね。でも、心の眼で見ればわかるはず。彼女はとてもスマートで賢いの。確かに、小さな問題ではないのはわかる。でもね、心の眼で見れば、彼女は・・・ユダヤ人には見えないはず。」
“SO WHAT?” ソー・ワット?
シュナイダー夫人のソロ。
「日は昇り、月は沈む。人が死んでもこの世は続くわ。だから、何?
昔は金持ちだったけど、今は運命に見放されている。でも、どんな暮らしをしていたって、日は昇り、月は沈む。だから、何?」
“CABARET” キャバレー
子どもを堕ろし、クリフと別れ、クラブに再び雇われたサリーは、ここ、キャバレーで生きていく、という覚悟をこめながら主題歌を歌う。
「一人で部屋にこもっていないで、キャバレーに来てよ。
昔、エルシーという友達がいたの。彼女が死んだ日、回りは酒と薬の飲み過ぎだって、笑った。でも、死んだ彼女は女王みたいで、あんな幸せそうな死体は見たことがない。私も、彼女のように逝きたい。
エルシーがよく言っていたのよ、一人で部屋にこもっていないで、って。
そう、人生はキャバレーよ、だから、キャバレーに来て。キャバレーが大好き。」
そして、一幕の最後を飾るのは、やはりこれ!
★オペラ座の怪人より★
1986年初演
作曲・アンドリュー・ロイド・ウェーバー
作詞・チャールズ・ハート
19世紀末のパリのオペラ座を舞台に、オペラ座の地下深く棲む醜い容姿の怪人(ファントム)と、ファントムが想いをよせる若い歌姫クリスティーヌとの悲哀あふれる物語。
コーラスガールのクリスティーヌの才能を見抜いたファントムは、クリスティーヌに歌を教え、成功を導くが、彼女はラウル子爵と愛し合ってしまう。
ファントムは、自作のオペラを上演するよう劇場に強要し、上演中、クリスティーヌの相手役を殺して自分が成り代わり、求婚するが思いを遂げられず、クリスティーヌを地下にさらい、追ってきたラウルを捕らえる。
自分と一緒にならなければ、ラウルを殺す、と脅すが、クリスティーヌはラウルを救うためにファントムの醜い顔にキスをする。心をうたれたファントムは、最後は二人を逃がし、自分は闇の中に消えていく。
“THE PHANTOM OF THE OPERA” ファントム・オブ・ジ・オペラ
今まで姿を隠してクリスティーヌ(ケイリー・アン・ヴォーヒーズ)に歌を教えていたファントム(ラミン・カリムルー)が、はじめてクリスティーヌの前に姿を現し、地下の隠れ家に連れて行く。
その時に歌われる曲ですが、ここはラミンにより、ほんの少しだけ歌われます。
“WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN” ウィッシング・ユー・ワー・サムハウ・ヒア・アゲイン
ファントムを罠にかけるために、おとりとなってファントムが作曲したオペラで歌うように言われて悩み、クリスティーヌが父親の墓前で歌う歌。
幼い頃に死んだ父親への思慕と、でも、その思い出にも決別しなければ、との決意を歌う。
“THE MUSIC OF THE NIGHT” ミュージック・オブ・ザ・ナイト
はじめてクリスティーヌを地下の隠れ家に連れてきた時に、ファントムがクリスティーヌに歌う。
夜の調べに耳を傾け、過去の自分を捨て去り、心を解放し、新たな高みへといくのだ・・
お前だけが、私の作る音楽を羽ばたかせてくれる
力を貸してほしい・・夜の調べを創るために・・・
ここは、ファントムが哀切な想いをこめて歌います。そして、その歌に段々と陶酔していくクリスティーヌ・・・
二人の歌声と演技が素晴らしいです!
もう、そこはオペラ座の地下!
ラミンとケイリーが創り出す世界に、どっぷりと浸かってください!
はい、ここで一幕が終わり、20分間の休憩。
ここまででも盛りだくさんですね~。
私は絶賛リピート中なのですが、キャストの皆さん、回を重ねるごとに感情が入ってきて、短い場面でも、より芝居が鮮明になっている感じがします。
明るく楽しい曲だけではなく、少し、人生の苦みを歌う曲もあって、味わい深い。
柚希さんのダンスはよりキレッキレッになってるし、
ラミンは感情にまかせて譜面にとらわれずにより自由に歌っていて、私はそれが好き
参考にさせていただいたサイトや、参考文献は、
その2に載せたいと思います。
二幕目のあらすじと感想はこちら
↓
(予習・復習)『プリンス・オブ・ブロードウェイ』簡単あらすじと感想②二幕編